第3話 最期
病院に着き、受付で名前を告げるとすぐに地下へと案内された。中へ入ると、医者が一名、看護師が一名、真っ白な部屋の中に佇んでいた。ポツリと置かれた椅子に腰掛けると、看護師がバインダーごとエイトに手渡した。誓約書だった。
「本当にいいんですね?」
医師が念を押すように言う。エイトは躊躇することなく「はい。」と答えた。目は誓約文を追っており、どこか心ここに在らずといった声色だったのは否めないが。
「サイン、しました。お願いします。」
側に控えていた看護師にバインダーを返すと、医師はエイトを見て頷いた。彼の手には小さなガラス瓶が握られており、そこに注射針を刺して液体を吸い出した。
「今からこの毒をあなたに打ちます。三十秒で意識が遠のき、一分後には死に至ります。何か言い残したいことがあれば、今ここで。」
「そうですね……今までありがとう、とだけ。」
医師が看護師の方を見た。彼女は小さく頷き、医師はエイトの腕をとった。ゆっくりと注射針がエイトの皮膚を突き破った。エイトは目を閉じて深呼吸をした。やがて、意識が遠のき、闇の中にぷつりと消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます