限前とリエル3
(日向は何も答えず部屋を後にした)
リエル:…………どうして、怖いかおなの?
限前:怖い顔………それ、俺の事か?じゃなくて…今出てったおじさんの顔か?
リエル:……えと…眼鏡のおじさん。声も、震えてた……きがする。
限前:(やっぱり日向がビビってたのは伝わってたか……理由は分からなかったみたいだが、感受性は申し分なしだな)
………良かれと思ってしたことが、結果として真逆の…最悪の結果を招きかねない。そう思ったからこそ…恐怖に苛まれたんだよ。
リエル:……えと、よくわかんないや。
限前:はは……お前さんにとってはまだ早かったか?誰かのために、何かしら行動を起こしたい……と思うようになってから、か。
(リエルは少し困った表情をしている。何か腑に落ちないらしい)
リエル:…………ね。おじさんは…誰かのために、行動を起こしたいって思うの?
限前:…………医者として、俺の手で救えるもんは、救いてぇ。痛みを知った者として、少しでも癒せる助けになれば…………と思う。
リエル:そっか。僕は…………何も、したくない…。誰かのために、なんて………
(ちらりとリエルの顔を眺める。表情が険しくなっているようだ)
限前:別に良いんじゃねーか?お前さんの過去に何かがあったからか、そもそも誰かを省みる気がないのか…?
そりゃ分からんが………無理やりする必要はないぜ。誰かのために何かをするってことは……
そいつに対して無意識に何かを期待する事でもある。その期待を裏切られて傷つく事もあるだろう……
だから、無理強いはしねーよ。自分を責めなくていいから…そんな表情<かお>をするなよ。
そうだ、話を変えるが……今日はどうやって此処に来た?
リエル:…………?あのね、わかんない、思い出せないの。
限前:じゃ、お前さん……気付いたら病院に居たのか?(おかしい……来院時刻を鑑みれば、思い出せないってのは考えにくいんだが……)
リエル:……あのね、起きたら病院だったの。だからわかんないの…
零:なるほど……な。意識がない時に担ぎ込まれたんなら覚えがなくて当然か。ってことは…何で連れて来られたのかも?
(リエルは静かに首を横に振った。)
……ちょっと、待ってろ。
(改めて限前は、端末のカルテに目を通す。そのうち幾つか不審な点があることに気がついた)
分かった。お前さん……頭をぶつけて意識を失ってたんだよ。
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