第6話 非常識に在らず


「アルフの、、深き森?」


「そう、アルフの深き森さ。」


「禁断なの?」


「そう、禁断さ。」


(すごく聴いて欲しそうな顔をしている、、、レイ)


「どうして禁断なの?」


聞いた途端に嬉しそうな顔で「よく気がついたね」とウインクと小さなお星様を飛ばしながら話し始めてくれた。



「此処には昔、アルフガルドって神様が住んで居てね、それは豊かな国だったそうなんだ。豊かな大地の恩恵、澄んだ水、魔物の少ない、人種にはまるで楽園の国。神様からあやかってアルフ神国と名乗って居たそうだよ。」


少し真剣な顔でレイは続ける。


「でもね、やっぱり愚かな人種だからか、『欲』をかいた。増えた国力、、あー、増えた人数に増長して他国に攻め入ろうと考えた神国の王様は、神様にこう願ったそうだよ。」


『もっと皆が幸せになる為に力をお貸し下さい』


「それが、神様の逆鱗に触れた。」


「どう、、、して?」

疑問に思い、質問するカムイ。



「出来ない神様は居るけど、アルフガルドは心の声を聞く事の出来る神だった。そしてその王の中の醜い、欲望に満ちた野望を見て、落胆して姿を隠したんだ。」


「その、、、後は?」



「恩恵を無くしたこの土地は、徐々に荒れ始める。作物の育たない大地、濁る水、増える魔物に去って行く精霊達。詳しい事は知らないけど、神様が精霊も連れてっちゃったらしい。そして、マナの少なくなった土地には瘴気と魔素が満ちる。

この瘴気と魔素の濃度によって生まれる魔物の強さと種類が変わるんだ。

元々山々に囲まれたこの土地の人々は逃げる事も叶わず、じわじわと滅んで行った。

それがこのアルフの深き森の昔話なのさ。」


「どのくらい、、昔?今も危ないの?」


「ん~正確なのはわからないけど、千年とかは前じゃないかな?僕の父親が子供の時だったらしいし。

あ、かなり危ないから、絶対に一人で歩かない様にね、カムイ。此処までこれたのはその鬱陶しいくらい群がってる精霊の御蔭、、、っうわ!やめろ!別に悪いこと言ってる訳じゃないじゃないか!」


急に顔の周りを手で払うレイ。

しばらく手をぶんぶんさせていた、、、



「はぁ、、、はぁ、、、本当に君に関しては妥協しないね、精霊達は。」


ゴホンと一回仕切り直すレイ


「で、外は危ない。魔物が居るし、この土地には元々精霊が少ないんだ。神様も戻って来ていない様だし、この湖畔に少し帰って来た精霊達がマナを作って、『整えて』くれてるくらいだし。」


「ととのえる?」


「そう、整える。簡単に言えば精霊は瘴気と魔素をマナに変換出来るんだ。ほんと、居なきゃ困る存在なんだよ。」


「ん、わかった。」


少し重くなる目蓋を感じていると、カムイのお腹がきゅぅ、と小さく鳴いた。


「少し話し過ぎたね、とりあえずご飯にしよう。」


「う、、、うん」



「食べたら、レベルあげに行こう」


なんだかわからないが、不安になるカムイであった。

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