第501話 遊び疲れて
ブラッキーとホワイティーの初めての狩は二羽の
これから先も二羽の面倒を見ていくつもりだが、将来は何が起きるかわからない。少なくとも、この二羽はなら自然の中で自力で生きていくことは可能と思う。二羽はまだ成長期だそうだが、ある意味、成鳥になったと考えてもいいだろう。少し先になるが
メダルを首につけてご機嫌の二羽には、もし人がいたら近づかないようによく言って聞かせ、最初の目的通りこの山の中で好きに遊ばせてやることにした。
「俺とアスカは、最初に下りたところにいるから、陽が半分くらい傾くまでこの辺りで遊んでいていいぞ」
『はーい』『わーい』
二羽は、そこらを走り回った後、空に舞い上がって飛んでいった。
俺はアスカと『スカイ・レイ』の着陸した空き地に戻って、比較的平らな場所に布を敷いた。枯れ草の生えた地面の上なのでボコボコして少し寝づらいのだが、俺はその上に
空気はさすがに肌寒いが、風もなく穏やかな陽の光が温かい。ゆっくり青空の中でゆっくり流れる白い雲を眺めながら、
「気持ちいいなー」
「そうですね。耳掃除でもしましょうか?」
「えっ?」
「ですから、耳掃除です」
「耳かきはあるの?」
「私の髪の毛で十分可能と思います」
「そ、そうだよな。それじゃあお願いするか」
「それでは私の膝の上に頭を乗せてください」
正座したアスカの太ももの上に頭を横にして乗っけた。柔らかで温かいアスカの太ももを耳と頬に感じながら、アスカに耳掃除をしてもらった。
俺の場合膨大なPAがあるのでケガはしないが何かあれば痛みだけはちゃんと感じる。耳の奥の方まですごく丁寧に掃除してもらったが全く痛くはない。
「それでは反対を向いてください」
顔の向きを変えたら、顔がアスカのお
……。
「マスター、二羽が帰ってきました」
アスカの声に目が覚まされた。アスカの膝枕で眠ってしまったようだ。そういえば昼食もまだだった。
「アスカ、今何時だ?」
「午後二時十五分です」
「昼食を食べ忘れたな」
「帰りに『スカイ・レイ』の中で三時もかねて軽く食べましょう」
「そうだな」
すぐに二羽が翼をバタバタさせて近くに下りてきたので、敷いていた布を仕舞い、
「そろそろ、帰るけど、休まなくていいか?」
『喉がかわいたー』『水が飲みたいなー』
すぐに水桶を出してやったらすぐに一杯目を飲み干したので、また水を一杯いれた水桶を出してやった。舌で
二杯目を飲み干したところで、
『おいしかったー』『おいしかったー』
「山の中は楽しかったか?」
『楽しかったー』『楽しかったー』
『いろんな見たこともないいきものがいた』『かれきのしたにすごーくながいのがいた』
そいつはきっと冬眠中のヘビだよ。頼むからこれから先も拾ってこないでくれよ。
『おいしそうないきものもいたけどたべなかった』『すごーくながいのをちょっとだけつっついたらにげていった』
ヘビも迷惑したろうな。
「それは連れて来たかいがあった。それじゃあ帰ろうか?」
『はーい』『はーい』
収納していた『スカイ・レイ』を排出して、すぐにアスカと乗り込み離陸した。
「『スカイレイ』発進!」
「『スカイレイ』発進します」
飛び立った『スカイ・レイ』の後を二羽が追ってくる。
「今は元気かもしれないが、遊び疲れているだろうから、気持ち速度と高度は抑えめにな」
「了解」
行きは『スカイ・レイ』の前を飛んでいた二羽だが帰りは『スカイ・レイ』の後ろを飛んでいる。やはり疲れているようだ。それでもミニマップで見る限りちゃんとまっすぐ飛んでいるから心配することもないだろう。アスカもミニマップを見てるしな。
屋敷に戻って、二羽を小屋に戻し、水と少し早かったが夕食にドラゴンの肉をやった。
『「くま」はあんまりおいしそうじゃなかった。こっちのにくのほうがいい』
『おいしい』
熊に突っ込んだブラッキーは血を舐めとっているので多少熊の味が分かるのだろう。血抜きをすればおいしくなるかもしれないが、わざわざ熊肉を食べさせなくても、おいしいといっているドラゴンの肉を食べさせてやればいいだろう。
いまでは、二羽とも一日二食で、一回当たり三キロほどのドラゴン肉を食べている。サージェントさんの話で、肉食獣は週に一日内臓を休めるために絶食させた方がいいということで、いまは週に六日エサをやっている。
まだ解体済みのドラゴン肉はあるが、大量にあった解体済みのドラゴンの肉だがだいぶ減ってきている。これから二羽の食べる量もさらに増えていくので、もう何カ月かしたらドラゴンを解体する必要がある。
[あとがき]
このままいけばラブコメ作家の目があるかも?
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