第408話 達成報告、Sランク昇格
『俺は男だ!』と思って勇気を出して『スカイ・レイ』の中でマッパで着替えたのだが、結局アスカもマーサも俺の裸体には興味がなかったようだ。
自分で言うのもなんだが、それなりに体は引き締まっているし、お尻はプリプリな上、筋肉もこの歳ではある方だと思う。いや、俺はナルシストではないよ、決して。
帰りは『スカイ・レイ』でいったん大穴の上のまで上昇し、そこから台地の上を低空で進みそのまま盆地の上を飛行していき昨日キャンプした
ちょうど昼時だったので、『スカイ・レイ』から降りて昼食をとった。そこで『スカイ・レイ』は収納して、そこから来た道を徒歩でたどり半日がかりで『スカイ・レイ』に再び乗り込める場所まで山を下りた。
結局『スカイ・レイ』で王都の屋敷に戻ったのは、夜の8時を過ぎていた。食事は『スカイ・レイ』の中で済ませていたので、すぐに風呂に入ってその日は終わってしまった。
翌日は、マーサは屋敷に残して、アスカと二人で冒険者ギルドに依頼の達成報告に行った。
「お二人ともどうされました?」
ギルドに入ったところで、スミスさんに呼び止められた。指名依頼を受けてまだ三日目なので、俺たちが依頼を達成したとは思っていないようだ。
「とりあえず、依頼は達成しました」
「えーと、今回お二人に依頼したワイバーンの件ですよね。
「はい。地図の4カ所のほかもう一つ見つけたので、結局営巣地を5カ所破壊しました。見つけたワイバーンは全て狩りましたが、全部で66匹ほどになりました」
「66匹ですか。分かりました。詳しくお話をお聞きしますので、会議室までお願いします」
スミスさんの後について階段を上って前回来た時と同じ4階の応接に。
何も考えずに、見つけた66匹狩ってきたものの、どう見てもここのギルドの裏の解体場の前には全部は置けそうもない。
「先ほども言いましたが、営巣地は結局5カ所ありました。ワイバーンは全部で66匹ほど退治しましたが、かなりの量ですので、どこに出せばいいでしょう?」
「うちの解体処理能力ですと、おそらく一日あたり三匹が限度ですので、腐敗等を考えれば、置いておけるのは
あと、ワイバーンの魔石です。
いつもショウタさんの持ち込むモンスターには魔石がないので何かに利用されていらっしゃるのでしょうが、騎士団から高ランクの魔石を強く求められていまして、今回私共に
「いいですよ。了解しました。ワイバーンの魔石ならそこまで大きくはないのでここにお出ししましょうか?」
「このテーブルの上で構いません」
「それじゃあ」
今回討伐したワイバーンの魔石は他の魔石とは区別して収納していたので、すぐに取り出すことができた。
テーブルの上に置かれた魔石はどれもこぶし二つ分くらいのアーモンド形をしており色は真っ黒で艶がある。
「……、64、65、66個。確かに。
これだけ見事な魔石がこの数あると見ごたえありますね。最終的な魔石の価格は先日ご提示した価格よりも高くなるのは間違いありません。
ワイバーンの本体はまだ受け取ってはいませんが、そこはショウタさんですので問題ないでしょう。
ええと、
ワイバーン66匹と魔石で、……、
確定ではありませんが、
ワイバーンの本体価格で大金貨35、それに魔石が大金貨10。それが66匹分で、大金貨2970枚ですね。
それに、営巣地1カ所で大金貨100枚。それが5カ所で、大金貨500枚。
合わせて、大金貨3470枚になります。
金額が金額ですので、ショウタさんの商業ギルドの口座に振り込ませていただきます。
振り込みは最終査定後になりますが、そこはご了承ください」
「気にしていませんでしたが、相当な金額ですよね」
「ワイバーン一匹を討伐するにも高ランクのパーティーが数組必要ですし被害を出さずに討伐できる保証もありませんので、高額にならざるを得ません。国からも補助が出ていますし、ワイバーンもそれなりの価格で売れますので足が出るようなことはありません」
「なるほど。あと、営巣地は確かに5カ所破壊したものの、それを証明できないのですが、それはいいんですか?」
「もとよりワイバーン10匹当たりの討伐報酬と考えていたものですから、66匹討伐されて大金貨500枚ですので問題はありません」
「それならいいです」
「それから、お約束のSランクですが、カードもでき上っていますので、少々お待ちください」
そういってスミスさんが会議室を出て、すぐに戻ってきた。
「これが、Sランクのカードになります」
俺たちが受け取ったカードは、青みがかった銀色のカードで材質はミスリルのようだ。それに最初から首かけ用に同じ素材の鎖が付いていた。
「Sランクの新設とお二人の昇格の告知は各国のギルドへの郵送による連絡になりますので、それなりに時間はかかります。ここから最も遠いギルドまでですと4カ月はかかりますので、ご了承ください」
全冒険者ギルドの中で俺たち二人だけがSランク冒険者か、フフ、ウフフフフ。
「今までのカードは返すんでしたっけ?」
「通常はお返ししていただいていますが、お二人がカードを悪用するとは思えませんのでそのままで結構です」
「分かりました」
さっそく、アスカともども鎖を首にかけてカードを胸辺りに垂らしておいた。
これでまた一段と箔がついてしまった。冒険者学校に顔を出して生徒たちに見せてやらなねばなるまい。これで俺のファンも爆増だな。フフフ、ハハハハハ。
その後、ギルドの裏手にある解体場の横に20匹のワイバーンを並べておいてやった。周りで作業していた人たちがどよめきながら集まって来たのだが、ワイバーンとミスリルのカードを首から下げている俺とアスカを見比べながらしきりと感心していた。
気持ちいいではないか。ワッハッハ。
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