四節、デート

十三、遠山の金さん、足利に脅される

球技大会クラス優勝の表彰式が終わって、夜になった。

俺は相当な筋肉痛でぎこちない動きで勉強しながらスマホを弄る。

何でこんなに動いたんだろうな、俺は。


そんなに人の為に動く様な人間じゃ無いんだが.....。

思いながらメッセージを見る。

そこにはこう書かれていた。


(今日は凄く格好良かったよ。とーくん)


糸玉のメッセージ。

俺は少しだけ恥ずいなと思いながら頬を掻く。

それから.....メッセージを送る。

目の前の卍解で有名なジャンプの漫画を見ながら、だ。


(.....分かった。有難うな)


(今夜はしっかり寝てね。筋肉痛になっているんだよね?)


(そうだな。しっかりと筋肉痛になったよ)


マジの本気で困ったもんだ。

全く、と思いながら.....少しだけ口角を上げる。

嫌な気分じゃ無いんだけど.....体は痛い。

今日は早く寝よう.....。


思いながら、すまん寝る、とメッセージを送ってそして、分かった御休みなさい、メッセージを受けながらスマホを置いた。

すると。


「.....ん?」


(先輩)


突然に足利からメッセージが来た。

今日放課後に、足利とラ◯ンを交換したのだが.....寝る直前になって何事だ。

思いながらメッセージを見る。

それから、何だ、とメッセージを送った。


(日曜日にデートして下さい)


「.....!?.....アホかコイツ!」


思いっきりに吹いたわ。

直球過ぎるだろ。

何でそうなるんだよ?

俺は赤面しながら足利にメッセージを送った。

良い加減にしろと、だ。


(良い加減も何も。私は先輩が好きなんですから)


(あのな.....好き好き言われても俺はお前とは付き合わない。そして何故に付き合ってないのにデートしないといけないんだ)


(そんな事言わないで下さい。ね?)


あのな.....。

その次に、お願いします、とメッセージをくれてもしないもんはしない。

思いながら.....足利にメッセージを送った。

すると、次にとんでもない内容が送られてきて俺は唖然とする。


(じゃあ良いです。私、先輩に強姦されたって警察に言います)


(ざけんなテメェ!!!!!アホかぁ!!!!!)


(嫌ですか?じゃあデートして下さい)


(お前.....将来、絶対に性悪になるぞ。マジに)


もう性悪なんで問題無いです。

先輩、今度の日曜日、楽しみにしています、来て下さいね。

どうせ暇でしょう?

とメッセージが次々に来る。

コイツ!!!!!


「.....ぐぬぬぬ.....!」


この野郎.....絶対に許さない。

思いながら.....俺はスマホを握りしめる。

だけどどうしようも無く、盛大に溜息を吐いた。

どう糸玉に説明したもんか。

考えていると足利は更にメッセージを送って来た。


(因みに休みは駄目ですよ。命令です。来なかったらそれなりの罰が有ると思って下さい。そして糸玉先輩には連絡済みですのでご安心下さい)


何て事を。

悪質過ぎて笑いしか出てこねぇだろ。

思いつつ眉を顰めた。

糸玉に殺される気がしてきた。

何で俺はこんな目に遭っているのだ?


(それじゃあお休みなさいです)


(お前.....絶対に許さん)


(それは困りました〜)


困りました〜、じゃねーよ。

そしてメッセージは途切れた。

何を言っても無駄だなこれは.....。


他の男なら喜ぶかもだが俺にとってはマジに苦痛でしか無いなこれ。

思いながら.....俺はスマホを充電器に繋ぎ。

そして不貞寝した。



あっという間に時間は経過した。

なんせ球技大会が木曜日だったから。

日曜日になり、俺は外に出ようとする。


母さんとかは仕事で家には居ない。

取り敢えず適当にごまかして帰ろう。

思いつつ.....服装も適当に選んだ、のだが。


「駄目ぇ!!!!!」


「何がだよ!」


「お兄ちゃん!そんな服装で女の子とデート!?馬鹿じゃ無いの!?」


「何でお前がデートの事を知ってやがる!?」


何で知ってんだコイツ!?

足利の野郎!?

俺は背後で服を引っ張る葉月に盛大に溜息を吐いて説明した。

今日はデートじゃ無い、と、だ。

だから服装なんて適当で良いんだ、と、だ。


「それって本当に?」


「.....マジだ」


「.....ふーん.....嘘だったら私、お兄ちゃんと絶交しても良いんだよね?」


「.....」


ジト目で見てくる、葉月。

汗が噴き出た。

コイツまでとんでもない事を.....。

思いながら俺は額に手を添えた。


「.....ああ。絶交でも良いぜ!絶交上等だ!だから今日はデートじゃ無い!」


「.....ふーん.....良いんだ.....ふーん.....ふーん.....」


「.....」


ジト目が消えない。

誰か助けてくれ。

マジに俺を助けてくれ。

何で妹にまでこんなゴミの様な目で見られているんだ。

いや、割とガチに勘弁してくれ.....。


「.....お兄ちゃんは最低だね。今日がデートの日だよね?」


「.....もう行くからな。葉月」


「その服装で?本気で恥だね。お兄ちゃん」


「ああもう、分かったよ!着替えれば良いんだろ!!!!!」


この言葉に一気に表情が明るくなる、妹。

コイツ.....クソ。

足利の野郎、先に布石を打ちやがって.....!


本気の絶対に許さない。

思いながら面倒臭げに靴を脱いでから自室で服装を変えた。

面倒臭くて仕方が無い。

そして下に降りると、葉月が仁王立ちしていた。


「因みにデートを切り上げたりして早く帰って来たら怒るよ。夕方に帰って来て。女の子を泣かせちゃ駄目」


「分かったよ.....」


これじゃサボれないじゃねーか。

マジに困ったな.....。

考えながら外出着を整えながら鞄を持って玄関から外に出る。

そして盛大に溜息を吐いて.....実家を去る。

本当にクソッタレだ。

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