四、遠山の金さん、衝撃の事実を知る

幼馴染(?)が家に来た。

俺は妹と遊んでいる幼馴染(?)の少女、糸玉を見ながら。

化粧をして輝いているお茶を用意している母さんを見る。

本気でうちの家族ときたら.....と思いながら俺は額に手を添える。


「それにしても.....やっぱり昔と変わらないね」


「.....」


俺は周りを見ながらの糸玉を見る。

糸玉はきっと嘘を言ってないと思う。

でも.....母さんも昔会った?でも糸玉さんの事は記憶に無いわね、と言っている。

もしかしたら俺の家族に会ってないだけかも知れないけど.....でも幼稚園の頃だろ?

だったら保護者として会っている様な気がするんだが。


「お茶、美味しいです。お母様」


「あらやだ。お母様だって.....!アハハハ。有難う、糸玉さん」


「いえいえ」


「.....」


それはそうとウチの家族がもう少し穏やかになってほしいんだが。

思いながら.....俺は盛大に溜息を吐いた。

糸玉は笑みを浮かべている。

やはり記憶に無いな、この横顔.....。


「東次郎くん」


「.....何だ」


「家に招いてくれて有難うね」


「.....別に.....うん」


何でも許せそうな笑顔に本気で気が狂う。

思いながら.....気を逸らす目的でテレビでも点けるかと思い、テレビを点ける。

ちょうど、夕方十七時のアニメがあっていた。

俺は.....美少女アニメのキャラに耳を傾ける。


「.....ん?」


何だか聞いた様な声がする。

俺は???を浮かべながら妹と遊んでいる糸玉を見る。

まさかな。

確かに糸玉は声が小学生の声に近い.....が。


「.....糸玉。お前.....声優とかじゃ無いよな?」


「.....え?」


「.....いやお前の声、今の目の前のテレビアニメのキャラの声に似ているんだが.....」


「.....」


無言で汗を流し始めた、糸玉。

俺は?????を浮かべながら.....糸玉を見る。

一体.....何がどうなっているのだ?

思いながら.....ジッと糸玉を見つめる。


「わ、ワタシハアニメニデテナイヨ?」


「.....嘘だな。お前、嘘がマジに下手糞だな。どうなっているんだ?お前.....アニメの声優だったのか?」


「え!?虹お姉さんってアニメの声優さんなの!?」


「.....」


物凄い汗を流し始めた糸玉。

成る程な.....それだったら芋づる式に全て分かる。


何がって?

だってコイツ.....最初の頃に、テレ、と言ってたじゃ無いか。

多分これは端的に言うとテレビの事だ。

そして.....ダイエットは多分.....テレビに出演しているから、だ。

待てよ?


「.....うん?じゃあお前.....声優でアイドルなのか!!!?!」


「.....え!?」


「.....!?」


え、アイドル!?

思いながら見つめていると。

そこまでバレたのなら仕方が無いねぇ.....とテレビを観る。

そして息を吸い込んだ。

それからアテレコをする様にする。


「ワタシ、知ってる。何をって?それは.....皆んな.....敵だって!!!!!」


その場が凍った。

俺は見開いて.....糸玉を見た。

糸玉は、エヘヘ、と恥ずかしがる。

いや、これはかなり衝撃なんだけど!?


「.....マジかよ.....」


「すっごい!!!!!」


妹が目を輝かせる。

有難う、と糸玉は再び恥ずかしがる。

よく観るとアニメは終わりのクレジットになっていた。

そこに確かにカタカナだが、ニジイトダマと書かれている。

つうかマジに予想外の事態なんだが.....。


「.....お前.....声優なのか?それともアイドルなのか?どっちなんだ?」


「どっちもだよ。今の声優ってアイドルなんだよ?どっちにもなっているんだ」


「.....マジすか.....」


それで眼鏡を掛けているのか。

思いながら.....糸玉を見る。

糸玉はこんな私は嫌い?と悲しげに言う。

いや、予想外だったけど.....お前なら有り得ると思った。

そうしか言葉が出ない。


「確かに声優はアイドルだな。可愛ければ何でも有りだしな.....でもまさかこんな身近の人物が声優でアイドルなんて思って無かったんだが.....」


「ごめんね。隠していたんだ。職業柄、ね。でも.....バレちゃったらもう仕方が無いよね」


後頭部を掻く、糸玉。

俺は再び溜息を吐きながら見つめる。

すると糸玉に葉月が抱き付いた。

それから目を輝かせる。


「虹お姉ちゃん!もっとやって!!!!!」


「良いよ!あはは」


「.....ハァ.....」


糸玉は本当に変わっている。

そして糸玉は俺の記憶には無い。

だけど.....一生懸命に歩み全てをやっている。

その事を.....俺は本気で知った気がした。

本当に今、凄いと思ったから、だ。


「でも東次郎くん。この事は内緒にしてね」


「.....話さねぇよ。俺はそれなりに場を弁える人間だから.....それにそんな親しい奴も居ないしな」


「うんうん。だから好きだよ。東次郎くん」


「.....お前.....」


気軽に言い始めやがったな。

母さんが泣いているから止めてくれ。

面倒臭いな本当に。

思いながら.....俺は額に手を添えて首を横に振る。

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