二十七、遠山の金さん、長谷川から真実を聞く

何故か知らないが。

長谷川の妹を預かる事になった。

その事に長谷川に問うが、答えが帰ってくる事は無く。

俺に対して頼む、という言葉だけだった。


「取り敢えずはお前の妹、預かれるぞ」


「.....そうか。流石だな君は」


「.....」


この前に長谷川と長谷川の妹と行ったカフェ。

あそこに今度は糸玉、飯山、足利、長谷川と集合していた。

長谷川の事は名前の、王、と呼んで欲しいと聞いたが。

そんな呼び方は出来ないと断り。

俺は長谷川の呼び名に戻っていた。


「.....君に頼って正解だった。俺の友人達もあてにはなるけど.....だ」


「.....正直言って、お前が俺に妹を預かって欲しいと頼み事をしてくるとは思わなかった」


「君は信頼が出来るからな」


言いつつニコニコ笑う、長谷川。

俺は、ハイハイ、と溜息を吐く。

そうしていると糸玉が俺と長谷川に個々に聞いてきた。


「.....やっぱり話してくれないの?預かって欲しい理由」


「御免な。.....今は.....話せない。色々複雑すぎるから」


「.....」


そういや用件としては以上だが、と俺は言う。

すると長谷川は、分かった。友美については今日中には連れて来るからな、と笑みを浮かべた。

相変わらず人が騙されそうな笑みを浮かべやがるなコイツ。

思いながらゆっくりと長谷川から目を逸らした。


「でもごめん。.....どうしても納得出来ないんだけど」


「.....何がだ?飯山」


「だって一方的に東次郎くんに押し付けてって。.....長谷川くんの事も有るけど一方的ってそれって.....どうしても嫌だ。.....長谷川くん。説明は絶対に要ると思う」


「.....」


長谷川は、それもそうだ、と笑みを消した。

だけど今は訳は話せない。だけど絶対に今度話す、と苦笑しながら口を噤んだ。

俺は.....それを見ながら溜息を吐く。

それから、もう良いや。と呟いた。

長谷川も皆んなも俺を見てくる。


「.....預かるって言ったからには預かる。.....だけど理由は今度、絶対に話してもらうからな」


「.....ああ。有難うな」


何が長谷川の身に起こっているか分からない。

だけど.....俺は預かると言った。

それは有言実行だ。


だから.....預かる事にする。

しかし一体.....長谷川の身に何が起こっているのだろうか。

少しだけ.....気にはなる。

思いながらも今度話すと約束した長谷川の言葉を信じて。

あまり聞かない事にした。


「.....さて。俺は友美を連れて来る為に動くが.....君達はどうする」


「.....私達も行こうか、取り敢えず」


「.....そうだな」


みんなと俺は長谷川に言いながら立ち上がる。

さて.....この先はどうなっていくのか.....だな。

思いながら俺は.....顎に手を添えた。

そして考える。



友美ちゃんがやって来た。

そして取り敢えずは長谷川ともども落ち着き始めている。

因みに友美ちゃんは現在ホームステイという形になっている。

俺は眉を顰めながらスマホの画面を見つめる。


「.....」


長谷川からのメッセージ。

すまないな、本当に受けてくれて有難う。

的な感じのメッセージがきている。

俺は、それは良いんだが.....、とメッセージを送る。


(訳はやっぱり話さないのか)


(話せないな。今は。御免な)


(.....明日には話せるか)


(.....そうだな。明日には話せるかも知れない。学校ででも話そう)


分かった、とメッセージを送る。

だが直ぐに、ああ.....いや。今話せそうだ。と長谷川が言葉を打ってきた。

俺は?を浮かべて、マジか?、と言葉を送る。

ああ、と長谷川から3分ほど経ってきた。


(実の所、今までずっと話せない理由が有ったんだ。それは.....この家なんだが.....監視が厳しいんだ)


(.....どういう意味だ)


(.....常に付き人が俺を見守っていてな。それも何時も何時も何時も。それで話せなかったんだ。今、その付き人はトイレに行っている。だから話すが.....俺の妹と俺は比べられている。それは簡単に言えば成績の差だが.....実は妹はあまり成績が優秀じゃ無い。だから切り捨てられそうなんだ)


(.....という事は.....)


そこら辺は君の想像に任せるよ。

だけど.....俺は本当に妹が大切なんだ。

と長谷川は少しだけ眉を顰めて言う。

俺も.....眉を顰めながら見る。

妹が大切.....か。


(お前の気持ちは分からなくも無い。俺も.....大切だからな)


(ああ。君とはうまく飲み交わせそうだ。ハハハ)


(.....俺がそういうの嫌いって知ってんだろ)


(.....冗談とは言ってないけどな。でも君の嫌な事はしないさ)


俺は溜息を吐きながら.....見る。

それからスマホの画面の時間を確認してからキーボードを叩き。

メッセージを飛ばした。

取り敢えず、時間が遅いから.....と、だ。


(そうだな。詳しくはまた今度話す事にするよ。.....それまで妹を頼む)


(.....俺達に危害が及ばないよな?)


(.....それはさせないさ。俺は.....そこまでされたら家を出る覚悟だ)


「.....」


この世界は息苦しい。

だけど.....こうして俺達は生きるしか無い。

どんなにクソッタレな世界でも、だ。

俺は.....スマホを置いて横の部屋を訪ねた。

真っ暗な中で二人は寄り添って寝ている。


「.....おやすみ。.....二人とも」


スースーという寝息を聞きながら静かにドアを閉める。

色んな事が有ったが.....取り敢えずは明日から平常通りに戻るだろう。

予想外の事だらけだったが。

思いながら.....修了式に思いを馳せた。

無事に春休みを迎えれば良いが.....。

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