第5話 人魚姫

たゆたう想いに揺られて

泡になりそうな心を抱こう

君に届くまでの痛みの軌跡に

君に届いた傷む足どりを

泣かないわ、泣きわしないわ

君が微笑うその隣で

疼くキモチの答えはなぁに?

私は知ってる、悲しい唄


君に届く声は失せた

言葉は泡沫、嘘つきで

例えばナイフを握ったとしても

君にふりかざす、痛みはないよ

例えばナイフを渡されたとしても

抉る想いは私だから

真珠の涙?イラナイわ

流す分だけ、私は微笑おう


キレイなだけの心じゃないの

歌声は、ひび割れて

祈るだけの姫ではいられない

透明な私は消えていく

微笑ってくれたのは君でしょう?

私をすくいあげる鮮やかな世界


これは不幸せな物語?

君に堕ちたいたいけな

海の中に沈めば幸せ

知らなければ泡にもならない

嘘つきね、嘘つきね

これは狂おしくて、愛おしい

いっとう大切な私の物語(オハナシ)

哀しい唄なわけがないわ

誰よりも、何よりも

君を想った唄なのだから


虚飾の世界はいらないわ

綺麗なだけではツマラナイ

君に至るための痛みが溢れた

私が得た恋心

望むだけの姫じゃないでしょ?

君の隣を焦がれるから

泣かないわ、泣きわしないわ

君の傍で微笑っていよう

言葉(コエ)を失くした心をつくすの

例えば泡に消えたとしても

君には私の笑顔を刻もう

これは愛おしい唄なのだから


ねぇ―人魚姫(アナタ)もそうだったのでしょう?

悲劇のヒロインなんて言わせないわ

私も人魚姫(アナタ)も恋を知る、幸せな御伽噺

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