十七、遠山の金さん、静かな怒りを覚える

この状態になる五時限目の前の休み時間。

俺は机に突っ伏していた。

糸玉は女子と話していて長谷川もリア充をやっている。

俺はそれを確認しながら外を見ていた。


すると五分経った時。

クラスがざわめき始めたのだ。

転校生が、女子がやって来るという感じで、だ。

俺はまた女子か.....と思いながら盛大に溜息を吐きながら外の桜の木を見ていた。


ガラッ


「お前ら。席に座れー。転校生が来たぞ」


一分も経たずして山下が入って来てからその様に話した。

俺は盛大に欠伸をしながら起き上がる。

それから.....目の前を見ていると。

とても可愛い童顔の女の子が入って来た。


「うおおおお!!!!!人形みたい!!!!!」


「ヒーハー!!!!!」


「ヒャッハー!!!!!」


お前らは北斗○拳の雑魚キャラか。

思いながら猿の様な奴らを見つつ目の前を見る。

童顔の女は周りを見渡す仕草をしていた。

よく見ると糸玉が、何で?と言う感じの顔をしている。

俺は?を浮かべながら前を見る。


「じゃあ飯山。挨拶をしてくれ」


「はーい!皆さん、私の名前は飯山神楽って言いまーす!ヨロシク!」


まるでアイドルの様な感じの挨拶に。

周りの女子達は嫉妬の目を向け。

男子達は、イェー!!!!!、と声を発した。

煩いなクソッタレ。


「飯山の席は.....えっと.....」


と山下が探す。

すると、ハイハイ!先生。私あそこの席がいいでーす!、と駆け出して行く。

それから.....え?


俺の前に座り、俺を見て手を握ってきた。

宜しくね遠山くん!、と言う感じで俺に笑顔を見せる。

何だこの女!!!!?


この瞬間、教室が凍った。

糸玉も凍り付く様に.....まるで冷却装置が起動したかの様なカチンコチンに教室の空気も何もかもが凍る。


俺はと言うと。

何だよこの女!?的な感じで愕然と見ていた。

名前まで知っているとか何事だ。

コイツ、マジに何?!


「お前.....何なんだ.....?」


「.....うん?あ、私ね、遠山くんが好きなんだ。あはは」


「.....いや.....」


これはちょっと、どう対応したら良いんですか、これ。

思いながら困惑しつつ居ると横の糸玉が静かに立ち上がった。

キッと睨む様に、だ。

え?と思いながら居ると糸玉が言葉を発した。


「あのさ、何やってんの?アンタ」


「あ、糸玉ちゃんだー!あはは」


「.....あはは、じゃ無いんだけど。神楽」


ちょ、ちょっと待て。

マジに一体、どういう事だ。

知っているのか!?

と思いながら.....聞いてみる。


「知り合いなのか?!お前ら!?」


だが、それを聞いていると山下が割って入った。

ハイハイ、お前ら、仲良くな。

という感じで、だ。

それから話を聞け、という感じで言う。


「糸玉は知り合いなのか?飯山の事は」


「.....こんな奴と知り合いなんて.....」


こんな奴、と糸玉が言って表現したの初めてだと思うんだが。

と思いながら見つめる。

すると、キャルーン、と目を輝かせて糸玉に縋る飯山。

そして言葉を発した。


「そんな事言わないでー!仲良くしよう?糸玉ちゃん!」


「.....」


糸玉はかなりキツイ視線を向ける。

俺は?を浮かべながら見る。

一体、どう言う事なのだろうか、と思いながら、だ。

すると山下が.....頭をボリボリ掻いた。


「まぁ良いや、とにかく.....任せるわ。お前らに。俺は授業が有るからな」


「はーい。先生!」


飯山は笑顔で返事をした。

それから.....山下は去って行く。

そして後に残ったクラスメイトと糸玉は俺を見てくる。

何で俺を見てくるんだ.....。


「宜しくね。お兄ちゃん!」


「そのお兄ちゃんっての止めろ。お前の兄貴じゃ無いんだが俺は」


「え?でもお兄ちゃんだから」


「.....」


駄目だ、この女は.....苦手だ。

俺のボッチセンサーが反応している。

思いながら.....俯いている糸玉を見た。

糸玉もこの状態だしな.....。


そしてこんな感じで.....五時限目の休み時間に至るわけだが。



「お兄ちゃん。学校内を案内して!」


「.....お前一人で行けよ。飯山」


「そんな事言わないで!行こうよ!」


「.....」


クラスメイトからは死ねという目線を感じる。

その視線は別に慣れているから良いのだが.....そんな事より。

糸玉がかなりキツイ視線を飯山に向けている。

何が有ったのだろうか、コイツら二人に。

思いながら聞いた。


「どういう関係だ?」


「ん?仕事上の関係だよ」


「.....って事はまさか.....」


そこまで思って糸玉を見ていると。

糸玉はポツリと呟いた。

立ち上がりながら、で有る。


「.....神楽は私のライバルなの」


「ライバルなんて酷いー!糸玉ちゃん」


「その糸玉ちゃんっての止めてくれない?アンタに言われると不愉快」


糸玉はキッと睨みながら.....そう呟く。

きゃー!怖ーいと俺に縋って来る、飯山。

俺はその手を払い退けながら.....糸玉に聞く。

大丈夫か、と。


「.....うん。ちょっと化粧室に行くね」


「あ、じゃあ私もー」


そして付いて行く飯山。

糸玉は言い返す気力も無い様に見えた。

俺は、大丈夫だろうか.....、と思いながら見つめる。

そうしていると長谷川がリア充と話を切ってこっちに寄って来つつ。

俺を肩を竦めて見てくる。


「.....飯山のあれは演技だ。気を付けた方が良い」


「.....どういう意味だ?」


「.....人には色々有るって事だ。気を付けなよ」


それから苦笑する、長谷川。

俺は?を浮かべながら.....居ると。

廊下をダダダと糸玉が右から左に走って行った。


涙を流しながら、だ。

俺は驚愕して直ぐに立ち上がる。

と同時に飯山が戻って来た。


「糸玉ちゃん、ちょっと体調が悪いみたいだね〜」


何かをしたとしか思えなかった。

その言葉に静かな怒りを覚えて.....歩く。

コイツが何かをした.....としか思えなかったのだ。

そして目を尖らせて静かに飯山を見た。


「.....嘘を吐くな。お前が何かを吹き込んだだろ」


「嘘じゃ無いよ?お兄ちゃん」


「.....アイツは泣いていたんだが。何をした」


「泣いていた?え?でも.....別に何もして無いよ〜?」


思わず手が出そうになった。

だけど落ち着かせて俺は飯山を放ったらかしにして走って行く。

何をしたかは知らないが.....アイツは泣いていたのだ。


このまま放って置く訳にはいかない。

五時限目は始まるけど.....。

しかしあの女.....気に入らない。

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