限前とリエル7

(彼は、席を外していた日向の元を訪れた。)


?:…………おい。


日向:…………!?ど、どちら様…でしょうか………?


?:俺が誰か……?そんな事は後でいいだろう、とにかく黙ってついてこい。お前の同僚が死ぬぞ。


日向:(………私の同僚が…?それに、この服装、誰かに似ているような…)


……分かりました、案内願います。


(彼は日向を省みる事もなく、限前が寝かされている部屋まで戻った)


日向:ここ、零の部屋じゃないですか………一体どんな……?


(カーテンを捲ると、呼吸すらままならない限前の姿があった。)


零……!しっかりしてください、何があったのですか!?


(日向が声をかけるも、限前の意識は戻る気配がない)


?:…………こいつは、記憶の海で溺れた。


日向:彼は溺れた……のですね。教えてくれてありがとうございます、原因が分かれば…今なすべき処置がわかりますから。


(彼は返事を返さず部屋を後にした)


……そう、ですか。彼が………


ずいぶん、危ない橋を渡って確かめてくれたんですね。ごめんなさい、無茶をさせてしまって……


(処置が終わって2日後、ようやく限前の意識が戻った)


限前:……?ここは……………外か…。どうやって出たんだ……っ…………


(あん時部屋に日向は居なかった。つまり異常があっても強制的に接合解除はできなかった筈なんだが……)


?:……………………起きたのか。


限前:……お前さんは………確か、海の底に居た…………


(酸欠で軽度の記憶障害に陥ったのか……?それより前にも見掛けた……気がするが、思い出せねぇな)


(ろくに頭が回らない中で、次から次へと目の前にいる"彼"に関する質問が浮かぶが…)


?:…………動くな。


(手から生成された槍が、起き上がろうとした限前の首筋に突きつけられた。その表情から何かを窺い知る事はできない。


ただ一つ言えるとすれば、"彼"は本気であるということだ。)


限前:……………!わ、わーった。俺も目覚めたばっかで正直、訳が分からんが……とりあえず大人しくしてりゃいいんだな?


(下手に質問でも吹っ掛けたら……刺されるな、こりゃ。状況を把握してーんだが……どうすりゃいい…?)

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