第2話 目覚め



『◾️◾️◾️◾️◾️◾️◾️』


遠くから、声が聞こえる


『◾️◾️イ◾️◾️◾️』


暖かに、包み込む様な優しさを感じる


『カムイ』



「ぅ・・・ぅう・・」


腹部に鈍い痛みを感じながら、目を開ける

視界に映ったのは暗闇に支配された風景だった。


また、いつもの様に気を失っていたのだろうと思った神居は、身体を起こすが、身体のあちこちが悲鳴を上げる。


自分が寝転がってる場所に草花が生えているとは気づかずに、、、



なんとか身体を起こすカムイ


「水・・・顔を洗わなきゃ・・・」


頭痛を感じ、手をコメカミに当てると、乾いた血が手についていた。

『このまま』だと起きてきた両親にまた殴られてしまうと、何度かの失敗から学んでいた為、洗面所へ向かわなくてはならない。


未だに目が慣れていないのか、辺りは暗闇に包まれている。

歩き出そうとした神居の頬を風が撫でる。


「え、、、」


そして、気付く。


木々を揺らす風の音

膝まである草花

遠くから聞こえる鳥なのか何なのかわからない動物の鳴き声


見上げると、赤と青の並んで浮かぶ『月』が二つ輝いていた。


「どこ、、?」


理解が追いつかないが、不思議と神居は不安を感じ無かった。

何故かわからないが、身体を暖かい何かが包み込んでいるのを感じたからだろうか。


不思議がっていると、目の前に淡い蒼翠色の『光』がふよふよと漂って居た。


「?」


不思議に思い、手を伸ばすも『光』は神居を誘う様に前へ進む。

何故かわからないが、神居は『光』を追いかける



しばらく『光』を追いかけていると、気がついた時には目の前に一軒の家と、大きな湖畔に辿り着いた。


「わぁ」


とても幻想的な風景が飛び込む。


湖畔の畔から淡い様々な光が浮かんでは消え、空の二色の月を水面に映し出す。

まだ両親が暴力を振るう前、連れて行って貰ったテーマパークのイルミネーションよりも、、、これまで神居が見てきた何よりも、綺麗だった。


まるで祝福でも受けて居るかの様な光景に瞳を奪われて居ると、、、


「君、こんな所でどうしたんだい?精霊達が騒いで仕方ないのだけど、、、」


声が聞こえた


咄嗟に振り向くと、暗がりの中に大人の影


反射的に、神居は後ずさる


『今誰かに見つかるのは不味い』と瞬時に考えた。

前に怪我を負った状態で学校の先生に見つかった時、非常に面倒で、そして『痛い』思いをした経験が、神居を大人から距離をとらせた。



「どうした?何故逃げ、、、どうしたんだその怪我は!?」


慌てて小走りになる大人


見つかる恐怖から後ずさるが、神居は後ろに迫った湖畔に気が付かない。


「!!」


途端に回る視界が、顔が水面に叩きつけられた。

湖畔に落ちると共に神居はまた、意識を失うのであった。

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