二十三、遠山の金さん、長谷川に妹と友達になってくれと言われる

この世界は俺だけが不幸になれば良いと思っていたのに。

何故.....葉月まで不幸にならないといけないのか。

俺は顎に手を添えながら.....目の前を見つめる。

今、足利と飯山がリビングで遊んでくれているが.....。


「イジメって辛いよね」


「.....俺もお前もよく知っているだろうからな。しんどいと思うぞ」


「何でイジメるんだろう。意味が分からないよね。.....本当に意味が分からない」


言いながら.....お茶を淹れてくれた糸玉は俯く。

俺はその姿を見ながら.....前を見る。

あー!負けた!とか言いながらゲームで遊んでいるけど。

思いながら立ち上がる。


「葉月。楽しいか」


「うん。凄く楽しい」


「.....そいつは良かった」


でも.....皆さんまで学校行くの犠牲になる必要は無いと思うんだけど.....と複雑な顔をする葉月。

俺は、だよな、と思いながら皆んなを見る。

しかし皆んな明るかった。


「良いんだよ。葉月ちゃんの為だもの」


「そうです」


足利と飯山はニコッとする。

学校なんて一度、サボってみたかったんだよね。

アハハ、と言いながら足利は笑う。


勿論、学校には電話している。

俺はそれを考えつつ見ながら.....少しだけ柔和になる。

しかしこれからどう対策を講じたものか。


「.....葉月。お前.....学校行きたいか」


「.....今は良いかな。もうちょっと.....キツい」


「.....だったら暫くは休みだな」


無理して学校に行く必要は無い。

俺みたいになったらそれはマズイからな。

葉月にあんな思いをさせたく無い。

犠牲になるのは俺だけで十分なのだ。


「具体的にどうするの?」


コントローラーを持ちながら飯山が言葉を発する。

俺はその言葉に.....まあ今までとった政策でやるよ、と答えた。

それから.....顎に手を添える。


「.....先ずはうちの家族と話し合ってみる。それからだ」


「.....とーくん」


「何だ?」


「無理はしないでね」


心配そうに俺を見てくる、糸玉。

俺はそんな糸玉に大丈夫だ、と答えた。

それから.....前を見る。

犠牲になるとしても俺だけでやってやる。

コイツらを巻き込まない。


「葉月。暫く学校を休むんだ」


「.....うん」


「.....話はそれからだな」


思いながら.....俺もコントローラーを拾う。

それから葉月に笑みを浮かべた。

ゲームすっか葉月、と言いながら、だ。

葉月は笑顔で、うん、と頷いた。

足利が葉月を見る。


「次は何をやろうか?」


「私は.....マ◯オがしたい!」


「そうか。じゃあやるか」


それから俺達はマリ◯をやり始めた。

葉月の調子を見ながら、だ。

そして遊びまくってから.....昼飯を食べる。

この事で葉月は寝てしまった。



寝てしまった葉月を起こさない様に部屋に連れて行った。

それから.....寝かせてから外に出ると。

足利と糸玉、飯山が居た。

皆んな俺を心配げに見ている。


「.....葉月.....疲れていたんだな.....」


「.....そうだね。とーくん」


糸玉が悲しげな顔で言う。

こんなに疲れるまで追い詰められて.....と思う。

これからどうしたら良いのだろうか、俺は。


思いながら.....眉を顰める。

学校を転学させる方法も有るが.....。

とにかく家族が帰って来ないと、と思う。


「じゃあ私達、帰りましょうか」


「.....取り敢えず私も帰るね」


「.....私も」


なるだけ静かにした方が良いだろう。

その様に意見を賛同させて三人は帰る様にした。

階段を降りながら.....糸玉が俺を見てくる。


「大丈夫?一人だけど.....」


「.....俺を何だと思っている。大丈夫だ」


「.....じゃあ.....うん。私達、帰るね」


不安は多少は有ると思う。

だけど.....乗り越えられる筈だ。

そう考えないとキツい。


俺は考えながら.....玄関先に行った三人を見る。

三人は何か有ったら、電話して、と言う。

本当に優しい連中だな.....と思う。


「気を付けて帰れよ。お前ら」


「うん」


「はい」


「大丈夫」


それから皆んな帰って行った。

俺はそれを確認してからリビングに入る。

そしてテレビを点けた。

どうせ下らないニュースばかりで意味は無いかも知れない。

だけど心のわだかまりを取り除きたい為に観たかった。


「.....」


全てが俺の様になっちまったら.....どうしたもんかなと思う。

それこそ本当に参った状況だと思う。

俺は思いながら最悪の方面に傾いている全てを考えながら顎に手を添える。

絶望しか無い状況が多少でも良くなってほしい。

願いながら俺は明日を.....見据えた。



葉月は学校を休む事になった。

現状況では仕方が無いと思うのだ。

俺はその為に葉月の絶望を打ち砕く為に。

と思いながら.....学校で考える。


「遠山」


「.....何だ。長谷川」


「噂で聞いたが.....お前の妹がイジメられているって聞いたんだが」


「.....どっから聞いたんだよ。お前」


コイツには話した覚えは無いんだが。

思いながら.....長谷川を見る。

すると長谷川は俺に笑みを浮かべる。

何だコイツは。


「.....その、もし良かったらだけど。俺の妹と友人になってくれないか」


「.....お前に妹?どんな」


「.....小学の5年だよ。お前の妹と年が近い」


「.....」


長谷川は、どうかな?、と俺に口角を上げる。

俺はそれを見ながら.....溜息を吐く。

そして、分かった、と言った。

それから、で。どうしたら良い、と言う。


「.....今度会おうか。.....駅の近くのカフェ辺りで」


「小洒落ているな。お前。流石はリア充」


「.....リア充ね。.....やっぱり遠山は捻くれているな」


捻くれているんじゃ無いけどな。

コイツはマジに仲良く接してはくれるがやはり苦手だ。

思いながら.....長谷川を見る。

長谷川は外を見た。


「.....お前、いつも桜とか見ているよな。楽しいか」


「.....楽しいとかじゃ無い。日本人の風習だからな」


「そうか.....」


まぁ良いや。

じゃあまた後で、と手を挙げて去って行く長谷川。

俺はそれを、へいへい、という感じで見送りながら.....桜を見る。


それから.....溜息を吐いた。

どうすっかな.....マジに。

長谷川も協力してくれるとは言うが.....。

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