三十三、遠山の金さん、足利に部活を作ると言われる

デパートと言えば。

単純に考えるなら楽しめる場所だと思う。

階層が楽しめる様になっている老舗だと思うのだ。

だからと言えど.....俺は欠伸が止まらない。

でもまさかデパートに来るとは.....。


そして慣れない事をするもんじゃ無いな、本当に。

思いながら.....デパートの売り場でキャッキャはしゃいでいる五人を見る。

ってかこれハーレムみたいだな.....。

俺はハーレム意識して無いんだが.....何だかそう見えて仕方が無い。


「ね!お兄ちゃん!これどうかな!?」


「.....ニットか.....?」


「そうそう。で、こっちはパーカー!似合う!?」


「.....お、おう」


俺は顔を引き攣らせた。

ベンチ、椅子に座っている俺に次々と嬉しそうに見せてくる、葉月。

でもそれ全部、買えないからな。

俺は静かに心でツッコミを入れながら.....見る。


「これはどうかな。とーくん」


「いや、なんで俺ばっかりに意見を求めるんだお前ら.....」


「だって男の子って東次郎くんしか居ないですよね。意見を貰うのも、です」


飯山と糸玉が俺をパチクリで見る。

だからと俺に意見を求めてもどうしようもねぇぞ。

だって俺は服の名前を、センスってもんを知らないんだから。

思いながら.....溜息混じりに見つめる。


「そんな事でどうするんですか。遠山さん」


鈴がやけに嬉しそうに目を輝かせて俺に話す。

なんだコイツの変わり様。

コイツこんなに少女っぽかったっけ?

俺を散々に下卑た目で見ていた癖に、だ。


「いや.....そんな事って.....そもそも俺は服装にあまり興味が.....」


「じゃあ興味持ってもらいましょうか、こっち来て下さい」


「.....何を言って.....おま!何するんだ!.....きゃー!」


そして俺は更衣室に打ち込まれた。

いや、ちょ、なんでだよ。

思いながら.....渡された洋服を見る。

パーカー、Vネック、ジョガーパンツだっけかこれ。

若い奴向けの服装だな。


「.....面倒くさいな.....」


「そんな事言わないで下さい。着替えて下さい」


「.....いや.....聞くなよ.....」


カーテンの向こうでその様に言ってくる鈴にツッコミを入れながら。

俺は仕方が無いか.....と着替えた。

そしてカーテンを開ける。

そこには鈴とかが何故か待ちわびる様に立っていた。


「似合うじゃ無いですか」


「.....」


「.....」


一部の女性陣が赤面して俺を見ている。

いや.....何と言うか格好良いと思っているかも知れないけど.....俺には全然に似合わないだろこれ。

それにちょっと恥ずかしいんだが。

思いながら.....俺はカーテンをシャッと閉めた。

女性陣が声を掛けてくる。


「ちょ!お兄ちゃん!」


「とーくん!良いじゃない!もう少しだけ!」


「嫌に決まっているだろ!アホか!」


何で俺はこんな目に遭っているのだ!

勘弁してくれ。

俺は盛大に溜息を吐きながら着替えてそのまま外に出た。

ジト目で糸玉が俺を見ている。


「.....もう。格好良かったのに」


「.....俺は嫌だって言ってんだろ。服装をあんなに格好良くするのは似合わない」


「.....もう!お兄ちゃん!卑屈!」


「なんとでも言え」


全く、二度と着ないぞ。

勘弁してくれよ。

思いながら俺はベンチに戻った。

それから.....腰掛けてそして言葉を発する。


「お前らだけでも楽しんでくれ。俺は良いから」


その様に意思表示をしていると。

葉月と友美ちゃん、糸玉がヒソヒソと会話し始めた。

俺は?を浮かべながら見つめる。

そして聞いていると。


「.....女装させようか」


「お、良いね。葉月ちゃん」


「.....お前ら?何を会話しているんだ?」


ちょっと待てコラ。

とんでもない話になっているぞ。

俺は眉を顰めながら.....逃げた。

このままあの場所に居たらヤバイわ。

思いつつ.....トイレに向かう。


「.....ったく」


入ると綺麗な感じのトイレが有った。

俺はそれを確認しながら.....歩くと。

目の前に長谷川がスーツ姿で立っていた。

見つけた長谷川が俺に目を丸くする。


「やあ。どうして此処に居るんだ?」


「.....それはこっちの台詞だ。お前、何しているんだ」


「.....このビルは俺の父親の.....知り合いの関係の店でね。ちょっと用事が有ったら来ているんだ」


「.....いや、凄すぎるけど.....ってかそんな事、友美ちゃんから聞いてないんだが」


あの子には知らせてない。

何故かって言われたらそうだな.....俺はあの子に家の事情になるだけ巻き込みたく無いから、だ。

言いながら長谷川はいつもの笑顔を見せる。

相変わらず.....の笑顔だ。


「.....長谷川。友美ちゃんも居るぞ。会わないか」


「.....御免な。今日は会えない。.....監視が厳しいからな」


そうしていると.....トイレに黒ずくめの男が入って来た。

サングラスを掛けている男だ。

俺はビックリしながらそれを見る。

そうしているとその男は何か告げ口をして。

分かった、と長谷川が話した。


「.....友美は元気かな」


「.....ああ」


「.....じゃあ問題ないな。.....まあ君の事だからそんな問題は起こさないと思っている。.....俺はもう行くから」


「.....」


そして長谷川は、有難う、と呟いてニコッと笑みを浮かべて俺の肩に手を置いてそのままトイレから去って行った。

それで良かったのかどうかは分からないけど.....だ。

何も出来る感じでは無さそうだ。


「.....ハァ.....」


俺は溜息を吐きながら。

用を済ませてから.....そのまま皆んなの元に戻った。

そして.....友美ちゃんには何も言わず。

そのまま暫くデパートで過ごしていたが時間も時間なので帰宅した。

長谷川の用事を気に掛けながら、だ。



春休みは今だに有るが.....長谷川は忙しく動いている様だった。

俺は顎に手を添えながら飯を食う。

葉月と父さん母さんと友美ちゃんが?を浮かべて俺に聞いてきた。

どうしたの?と、だ。


「.....いや。何でも無いよ」


この事が友美ちゃんに知られる訳にはいかないな。

思いながら.....目の前の食事を見つめる。

さて.....どうしたもんかな。

思いつつ.....考えているとメッセージがきた。


「.....?」


スマホのボタンを押す。

食事中なので弄る訳にはいかない。

表示だけを見る。

その人物は.....足利だった。

俺は目を丸くして足利のメッセージを見る。


(今日は楽しい日でしたか?)


と、だ。

俺はメッセージだけ読みながら飯を食う。

するとさらにメッセージが表示され。

そこに書かれていたのは。


(先輩。私、部活を作ろうと思っています。春休みの後に、です。その部活に入ってくれませんか。部活自自体を創設するのが初めてなので.....かなり迷惑を掛けるかも知れませんが、宜しくお願いします。部活の目的は社会貢献したいので.....創設をします)


なんでいきなりこんな文章を?

ってか部活?

マジかコイツ.....と思っていると。

更に文章が続いた。

その事に.....俺は目を丸くした。


(先輩に憧れたから.....創りたいんです。相談乗って下さい)


と、だ。

憧れって.....おい。

いきなりだなコイツ!?


思いながら返事を打とうとしたが母親にスマホを弄っちゃ駄目、と注意されたので.....それ以上は考えれなかったが。

後で返事するか.....。

つーか何を考えているんだ.....足利は?

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