4. ニメール・エロー
設定資料集 第四弾!
今回は、『Skorpion』第二の主人公と言える、あどけない殺戮少女、ニメール・エローです!
◎基本情報
本名:ニメール・エロー
Nimer Hello
誕生日:1929年7月8日(物語開始時の年齢:16歳)
出身:フロイデンヴァルト(プロイス南西端、ガーリーとの国境沿いの町。北・東・南を黒の森に囲まれ、西にライン川が流れる。僻地ではあるが、国境の町である上に攻め辛い立地で、軍事的重要性は高い)
◎略歴
第一次世界戦争が終わってから、およそ11年経ったプロイスの片田舎、フロイデンヴァルトに生まれる。
家族はガーリーとの国境たるこの町で宿屋を営んでいた。国境地帯のこの町には特に珍しいことではないが、度々統治する国家が入れ替わる歴史の中、家族はガーリー統治自体にこの町に住み始めた非プロイス系の一族である。
1938年、ニメールが9歳になった年に第二次世界戦争が勃発する。
1944年春、合衆国軍を主体とした連合軍の大部隊が、フロイデンヴァルトを占領。この町をプロイス侵攻の橋頭堡にするべく、要塞化工事を始める。この工事には、町の住民が不当に徴用され、そのような横暴の中で住民間に反連合軍感情が高まり、名高いフロイデンヴァルト・レジスタンスが結成される。この頃、若干14歳であったニメール・エローは、母親を連合軍将兵により強姦された挙句に殺されており、レジスタンスの中心的人物の一人となる。彼女の指揮下で、陰湿だが、確実に敵にダメージを与える小さな事件を連発させ、策士としての片りんを見せる。
1944年11月11日、満を持してマンシュタイン将軍による黒の森作戦が決行される。フロイデンヴァルトを占領していた連合軍は殲滅され、町は解放される。
が、最終的にプロイスが敗北すると、結局、国境沿いの町は連合軍の往来が集中し、奢った戦勝国の将兵が、実家の宿で度々無法を働くようになる。これに我慢ならないニメールは、彼らを逐一惨殺し、宿の庭に埋めていた。
そして、募る連合軍に対する反感は、壮大な計画を抱かせるに至り、戦後不意に町を訪れた救国の英雄たるマンシュタイン将軍との出会いにより、いよいよ形を帯びることになる。
◎容姿
金髪の二つ結びのおさげ髪。目の色はターコイズブルー。
身長は年相応に小柄なものだが、二つのお山は世代平均より明らかに豊か。ジャンプしたとき暴れるそれに、思わず冷徹な将軍も目を離せなかった……。
服装は、思えば本文中で明記していなかった気がしますが、宿屋の給仕服とお考えください。
◎人物像
少女らしい愛らしさのある宿屋の娘、という表の顔と、連合軍を最も苦しめたレジスタンスの悪魔的な首班、という裏の顔を併せ持つ。
特にレジスタンスとしては、敵に対し情け容赦がなく、殺すことに何ら罪の意識を持ち合わせていない様子でさえある。降伏した敵将兵を無下に扱おうとし、マンシュタイン将軍から諫められる場面もあった。
また、非常に優れた策略家であり、戦略・戦術両面において優れた才能を見せる。マンシュタイン将軍も同様に優れた策士だが、彼と一つ際立って違う部分を挙げるとすると、ニメールは“ハッタリ”や“賭け”に躊躇がない。敵の片方には微塵も攻撃していないにも関わらず、は? 当然攻撃してますけど? と残り片方に大嘘ついたこともある。
策略家でありながら、前線で拳銃を片手に指揮をとる戦士でもあり、その勇猛さとカリスマ性から、他のレジスタンス・メンバーより尊敬を集めている。
天使のような顔の裏で、えげつない作戦を考え、町の男たちをまとめ上げながらピストルをぶっ放す……言うなれば“かわいい顔した悪魔”である。
◎壮大な計画とは……?
実家の宿屋で度々連合軍将兵を屠ってきたニメールだが、幾らヤッてもキリがなく、より大々的な行動の必要性を感じていた。個人や町ごとのレジスタンスの抵抗では、強大な連合軍には大したダメージにならない。そこで、全国のレジスタンスをまとめ上げ、一斉に立ち向かうという構想を立てたのだ。
市民に暴力を振るい搾取する占領軍を排斥するために、局所的なゲリラ戦から、全面戦争へ切り替える、というトンデモな発想ではあるが、戦略的には正解であり、この辺りにニメールの天性の策略家としての優秀さが見いだせる。
しかし、いかに素晴らしい計画だろうと、実行の手段がなければ意味がない。スパイ活動を行っている姉のロマーヌに、実行の糸口になるような情報の収集を依頼し、有用なものを幾つか掴んでいたが、活用できるほどの実力が絶対的にない。そこに、偶然マンシュタイン将軍一行が町に現れ、奇跡的にピースが揃ったのであった。
◎関係者
・ロマーヌ・エロー
:ニメールの姉であり、スパイ活動を通してニメールとレジスタンスの行動を支援する。姉妹仲は親密であり、久々に会う場面に遭遇した者は、ニメールの甘い「姉さま!」という声とハグからのロマーヌの優しい頭なでを見ることができる。てえてえ。なお、ブラコンこと、マリーのようなヤバイ感情はない様子。
◎モデル
特にはいませんが、全国のレジスタンスをまとめ上げて、強大な敵を追い払おうという考え方は、ユーゴスラビアの指導者、チトーのパルチザン闘争に影響を受けています。
作中にて、マンシュタイン将軍が、ニメールからこの構想について聞かされた際、真っ先にバルカン半島での闘争の例を挙げていますが、まさにこれはチトーの闘争のことです。もしかしたらニメールも、その話をどこかで聞いて影響を受けたのかも……? そう考えると、歴史のつながりが感じられて面白いですね!
また、女性活動家という点では、ドイツの女性共産革命家ローザ・ルクセンブルクや、反ナチの白バラ抵抗運動で散華したミュンヘン大学の学生ゾフィー・ショルなどの存在が念頭にありました。
個人的なイメージなのですが、ドイツって歴史上、有名な女性活動家が比較的多い気がするんですよね。ワルキューレの国なだけあって、勇猛な女性英雄が生まれやすい文化的土壌なんでしょうか。ニメールの存在も、そんな背景に裏付けられていると言ってもいいかもしれません。
◎まとめ
家族経営の宿屋を健気に手伝う16歳の少女……でありながら、えげつない作戦を考え、平然と敵をぶっ殺す悪魔。しかも、天使の顔と悪魔の顔の間に、何ら躊躇いや迷いがない。何なら敵を殺戮する=人を殺すことについて、全く罪悪感がない……。悲惨な戦争の時代が生んだ、悲しきモンスターと言えるかもしれません。
現時点で、作中で一番心が壊れているキャラなんじゃないかと思います。何がヤバイって、明らかに正常じゃない精神構造なのに、本人が無自覚という……。いっそ気付かない方が幸せかもしれません。
ただ、遺体を自分ちの庭に埋めたり、知らないおっさんのカフェの軒先に吊り下げたりするのは、ヤバイと気付いて欲しいところですね――。
さて、いかがでしたでしょうか!
“天使の顔した悪魔”は、マンシュタイン将軍への第二の依頼人であり、第一の依頼であるマリーの弟探しから始まった『Skorpion』を、自由をかけた戦争というもう一つの壮大なエピソードへ導くキーパーソンでした。
マンシュタイン将軍が受けた二つの依頼が、どんな物語を紡いでいくのか。皆さん、引き続きお楽しみに!!m(-k-)/
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