十二、遠山の金さん、クラスが優勝する
俺の小学校時代の後輩が俺に恋をしたと告白してきて生まれて初めての告白に動揺しながら。
それを受けても良かったのに何故か知らないけど告白を断ってしまい。
そして後輩は傷付いた様に怒って行ってしまった。
何と言うか今は糸玉が好きとかじゃ無いのに.....一体、何故だろうかと思いながら俺はボールを考えながらヤケクソに追う。
まあ、パスが下手くそなので俺からボールを直ぐに奪われるけど。
お前邪魔、的な目で見られる。
「.....」
そして直ぐにボールを奪われた後、俺は外野を見つめた。
そこにはニコッと笑む、糸玉が居る。
俺はその様子を見ながら頭で、とーくん、と聞こえたあの声を思い出す。
そして糸玉は、とーくん、と呼び始めた。
何か.....関連が有るのだろうか。
思いながらも考えても仕方がねぇか、と思いながら.....ボールを追った。
しかし。
「試合止め!」
審判のホイッスルの音と声が響き渡り。
結論から言って.....優勝した。
うちが三点で相手が一点で、だ。
俺は地面に座り込む。
まさかの優勝かよと思いながら、だ。
夕焼け空を見ながら.....盛大に息を吐く。
そうしていると背後から声がした。
「お疲れ」
「.....お前か、長谷川」
腰に手を当てた長谷川が現れた。
そして服で汗を拭う。
このクソッタレイケメンめ。
その光景も様になって女子が、キャー、と言っている。
優勝の方なのか長谷川に言っているのか。
それは分からんが。
女子が煩い。
「ナイスパスだよ。ハハハ」
「何処がだ。鈍臭いだろあのパス」
「.....でも君のお陰も有る。優勝出来たのは、ね」
「.....」
そして手を差し出してきた。
俺は.....少しだけ笑みを出しながらその手を握る。
それからコートを後にして、先に終わった女子達を見る。
長谷川の周りに女子が沢山、わんさかと来る。
俺はそれを苦笑気味に見ながら.....目の前を見ると。
タオルが差し出されていた。
「.....糸玉.....」
「お疲れ様。格好良かったよ。とーくん」
「.....何処がか分からないが、有難うな」
「.....やっぱり君は格好良いね。あはは」
恥ずかしい事を.....。
思いながらタオルで汗を拭う。
今日は本当に疲れたな。
思いながら表彰式の時間まで待つ。
すると.....目の前から足利がやって来た。
「.....足利?」
「.....先輩。お疲れ様です」
「.....お、おう」
俺は目をパチクリしながらそう返事をする。
すると.....横に警戒心を見せて立っている、糸玉に足利が話し掛けた。
まるで何かを決意したかの様に、だ。
俺は?を浮かべる。
「.....糸玉先輩」
「何かな」
「.....私、負けませんから」
「.....!」
私は.....先輩がやっぱりどうあっても好きですから、と宣言した。
その言葉に.....糸玉は、そうなんだね、と対抗心を露わにする。
そしてバチバチと火花を散らした。
俺は、お、おい、と静止する。
「.....でも糸玉先輩の心がいかに先輩に向いているのか分かりました。でも.....私.....糸玉先輩から振り向かせてみせます。きっと。だって私も好きですから」
手を差し出してきた、足利。
これに対して糸玉は見開いて笑みを浮かべた
それから.....分かった、と答えながらその手を握る。
固い様々なものの現れの様に見える。
俺は溜息を吐きながら.....背後を見ると。
長谷川が柔和に立っていた。
「何だ?楽しそうだな」
「.....楽しくねぇだろ」
「.....ハハハ。.....それはそうと君を大切にしてくれる女の子。それはきっと.....とても大切な事だ。君が責任を持てよ」
「言われんでも分かってるっつーの。アホ」
当たり前だろそんな事は。
どうなっても俺は.....この二人を守るつもりだ。
だから問題は無い。
それが俺の義務だと思っているしな。
そうしていると長谷川が背後を指差した。
「ところで表彰式の時間になるから.....君らも並んでくれ」
「いや、お前が統率するのかよ」
「ハハハ。言ったろ?協力する事は最後まで協力するってな」
「.....ハァ.....」
なんつうか.....面倒臭い。
と思いながらも俺は笑みが収まらなかった。
泥だらけの者達、俺を気にしてくれる人達に囲まれている。
この今を.....壊したく無い気持ちが俺にも芽生え始めたのだろうか俺は。
と思う。
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