二十五、遠山の金さん、長谷川の家庭の複雑さを知る
長谷川はカフェオレ。
そして俺はコーヒーで。
それから友美ちゃんはナッツラテ。
そして.....葉月もナッツラテをゆっくりと飲みつつの中。
俺は長谷川を見た。
「.....友美ちゃんは.....何故友達が少ないんだ」
「.....痛い所を突くね。君は」
「普通に考えたらおかしいと思うだろ。リア充のお前が兄なら.....妹だってそういうの得意なんじゃ無いか?」
「.....友美は対人恐怖が有るんだ」
え?と俺は目を丸くする。
長谷川は少しだけ苦笑しながら俺を見た。
対人恐怖っていうのが.....まあ簡単に言うなら話して相手が不愉快に思う。
つまり.....肝心な時に言葉を発せれないんだ。
と話して長谷川は複雑な顔を浮かべた。
「.....そしてその原因は俺かも知れないから」
「.....え?どういう事だ」
「.....君はずかずかと踏み込んで来るな。ハハハ」
誤魔化された。
俺は、まあそれなら良いや、と思いながら横を見る。
葉月と友美ちゃんはそれなりに良い感じだった。
って言うか.....ん?
「じゃあ何で今日は俺達と会おうと思ったんだ。友美ちゃんがそんな事が有るなら.....」
「.....何故かって?.....友美に慣れて欲しいんだ。この世界に」
それを言っての相変わらずのイケメンスマイル。
何かを隠しているのは分かっているが.....これ以上は聞かない事にするか。
どうせ誤魔化されそうだ。
俺は目線だけ動かして長谷川を見てから葉月に話し掛けた。
「楽しいか。葉月」
「うん。バリバリ楽しいよ。お兄ちゃん」
「.....そいつは結構だ」
俺は苦笑いを浮かべながら長谷川を見る。
長谷川もニコニコしながら葉月を見ていた。
心から笑っている様に見える中で。
裏では.....何を考えているか分からなかった。
俺はそれを思いながら言葉を発する。
「カフェだけじゃ満足しないんじゃ無いか。この二人」
「.....そうだな。君は何処に連れて行きたい?」
「.....俺が決めるのか.....」
「.....そう。君だ。君なら.....色々と理解していそうだしな」
何を言ってんだ?コイツ。
お前の方が理解しているんじゃ無いのか。
思いながら.....長谷川を見るが。
俺に一任している、と言う感じで俺を見ている長谷川。
盛大に溜息を吐いた。
そうしながら.....友美ちゃんと葉月を見る。
「.....お前ら、何処に行きたい?次」
「公園とか」
「遊びたいです」
「.....ん、じゃあ公園に行くか」
長谷川を見る。
そんな長谷川は俺を見て柔和な顔をしていた。
それで良いんじゃないか、と言う感じだ。
俺は少しだけ息を吐き。
それじゃ行くか、と公園に行く準備をし始めた。
☆
「友美ちゃんが公園が好きとは思わなかったんだが」
「.....そうだね。比較的に.....色々と馴染ませているから」
「.....そうか.....」
走り回って鬼ごっこをしている奴らを見る。
友美ちゃんと葉月だ。
汗だくで走り回っている二人を見ながら俺と長谷川はベンチに腰掛けていた。
長谷川は笑みを浮かべている。
「.....君の本性が見れた気がするよ。今日は」
「褒めているのか貶しているのか.....どっちだ」
「.....勿論、褒めているよ。君はやはり俺より優しくて理解者だ」
「.....買いかぶり過ぎだ。俺は.....そんなに優しくも無いし理解もしていない」
それはどうかな。
少なくとも俺よりかは理解していると思う。
障害という壁を、ね。
俺は.....そう言いながらニコッとする長谷川を見る。
「.....さて。動いている二人を見たら俺も遊びたくなった。.....君はどうする?」
「俺は動くの嫌いだ」
「.....でもこの前のサッカーは見事だったじゃないか。俺は君をサッカー部に入れたいと思ったぞ」
「アホ。そんなスカウトはお断りだ。多分直ぐにフェードアウトする」
分かった、じゃあ俺は行くな。
と長谷川は苦笑しながら走り出す。
相変わらずクソ早い。
苦笑いで思いつつ、キャー!、とはしゃぐ三人を見た。
果たして.....長谷川はどの様な問題が有るのだろうか。
何を隠しているのだろうか。
思いながら居ると。
横から.....服装がやたら整ったスーツ姿のおっさんが来た。
何だこのおっさんは、と思っていると遊んでいた長谷川が止まる。
「.....!」
「!!!」
長谷川と友美ちゃんが固まった。
俺は???を浮かべながら見ていると。
長谷川が不愉快そうな顔をした。
それから.....そのおっさんにキツめに言う。
「柊木。この場所まで来るなとあれ程言ったんだが」
「これも全て旦那様からのお達しです」
「.....」
その様な会話が聞こえてくる。
俺はもう一度???と頭で浮かべつつ見ていると見ていた葉月がやって来た。
そしてどうしたのかな?と聞く。
俺は分からん、と言う。
すると長谷川が苦笑しながらやって来た。
「.....帰るな。俺達」
「.....え?どうしたんだ」
「.....家庭の事情だ。.....御免な」
すまないそういう事だから、と。
長谷川は、じゃあな、と手を振って複雑な顔をしている友美ちゃんと去って行った。
スーツのおっさんも俺達に頭をゆっくり下げてそのまま去る。
後に残された俺達は.....ただ顔を見合わせて呆然とするしか無かった。
何かかなり後残りが悪い胃に何かつっかえる感じがしながら、だ。
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