第7話 王都アレイスター


カムイとレイの居るアルフの深き森より、北へ山々を越えた先

平坦な大地と広大な領土を誇るアレイスター王国の王都アレイスター

王と貴族達は玉座には頭を抱えて居た。


「英雄を失い幾星霜。よもやワシの世代にこの様な災禍が訪れるとは、な。」


人種であるアレイスター・オル・アドルフ王は溜息を吐きながら呟く


「もう二百年経ちますが、新たな英雄足り得る勇者は一人もおらず、、、冒険者も魔法銀(ミスリル)止まりが最上。我らの土地に難度の高い迷宮区でもあれば話は違ったのですが、、、」


文官貴族が現状を示唆する。


かつてのこの国は別の名前であった。ある事件をきっかけに革命、そして新たな国を作った経歴がある。

平坦な大地は農業に打ってつけであり、国力は高いと言えるのだが、平和過ぎる土地は国の戦力の低下に繋がってしまっていた。


遠い昔は強力なドラゴンや、攻略困難な迷宮が多数あったが、ある時を境に討伐され、迷宮に至っては攻略の後破壊されてしまっている。

民は平和なれど、他国から見れば、これほど旨味の多そうな国も少ない。


「帝国、、、か。」


アレイスター王から無意識の内に出た言葉は、この場に居る国の重鎮達の雰囲気を暗くさせた。


「騎士達はどうじゃ?戦えるのか?」


白い鎧を纏ったアレイスター王国、白狼騎士団団長 マケドニア・ウォルフは眉間に皺を寄せながら答える。


「彼我の戦力差は圧倒的です。数は我が軍が優っておれども、最高レベルは私の60。帝国には100を超えた『英雄』の類が五人は居ると聞きます。その五人が攻めて来るだけで、我が国は蹂躙され尽くす事でしょう。」


「そう、、か。」


現在、アレイスター王国が直面する問題。

これまでは微妙なバランスで付き合って来た隣国、イスカ帝国が侵略を始めた。

理由は領土侵犯。帝国の常套手段であり、開かれた宴に貴族が参加しに行っただけなのだ。

もっとも、宣戦布告されてから気がついた事なので、論ずるに値しないと、王達はその事に触れる事はしない。


「エルフの国は?」


「我関せずを貫いております。書簡すら受け取らず、、、というよりも『森』が開かず、渡せないと兵から聞いております。」


「冒険者達はどうしておる?」


「自国出身の者は骨を埋める覚悟で残ってくれてますが、流れのは国を去っています。捕えますか?」


「よい。無駄な争いをして兵を減らすわけには行かぬ。帝国へ和平使者を送り、まずは時を稼がねばならんか、、、」


「すぐに送りましょう。まだ軍は起こしてない様ですが、十中八九、使者は帰ってこないでしょうね、、、」


「また、我が国の英霊が増える、か。最後はワシになるのかのぅ。」


再度言葉に詰まる面々。



「王よ、一つ噂話しがございます」


文官貴族が思い出したかの様に声をかける


「それは、なんじゃ?」


「は、南の果て、アルフの深き森に英雄は居る。との噂が流れております。」


「血濡れの、か?」


「はい。血塗れの、でございます。」



王は目を閉じ、長い溜息をつく。


「魔法銀(ミスリル)の冒険者に依頼を出せ。余が書状を書く。」


「よろしいので?居るかもわかりませんし、危険では?」


「よい。もう残された道は少ない。最悪降伏を視野に入れればならん。民達は奴隷になるが、皆で死ぬよりマジであろう。」


「は、直ちに。」


全員覚悟をした顔付きで、自分に出来る事を、国の為に行動を開始した。

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