十一節、遠山、かつての絶望に会う

三十九、遠山の金さん、破滅を感じる

思えば俺の人生は小学生までは楽じゃ無かった。

何故かと言えば.....俺は裏切りも悲しみも一緒だった様な。

ドロドロの小学生時代だった。

思い出したくは無いな。

思いながら.....暗くして目を閉じてみる。


「.....」


俺はボッチだったけど、それでイジメが起こったのだ。

その中心に居たのはあの女だった。

あの女は.....全てを壊したのだ。

俺は.....眉を顰める。


「ハァ.....」


くっだら無い。

俺は思いながら.....もう二度と会う事も無いだろうと思い。

目を閉じて横になる。

それから.....眠った。



「お兄ちゃん。朝だよ」


「.....」


「お兄ちゃん。朝。朝だよ」


「.....」


何か声がすると思いながら.....薄目を開けると。

起きてー!!!!!と絶叫が有った。

そして俺の布団にボスッと飛び乗ってくる葉月。

胸元が見えて一気に赤面した.....いやいや。

何やってんだ!?


「お兄ちゃんが起きないからだよ」


「.....アホかお前.....朝っぱらから煩い.....」


「今日は何処に行く!?お兄ちゃん!」


「.....お前.....毎日毎日.....本当に飽きないよな.....」


元気いっぱいなのは良いけど.....と思いながら目の前を見ると。

友美ちゃんが柔和な感じで立っていた。

相変わらずのお上品な感じで、だ。

俺は盛大に溜息を吐いて葉月を抱えて下ろす。


「今日こそはゆっくりさせてくれ」


「ダメー!!!!!」


「何でだよ!!!!!」


「あったりまえでしょ!お兄ちゃんのニート防止!!!!!」


ああもう!妹を買ってくれ誰か!

煩い!!!!!と思いながら立ち上がる。

それから、近所の図書館でも行くか.....、とフラフラになりながら言う。

やった!と葉月が喜ぶ。


「楽しみ!図書館」


「そうですね。葉月ちゃん」


「.....」


妹を望む家庭の皆さん。

これがマジな現実ですからね.....。

思いながら俺は.....外を一瞥して見てから。

部屋を出てくれ、と言葉を発する。


「はーい」


「分かりました」


そして俺は自室で着替える。

準備を始めた。


その中で俺はまだ知らなかった。

図書館で.....アイツに会うという事を、だ。

そう.....二度と会いたく無かった.....アイツに、だ。

俺は青ざめるしか.....出来なかった。



近所の図書館。

行くか?と皆んなを誘ったが皆んな忙しそうだった。

その為に俺と葉月と友美ちゃんだけでやって来る。

朝食を食って準備してから、だ。

今日は母親も父親も仕事で俺達だけしか居ない。


「図書館綺麗になってるね」


「.....思った以上にな」


「そうですね」


目の前に有る、有名な建築家が設計したとされる図書館。

俺はそれを見ながら.....息を吐く。

それから.....葉月と友美ちゃんを見た。

行くか、と言う。


「うん」


「そうですね」


それから俺達は図書館に入った。

そして思い思いの日を.....過ごそうと思ったのだが。

俺は横のカウンターの所に居た、図書館員の女を見て.....見開いた。


茶髪に鋭い目。

それから.....顔立ちが厳ついながらも可愛い顔立ち。

だが人を下げずむ.....この目は忘れない。

何でコイツが.....。


「あれ?お前.....もしかして.....遠山?」


「.....何でお前が此処に居るんだ。.....佐藤.....」


「あはは。お前、こんな場所に来るの?クズのくせに」


「.....」


冷や汗が.....吹き出した。

そして体が竦んで動かなくなる。

手汗が溜まる。


そこに居たのは.....佐藤.....果穂。

俺の最大の宿敵だった。

つまり簡単に言えば.....小学校時代の因縁の相手だ。

俺は.....絶望を垣間見る。


「調子に乗ってんな?お前。アタシを図書館員として見ているからって」


「.....そんな事はしない」


「あ?聞こえねーよ」


このクソアマ。

分かっている癖に言いやがって。

思いながら.....眉を顰めて居ると目の前に遮る様に葉月が割って入った。

それから.....友美ちゃんも、だ。

コイツら!?


「.....お兄ちゃんを虐めるな」


「.....です」


二人.....とも。

非常に有難いけど.....マズイ。

そいつらに睨む、佐藤。

まさに不愉快そうな顔をしている。

そして.....葉月の胸元を突き飛ばして言う。


「.....何だこのクソガキ」


「.....やめろ。.....つーかコイツらはどうでも良いだろ。.....それにお前さ、他にも客が居るんだろ。俺だけに絡むな」


「ハァ?遠山の癖に.....そんな事は知ってんだよ。つーかテメェだけは不愉快だからな」


適応する様に歪むその顔も.....二度と見たく無かった。

俺は突き飛ばされた葉月を立ち上がらせながら.....葉月に言う。

葉月。帰ろう、と言いながら、だ。

マジのマジにコイツだけはヤバイ.....!

佐藤が俺を唇を歪ませながら見る。


「つーか.....テメェに妹?ハハハ!!!!!馬鹿の妹ってか!ハハハ」


「.....お兄ちゃん.....この人.....」


唇を噛んで怒気を顕にする葉月。

俺は.....その気持ちを感じ取りながらも何も言わずに踵を返して歩く。

そしてその場をゆっくりと去る。

胃が痛い.....マジに。

この場所にこれ以上居たら気が狂いそうだ。


「.....帰るぞ.....葉月。友美ちゃん」


それを、有難うございましたー、とゲラゲラ笑って見送る佐藤。

俺は.....こんなに至近距離に危機が迫っている事に.....愕然とした。

この場所にはもう来れないな.....と思う。

絶望しか.....感じられない.....。

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