第20話 選べなかった唄

あの空に飛び立つことが勇気だとか

あの路に飛び出すことが決意だとか

そんなことはどうでもよく

空も路も此処にはない

この綱渡りのような道の上が全て

落ちなかった、堕ちれなかった?

YesやNoは此処にはない

結果だけが正しく全てだと

今を生きる自分を受け入れて


投げ出せないのは愚かだとか

人は賢く逃げる生き物さとか

聞いたことがあるような台詞じゃ

流れる日々には欠片も留まれない

決意も勇気も此処にはなく

漫然とただよう運とダンス

YesやNoではからないで

それはあんたが理解したいだけ


何に報われなくなって

多くの道は勝手に続いた

その日々を尊いなんて

キレイゴトの台詞にはもう飽いた

結末だけが純然たる真実だって

今を投げ出すあんたに皮肉る

canやcannotで語らないで

竦んでいたって明日はくる

惰性の日々はガラス色


これは選べなかっただけの唄

何かを選んだあんたに唄う

何かを選んだ気になるあんたらに唄う

其処から見えるこの僕は

canやcannotで決めれないから

勇気じゃない

決意じゃない

選んだあんたにどう見えても

グレーで歪な宙ぶらりん

落ちなかった、堕ちれなかった、だなんて

そのすべてを羨みながら

悔いいりながら

今を生きる自分を唄った


空はただ青いだけ

路はただ続くだけ

其処には誰の勇気もなく、決意もなく

選べない日々を選び続けた

その這いずるような生き汚さに

応えろ、答えろと僕は叫ぼう

逃げ場のなさに逃げ続け

行き場のなさに生き綴る

Yesもcanも此処にはない

在り来たりの今だけを唄ってー


正しく僕だと指し示せ
















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る