第21話 またたき

煌めくような町並みに

雨上がりの空模様

キレイなものを詰め合わせて

此処にある日々を歌おう

全ての限りを

有限であることを

尊いものだと誇れる間に

何時かの絶望にさいなまれる前に

ガラス細工な全てを抱いて

僕は今日を夢見るように揺蕩う


欠けがえのなさは瞬間で

思うよりも体感で

刹那の間に過ぎ去った

過去は過去だから愛おしく

今は今だから尊いと

滲む景色にうつしとろう

記憶は何時も不確かで

忘却だけが平等でも

一瞬だけが真実だと

心は全てわかっているから


透き通るような星空に

木漏れ日が囁く水面

輝くものを織り込んで

此処にある時間を抱こう

永遠になれないものを

いつか終わるからこそと

微笑えるように

未来の悲嘆に溺れる前に

薄氷の上を歩くような慎重さで

僕は今に微睡むように溺れた


瞬きの間に変わる風景を

留まれない刹那を

何時か懐かしく思い出すのでしょうか

無くしたからかけがえがないとは謳わないで

焦がれるから美しいとは嘯かないで

此処にあるすべての確かさが

いつか曖昧になるとしても

キレイなものだけを閉じ込めて

それでも、それが其処に在ることを

在ったことを僕は忘れない

この今が全てだと

わらって、わらって

息ができないほどの

泣きたくなるようなこうふくを

僕もあなたも解っているから


さいわいを、一瞬を

宝物のように抱いていこう

永遠になれないそれを

久遠になれない今を

シルベとして

呼吸が停まるほどの一瞬が

僕を生かすすべてだから

わらって、わらって

声を出ないほどの


またたくような刹那の意味を

きっと抱いて生きていく









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