二十四、遠山の金さん、自嘲気味の長谷川を見る

遠山葉月という名前の俺の妹。

小学六年の少しだけお茶目な女の子だ。

そんな葉月には発達障害が有るのだが.....イジメを受けてしまった。

その事に俺は驚愕して家に学校を無視で直ぐ帰りそして葉月を必死に励まし今に至っている。


その日は糸玉達と学校をサボった。

だけど俺も糸玉も.....永遠に学校をサボれる訳じゃ無いのだ。

その為、仕方が無い感じで俺は学校に行き。

そんな学校で長谷川に妹と葉月が会わないかと誘われて今現在になった。


4月になったある日の日曜日。

今日は糸玉も皆んな用事が有ると席を外した。

俺は駅前のカフェの前で葉月と共に待つ。

何と言うか長谷川とはあまり会いたく無いのだが.....仕方が無い。


葉月が本当に楽しみと言っているのだから。

俺は葉月の嫌な事をしたく無いのだ。

その為に額に手を添えながら盛大に溜息を吐き。

横で喜んでいる葉月を苦笑しながら見る。


「楽しみ。お兄ちゃんの同級生.....の妹さんって♪」


「いや、そんなに期待するなよ?俺も会った事は無いんだから」


「でも長谷川さんとは仲が良いんでしょ?」


「.....いや.....仲が良いってか.....」


別に仲が良い訳じゃ無いのだ。

だけど.....長谷川にはお世話になっている部分も数多く有るのだ。


その事などなど有り会わないといけないか。

その様に思い俺は長谷川に会う事を決めたのだ。

だけどやっぱり嫌だな.....と思いながらもう一度、額に手を添える。


俺はボッチだったのに.....何でリア充と待ち合わせているのやら。

そうしていると目の前の道から長谷川が.....可愛らしい女の子と共にやって来た。

俺は手を挙げる長谷川に目を向ける。

長谷川は苦笑した。


「待ったかな」


「.....ああ.....いや.....その子か?」


「そうだな。俺の妹だ」


俺は目を丸くする。

流石は.....長谷川の妹だと思った。

美少女すぎるのだ。


顔立ちは童顔ながらも化粧の似合いそうな大人びた顔立ち。

そして目はクリッとはしているが柔和だ。

かなりの癖毛が有りながらの栗毛色の髪ながらも嫌な感じのパーツでは無い。


俺達をニコニコしながら見ている。

そんな長谷川の妹を見てからカチンコチンに固まっている葉月を見た。

そして促す。


「.....葉月。.....挨拶は?」


「.....あ!そうだった。.....初めまして。遠山葉月です」


カッチンコッチンだ。

俺は苦笑いを浮かべる。

するとそんな少女は、初めまして。長谷川友美(ハセガワトモミ)です、と優しげに挨拶した。

だけどぎこちない感じだ。


俺と長谷川はそんなぎこちないお互いの妹達を見ながら苦笑する。

そうしてから長谷川は俺に向く。

そして、この子は良い子だから、と口角を上げる。

それから少しだけ複雑な顔で目線を逸らした。


「.....友美は.....友達が何と言うかあまり居ない。だから遠山。お前の妹が友達になってくれると嬉しいんだ」


「.....取り敢えず.....葉月ならうまくやっていけるだろ。俺はお前とはうまくやれんがな。hahaha」


「そう言うな。ハハハ」


乾き切った笑みを浮かべる俺に長谷川は歯並びの良い歯を見せながら笑う。

いや、割とマジです。

コイツのイケメンスマイルと色々には毎回困っているのだからな。

思いながら.....俺は控えめに苦笑いを見せた。

控えめの苦笑いって何だよって感じだが。


「.....それじゃカフェに行くか」


「.....そう言ったのはお前だろ。行くか、ってのはおかしいんじゃ無いか」


「それもそうだな。ハハハ。すまない」


「.....」


いちいち笑うな。

本当のマジに苦手だが.....でもコイツは本気で良い奴だと思う。

何故かと言えばやる時にはやるのだ。

だから.....嫌いにはならない。

だけど俺は苦手だが.....。



「友美はこの近所の私立の小学校に通っているんだ」


「.....あー.....マジか」


その私立の小学校は有名な学校だ。

しかも私立だ?

そうなると金が掛かるだろ。

うわー、金持ち。

そうしていると店員がやって来た。


「ご注文は如何致しますか?」


「.....あ、じゃあカフェオレを。友美は」


「.....私はナッツラテ」


「.....」


流石は高貴なお方だな。

小学生でナッツラテとか.....。

ナッツラテ高いじゃんかよ。

すると長谷川が俺に向く。


「君達は?」


「じゃあ俺はコーヒーで。お前はどうする葉月」


「私は.....ナッツラテ!」


「.....いやおい。.....お前.....」


額に手を添えてしまった。

長谷川と友美ちゃんが目を丸くしている。

それから目を丸くしたまま友美ちゃんはクスクスと笑った。

そして私と同じ物、嬉しいです、と言う。


「かしこまりました。しばらくお待ち下さい」


店員はそう言って去って行く。

オイコラ。

ナッツラテ八百円もするんだぞ。

葉月という奴は.....。

すると長谷川が提案してきた。


「今日は俺の提案も有るし割り勘でどうかな」


「.....お前は彼女にもそう言っているのか」


「.....あはは。嫌味だね。俺は彼女は居ないな」


「.....その面でか?おかしくね?」


そうだよ、君みたく.....女の子が集まったりはしない。

こんな俺だから、と少しだけ眉を顰める長谷川。

俺は?を浮かべながらも複雑な家庭環境なのか?と思いつつ。

それ以上は聞かなかった。


「とにかく。今日は懇談会なんだからな。友美。.....葉月お姉ちゃんと友達になってくれるか」


「うん。お兄」


「.....有難うな。友美ちゃん」


「私は優しい人が好きなんです。全然大丈夫です」


友美ちゃんは俺に笑みを見せる。

果たして.....葉月は上手くやれるかどうなのか。

俺は思いながら.....友美ちゃんを見る。

そして.....信頼しても良いだろうか、と思った。


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