十一節、遠山、かつての絶望に会う
三十九、遠山の金さん、破滅を感じる
思えば俺の人生は小学生までは楽じゃ無かった。
何故かと言えば.....俺は裏切りも悲しみも一緒だった様な。
ドロドロの小学生時代だった。
思い出したくは無いな。
思いながら.....暗くして目を閉じてみる。
「.....」
俺はボッチだったけど、それでイジメが起こったのだ。
その中心に居たのはあの女だった。
あの女は.....全てを壊したのだ。
俺は.....眉を顰める。
「ハァ.....」
くっだら無い。
俺は思いながら.....もう二度と会う事も無いだろうと思い。
目を閉じて横になる。
それから.....眠った。
☆
「お兄ちゃん。朝だよ」
「.....」
「お兄ちゃん。朝。朝だよ」
「.....」
何か声がすると思いながら.....薄目を開けると。
起きてー!!!!!と絶叫が有った。
そして俺の布団にボスッと飛び乗ってくる葉月。
胸元が見えて一気に赤面した.....いやいや。
何やってんだ!?
「お兄ちゃんが起きないからだよ」
「.....アホかお前.....朝っぱらから煩い.....」
「今日は何処に行く!?お兄ちゃん!」
「.....お前.....毎日毎日.....本当に飽きないよな.....」
元気いっぱいなのは良いけど.....と思いながら目の前を見ると。
友美ちゃんが柔和な感じで立っていた。
相変わらずのお上品な感じで、だ。
俺は盛大に溜息を吐いて葉月を抱えて下ろす。
「今日こそはゆっくりさせてくれ」
「ダメー!!!!!」
「何でだよ!!!!!」
「あったりまえでしょ!お兄ちゃんのニート防止!!!!!」
ああもう!妹を買ってくれ誰か!
煩い!!!!!と思いながら立ち上がる。
それから、近所の図書館でも行くか.....、とフラフラになりながら言う。
やった!と葉月が喜ぶ。
「楽しみ!図書館」
「そうですね。葉月ちゃん」
「.....」
妹を望む家庭の皆さん。
これがマジな現実ですからね.....。
思いながら俺は.....外を一瞥して見てから。
部屋を出てくれ、と言葉を発する。
「はーい」
「分かりました」
そして俺は自室で着替える。
準備を始めた。
その中で俺はまだ知らなかった。
図書館で.....アイツに会うという事を、だ。
そう.....二度と会いたく無かった.....アイツに、だ。
俺は青ざめるしか.....出来なかった。
☆
近所の図書館。
行くか?と皆んなを誘ったが皆んな忙しそうだった。
その為に俺と葉月と友美ちゃんだけでやって来る。
朝食を食って準備してから、だ。
今日は母親も父親も仕事で俺達だけしか居ない。
「図書館綺麗になってるね」
「.....思った以上にな」
「そうですね」
目の前に有る、有名な建築家が設計したとされる図書館。
俺はそれを見ながら.....息を吐く。
それから.....葉月と友美ちゃんを見た。
行くか、と言う。
「うん」
「そうですね」
それから俺達は図書館に入った。
そして思い思いの日を.....過ごそうと思ったのだが。
俺は横のカウンターの所に居た、図書館員の女を見て.....見開いた。
茶髪に鋭い目。
それから.....顔立ちが厳ついながらも可愛い顔立ち。
だが人を下げずむ.....この目は忘れない。
何でコイツが.....。
「あれ?お前.....もしかして.....遠山?」
「.....何でお前が此処に居るんだ。.....佐藤.....」
「あはは。お前、こんな場所に来るの?クズのくせに」
「.....」
冷や汗が.....吹き出した。
そして体が竦んで動かなくなる。
手汗が溜まる。
そこに居たのは.....佐藤.....果穂。
俺の最大の宿敵だった。
つまり簡単に言えば.....小学校時代の因縁の相手だ。
俺は.....絶望を垣間見る。
「調子に乗ってんな?お前。アタシを図書館員として見ているからって」
「.....そんな事はしない」
「あ?聞こえねーよ」
このクソアマ。
分かっている癖に言いやがって。
思いながら.....眉を顰めて居ると目の前に遮る様に葉月が割って入った。
それから.....友美ちゃんも、だ。
コイツら!?
「.....お兄ちゃんを虐めるな」
「.....です」
二人.....とも。
非常に有難いけど.....マズイ。
そいつらに睨む、佐藤。
まさに不愉快そうな顔をしている。
そして.....葉月の胸元を突き飛ばして言う。
「.....何だこのクソガキ」
「.....やめろ。.....つーかコイツらはどうでも良いだろ。.....それにお前さ、他にも客が居るんだろ。俺だけに絡むな」
「ハァ?遠山の癖に.....そんな事は知ってんだよ。つーかテメェだけは不愉快だからな」
適応する様に歪むその顔も.....二度と見たく無かった。
俺は突き飛ばされた葉月を立ち上がらせながら.....葉月に言う。
葉月。帰ろう、と言いながら、だ。
マジのマジにコイツだけはヤバイ.....!
佐藤が俺を唇を歪ませながら見る。
「つーか.....テメェに妹?ハハハ!!!!!馬鹿の妹ってか!ハハハ」
「.....お兄ちゃん.....この人.....」
唇を噛んで怒気を顕にする葉月。
俺は.....その気持ちを感じ取りながらも何も言わずに踵を返して歩く。
そしてその場をゆっくりと去る。
胃が痛い.....マジに。
この場所にこれ以上居たら気が狂いそうだ。
「.....帰るぞ.....葉月。友美ちゃん」
それを、有難うございましたー、とゲラゲラ笑って見送る佐藤。
俺は.....こんなに至近距離に危機が迫っている事に.....愕然とした。
この場所にはもう来れないな.....と思う。
絶望しか.....感じられない.....。
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