十九、遠山の金さん、飯山の家に行く
飯山神楽という転校生。
彼女は.....簡単に言うと性格が非常に良く無い。
糸玉に対して妨害工作をしている。
それに加え、糸玉の幸せを破壊すると言った。
宣言したのだ。
そんな馬鹿な事をする様な彼女と馴れ合うつもりは無い。
思いながら.....俺は放課後に教室から出る。
そして背後を静かに見た。
糸玉がゆっくりと付いて来る。
それから、帰ろっか、と言いながら俺に笑む。
俺はそんな糸玉に聞いた。
「.....大丈夫か」
「大丈夫は大丈夫だけど.....やっぱり不安。私を何処まで貶めるかっていう点が.....ね。なんでだろう。.....昔はあんな感じじゃ無かったんだけどね」
「.....」
実の所、俺は糸玉を心配している訳では無い。
俺は昔から性格が歪んでいる為も有る。
それから俺はそんな人間では無い。
でも.....本当に飯山のやり方が汚すぎる。
気に食わないのだ。
だから俺は糸玉に同情している。
そうしていると背後から声を掛けられた。
飯山だ。
俺達に対して付いて来ながら声を発する。
「帰るの?一緒に帰ろう」
「.....何故.....お前と一緒に帰らなくちゃいけない」
「こんな可愛い子ちゃんが一緒に帰るって言ってるんだよ?帰ろ」
この女.....。
反省も無くな感じでムカつく。
そう思いつつ背後を見る。
何を考えているんだコイツは本当に。
横の糸玉が複雑な顔をしている。
俺は飯山に言った。
「お前とは一緒に帰らない。一人で帰れ」
「えっと.....そんな事を言わないで」
「お前のやり方は気に食わないんだ。反省するまで一緒に帰るなどするつもりは無い」
「.....」
眉を顰める飯山。
そんな飯山を置いて、俺達は帰る。
彼女が反省するという事は恐らくは無い。
だから永遠に馴れ合う気は無かった。
俺は怒り混じりにそう思う。
☆
「なんで飯山はあんな感じなんだろうな」
「私にも分からない。でも一つだけ言えるのはあの子は一人暮らしなんだよね」
「.....あー.....そうなのか」
飯山の事は理解する気は無い。
だが歪みが生まれた点が気になる。
歪んだ性格が何処でどう生まれたのか。
その様に思う。
「.....さっきも言ったけど昔は良い子だったんだ。神楽は。でも歪んでいったんだよね」
「.....神楽が.....か。思えないな、そうは」
「うん。でもそれが事実」
でももうこの話は止めておこう。
とニコッとした、糸玉。
それから、じゃあ私こっちだから、と別れた。
糸玉は手をブンブン音が鳴る様に振る。
俺はそれを口角を上げて見ながら.....前を見る。
「.....?」
何故か知らないけど飯山が居た。
右から左に歩いて行っている。
俺は?を浮かべながら付いて行ってみた。
何をしているんだろうな、俺。
そして付いて行くと.....飯山は俺の近所のアパート。
築七十年ぐらいのマジのボロアパートに入った。
何だアイツ。
こんな場所に住んでいるのか?
アイドルしているなら金ぐらい有るだろうに。
よく分からないけどアイツは有名なプロダクションに所属しているんじゃ無いのか。
「.....」
もう良いや、帰ろう。
飯山の事をこれ以上、知る必要も無い。
何というか、飯山は本当に俺は気に入らないから。
そうしていると背後から声がした。
「あっれ〜?何やっているんですか?お兄ちゃん」
「.....お前.....知っていたのか。俺が付いて来ていたのを」
「当たり前じゃ無いですか。探偵よりも下手くそですね。尾行が」
ここで出会ったのもそうですし、せっかくなんで部屋に来ませんか。
と俺を誘う、飯山。
俺は、いや良い、と首を振って去ろうとする。
その腕を掴まれた。
「そんな事言わないで」
「.....良い加減にしろ。お前とは馴れ合うつもりは無い」
「.....分かりました」
諦めた様に腕を離す飯山。
俺の顔を見ながら残念そうな顔をする。
盛大に溜息が出た。
このまま切り捨てても良いんだが.....。
俺の気持ちが複雑だ。
「.....少しだけなら上がっても良いんだが」
「.....え!?本当にですか!?」
「.....?」
何だこの反応。
と思いながらも.....敵の様子を見る事も出来るしな。
考えながら俺は飯山の部屋に向かった。
飯山は何故か嬉しそうに見える。
「お前、なんでこんなボロアパートに住んでんだ」
「.....え?.....あ、い、良いじゃ無いですか。別に。そこは」
「.....???」
女の子の秘密を暴露するのはお勧めしません。
と答える、飯山。
なんだコイツと考えながら.....玄関のドアを開けて入る飯山の背中を追った。
お邪魔します、と言いながら、だ。
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