二十二、遠山の金さん、学校をサボる

学校に登校しようと通学路を飯山と一緒に歩くと。

目の前に糸玉と足利がニコッとして立っていた。

俺は目を丸くしながら.....話す。

どうしたんだお前ら、と。


「一緒に登校しようと思ってね。アハハ」


「そういう事です」


「.....」


俺は成る程と思いながら直ぐに飯山に耳打ちした。

今はチャンスじゃ無いか、と、だ。

すると飯山は、うん、頷いて一歩進んだ。

糸玉が少しだけ警戒する。


「い、糸玉ちゃん。あのね」


「.....何?神楽」


「結婚して下さい」


「.....ぁあ!?」


ずり落ちた。

何を言っているんだ!!!!?

俺は驚愕して糸玉を見る。

糸玉は、へ?、と言う感じで真っ赤になる。

すると飯山は鞄から花を取り出した。


「だ、駄目.....かな」


「飯山.....お前.....」


何で結婚になるんだ.....。

と思いながら居ると糸玉がクスクスと笑った。

そして、アハハ、と笑う。

それから神楽を見た。


「.....アンタ、変わったね」


「何も変わって無いけど.....え?変わったかな?」


「うん。なんかつっかえが取れた。喉の奥の」


「.....?????」


目をパチクリする、飯山。

俺は苦笑しながらその光景を見る。

一先ずは.....第一歩だな。

思いつつ、じゃあ行くか、と俺は背中に鞄を回して言った。


「そうだね」


「.....ですね、先輩」


そして歩き出す。

すると飯山に袖を掴まれた。

俺は?を浮かべて背後を見る。

どうしたんだ。


「.....ありがとう」


「.....俺は何もしてない。全てお前がやったんだ。頑張ったな」


言葉に笑顔で飯山は俺を見てくる。

俺はそれを見ながら.....さて、と伸びをしながら歩き出した。

その際に足利が、あ。そう言えば、と呟く。

それから、テスト勉強進んでます?、と皆んなに聞いた。


「そういや進んでないな。あんまり」


「だね」


その言葉を聞いた足利が俺達に提案した。

ニコッとしながら、もし良かったら、と言いながらだ。

俺は足利を見た。


「じゃあ試験勉強会しません?」


「.....何処でやるんだ?」


「.....うーん。じゃあ先輩の家で」


「アホなのかお前は.....」


俺の家にこんな多くの女子を入れたらマジ卍だ。

意味が分からんけどそんな感じだ。

勘弁してくれ。

思いながら否定の言葉を言おうとした、のだが。


「良いですね!」


「じゃあそれでいこうか」


話が進んでいった。

俺は盛大に溜息を吐きながら.....額に手を添える。

何だってそんな.....と思っていると。

メッセージが入ってきた。


「.....葉月?」


俺は断りを入れて葉月からのメッセージを見る。

葉月はガラケーを持っているが。

この時間にメッセージ?何だろうか。

思いながら画面を見ると。


(イジメられた)


「.....は.....」


心臓が金槌で殴られた衝撃を受けた。

そして俺は.....メッセージに返事をする。

どういう事だ?

学校生活は上手くいっているんじゃ無かったのか。

思いながらメッセージを飛ばす。


(私の友達に裏切られた。悲しい。家に.....帰る)


「.....何てこった.....!」


俺は歯を食いしばった。

それから帰宅方向へ向かう。

皆んなが唖然とする中で、だ。

葉月を虐めるなんて許せない!!!!!

だがその腕を糸玉が掴んだ。


「ちょ、ちょっと待って!何処に行くの!?とーくん!」


「すまん。帰る」


「.....か、帰るって.....テスト範囲の授業は!?」


「どうでも良い。今はそんな事より大変だ」


大変って何が?帰っちゃ駄目だよ!と皆んなが制止する。

俺は.....唇を噛んで皆んなを見た。

葉月って子を知っているか、俺の妹なんだが。

と話す。

皆んな真剣に俺を見てきて頷きながら聞く。


「.....葉月は発達障害が有る。お前らなら話さないと思うから話すけど.....いじめられたみたいなんだ。それで家に帰るって」


「.....嘘.....」


「.....そんな酷い事.....って」


皆んなは顔を見合わせる。

このまま家に帰らないでどうする。

思いながら俺は踵を返す。

すると何故か皆んなが付いて来ていた。

俺は驚愕する。


「オイオイ。何やっているんだ皆んな!?.....行ってくれ学校に」


だが皆んなは首を振った。

それから俺に対して笑みを浮かべる。

どういう事だ。

糸玉が先頭だって言った。


「そんな事、出来ると思う?とーくんの妹ちゃんがイジメられて帰って来ているんだよね?じゃあ皆んなで行ってあげたほうが良いでしょ?」


「そうです。私も気になります。一日サボったぐらい構いません。心配ですから」


「私も気になるから」


ね?と皆んな穏やかに俺を見てくる。

その瞬間に学校のチャイムの音が聞こえてきた。

俺は.....それを聞きながら盛大に再び溜息を吐いて見つめる。


それから、どうなっても知らんぞ、と柔和な顔になる。

皆んな覚悟の上のようだが.....。

もう知らんぞ本当に。

それに対して、別に構わないと皆んな頷く。

全くコイツらときたら.....。


そして俺達は俺の家に戻って.....葉月に会った。

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