限前とリエル8(中断)

?:………分かれば、いい。


(限前の想像に反して、あっさり槍を引っ込めると彼は何処かへ姿を消した)


限前:行っちまった、か……なら今のうちに"フルダイブ"で記憶を…………


(そう思った矢先、間髪入れずに誰かが部屋に入ってきた。あまりに早かったため、限前は酷く動揺してしまった)


日向:…………失礼します、零。目が覚めたと聞きまして。


限前:……………ひ、日向か……。一体、誰がお前さんに……?


(日向の陰に、"彼"がそっぽを向いたまま付き添っていることに気が付いた。)


………どういうこった……?(全く、状況が飲み込めねえ……)


日向:精神世界で、意識不明の重体に陥った貴方を救ったのは彼です。


……確か、海で溺れたそうですね。


限前:……………やっぱり……俺が見たのは、お前さんだったのか……


最後の一瞬、水底に居たんだよな?


?:……………………。


("彼"はちらりと視線を向けるも、何も答えようとはしない)


限前:……ありがとよ、助けてくれて。下手したら俺、あのまま死んでたかも知れねえ。


?:…………俺の意思じゃねえ。礼なら"アイツ"に言うことだ。


(背を向けて言い切ると彼は部屋を後にした。残された限前は必死に何かを考えようとするが……)


日向:零。彼の事が気にかかるのは分かりますが……今はまだ、休みなさい。身体に受けたダメージすら癒えてないのですから……


限前:……なら…一つだけ教えてくれ、日向。お前さんは………アイツが誰か、知ってるのか?


日向:…………ええ。直接自己紹介をしてもらった訳ではありません。なので、彼の名前は存じませんけど……リエルの中にいた"第二人格"でしょうね。


限前:……………そう、か…………だから……(あん時既に…入れ替わってた…?)


(気掛かりの一つを確かめた限前は、忠告通りに休むことにした。)


<日向の部屋にて>


?:(まだ、リエルが目覚める気配はない…奴が起きた以上、とっとと引っ込みてーんだが……)


日向:失礼、私の話は終わりましたけど…彼の側に居なくて良いんですか?


?:…………別に。俺は奴に興味はない。


日向:そうですか。ずっと付き添って居たのでてっきりそうかと……


?:…………ふん。暴れないよう見張ってろったの……お前だろうが。


日向:ああ、そうでしたね。ありがとうございました。彼、見張ってないとすぐに無茶をするので……

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うちの子診療記録 限前零 @rieru_sai

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