第8話 ある日森の中
「おい、、、しぃ」
未だレイに慣れず、とゆうかこの世界自体に慣れていないカムイは尻すぼみに、小さな声で呟く。
不思議と自分の周りから楽しそうな雰囲気をカムイは感じていた。
「それはよかった!あまり他人に食べさせた事はないけど、口にあった様でなによりさ」
歯を見せて爽やかな笑顔を見せるレイ。
言わずもがなドヤ顔ではある。よく見てみると鼻が少し大きくなっており、端正な顔が絶妙なバランスで下品な顔をしていた。
「ん、、、これなに?」
いくつか出された料理の中で目を引く肉のステーキを指差した。
まるで絵本の中の料理が沢山あり、カムイの心の中は割とテンション高めである。
「あぁ、それは深緑龍のステーキ」
さらっと、なんて事のない様な返答
「しんりょく、、りゅう?」
「そ。ドラゴンさ。」
「ふう、、ん。」
「そいえば、、文字読めない」
「あぁ、言葉は違うからね。もっとも会話は言の葉の精霊のお陰で通じてるから、しばらくは問題無いだろうさ。」
「本、読めない、、、?」
中性的かつ、両親の放置のお陰か長い髪のカムイの上目遣いと少し残念そうな顔はレイの心の柔らかい部分を刺激した。
「ッッ!!だ、、大丈夫だよ!僕が教えるからね!」
鼻を押さえながらレイは告げる。
カムイに見えない様に見たレイの手には少量の鼻血。
「あり、、がと。ピアノはない、、、の?」
ついでとばかりにカムイは問いかけた。
「ううん、、人の里にならあるかもだけど、僕はまだ見てないかな。」
「そ、、か。」
またも残念そうな顔のカムイにレイは一人悶えるのだった。
「あ、、、レイは、、、お姉さん、、、?」
「っ!?」
目を見開き、カムイを見つめるレイ。
驚愕と、困惑が胸の中で踊る。
「ごめ、、、なんでも、、、な」
「一つ聞いてもいいかい?なんでそう思ったんだい?」
未だ里の外ではバレていない事に気がついたカムイに、レイは純粋な気持ちで問うた。
「なんと、、なく。」
「そう、、か。」
それは精霊達か、それともカムイ本来が持つ洞察力なのか。
レイ自身はその答えに辿り着かなかったが、答えは単純に、カムイはこれまで人の顔色を常に気にして生きてきたからである。
「まぁ、隠してる訳じゃなかったけど、、、僕は女さ」
「、、、ん。」
「人の里だと男の方が色々と楽だからね」
「、、、ん。」
他にも一応理由はあるが、大した事では無いと思い、レイは話を切り上げた。
レイに促されるまま、民族衣装の様な衣服に着替えさせられ、二人で外に向かう。
家を出て、レイの後ろにつきながらカムイは森の中を黙ってついていった。
ちょうど一時間程あるき、カムイの足に疲れが溜まって来た所で、レイが立ち止まり、目の前に聳え立つ大きな大樹を指差しながらこう言った。
「じゃ、このダンジョンに行こうか。」
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