第413話 武術大会3、特訓2
四人娘が準備体操を終えたので、訓練開始だ。
こちらからは打って出れない制約はあるが、アスカが俺と四人娘の間には相当な実力差があるというのなら、一対四でもそれなりに訓練になるのだろう。
「それでは、始め!」
アスカの声に合わせて、俺は『進撃の八角棒』を両手で構え、、じっくり四人に
ここで、にじり寄っていって圧力をかけるのも手ではあるが、俺が打ち込みをしないことを四人が知っている以上あまり意味がない。
なので、とりあえず相手の出方をうかがうしか俺には手はない。
うん? おいおい、正面のリディアはそのままだが後の三人が俺を囲むために移動を始めた。これを嫌って俺も移動しても良いが、それでは千日手になる可能性もある。少々打ち込まれても、俺がダメージを受けることはなさそうだから、ここはこのままでいいか。
とはいえ、この位置取りだと前と左右は見えるが、後ろはさすがに見えない。ちょっとまずったか?
どう対処するべきかと考えていたら、四人の掛け声が同時に聞こえてきた。
突きー! エイ! ヤー! トー!
正面からのリディアの突きだけは簡単に
ゴポン、ゴポン
「そこまで!」
ほう。これなら、いくら叩かれようが問題ない。しかし、この四人に
いやいや、そこじゃなくて、次は何とか三人の攻撃を防いで、やがては四人の攻撃に対応できるようになることがこの訓練の目的だろうから、前向きに行かなくては。
「始め!」
しかし、こちらから打ってでられない以上、八角棒の間合いを生かせない。これは厳しい戦いになってきた。何か? 何かいい方法はないか?
そして、また、
エイ! 突きー! ヤー! トー!
ゴポン、ゴポン
「そこまで!」
また、二撃受けてしまった。
「始め!」
そして、またまた、
エイ! ヤー! 突きー! トー!
ゴポン、ゴポン
またまた、二撃受けてしまった。
「そこまで!」
「ちょっと、
「マスター、どうしました。いい調子で訓練になっていたように思えますが?」
「これで訓練になっているのかー? こっちから打って出れないから、ただ待っているだけの反射神経の訓練にしかならないと思うんだけど」
「今は反射神経の訓練ですから、それはそれでいいのです」
「そうだったの?」
「そうだったのです」
なんだ、反射神経の訓練だったのか。まあ、木の短剣でリディアたちからいくら叩かれようが突かれようが痛くはないのだが、シャーリーとラッティーが残念そうな目で俺を見るので、
結局、その日は三人目の攻撃をかわすことは一度もできなかった。一応、三人目はぎりぎり間に合いそうなくらいにまで素早く動けるようになったのだが、全く見えない後ろからの攻撃には対応できる気が全くしない。
やっと反射神経の訓練が終わり、四人娘たちに礼を言って、俺は釈然としないまま風呂に入ることにした。
「うーん。今のままじゃ、四人に対応することは無理だな。だけど、実際のところ四人に対応する必要があるのか?」
湯舟の中で独り言を言っていたら女風呂にアスカ一人だけ入ってきたようだ。
『マスター、後半の動きはだいぶ良くなってきました。あと少しだと思います』
「そうか? そこまで良くなっていたのか。よーし、明日はもっと頑張って見るか」
ちょっとアスカに褒められただけで
『明日は四人娘の内、リディアとアメリアは仕事でいませんから、エカテリーナとマリナの二人だけになります。そのかわり、マーサを入れて三人でいきましょう。マーサは幼年学校時代、近接戦闘でそれなりの成績を収めていたようです。脱出宇宙船の18名の中に選ばれたわけですからそのほかの成績もトップクラスだったのでしょう』
「そうだろうな。それで、マーサはあの
『もちろんです』
「明日、マーサには何を持たすんだ?」
『本人の話では、銃剣のようなもので近接戦闘訓練をおこなっていたそうなので、形を聞いて後で私がそれらしいものを木で作っておきます』
「パワースーツで木の武器を振り回すと簡単に壊れそうだな」
『そういった力の調整は簡単にできるそうですから大丈夫でしょう。それに木の短剣よりよほど大型です。両手持ちということですから、木製ですが大剣相当でしょうか』
「それは、嫌なことを聞いたな。まあ、明日は今日よりも少しでもうまくなるように頑張ってみるよ」
その日はそのまま終えて、次の日の朝。
日課と朝食を終え、居間で寛いでいたら、アスカが、
「マスター、今日は9時から訓練を始めましょう。みんなには伝えています」
9時からって、もうそんなに時間がないじゃないか。急いで自室に戻って汚れてもよさそうな普段着に着替えて、そのまま南の
アスカと俺が待っていたら、エカテリーナとマリナ、それにマーサがやって来て、一緒に見物客のシャーリーとラッティーもついてきた。
エカテリーナとマリナは昨日と同じ木の短剣。マーサはあの白い宇宙服に、アスカ製の木の銃剣。見た目は楕円形の断面を持つ大型のこん棒だった。大剣よりよほど
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