第406話 探検4、穴の底

[まえがき]

2021年2月2日

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これからも、よろしくお願いします。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 俺たちは穴の底に着陸した『スカイ・レイ』からすぐに地面に降り立った。着陸時の『スカイ・レイ』からの下向きの噴気で立ち込めた水煙が一度は払われたのだが、すぐにまた水煙が霧のように押し寄せてきている。


『スカイ・レイ』の着陸した場所は荒い砂地だったはずだが、噴気で湿った砂が吹き飛ばされ、下から黒い一枚板のようなものが露出していた。


「なんだろうな? 砂をとってみるか?」


 一枚板の上の砂を少しずつ収納していったところ、最終的に露出したのは10メートルほどの径のある正六角形をした黒い板だった。板といってはいるが、厚さは今のところ分からないので実際は地下に向かって突っ立った六角柱の可能性もある。


 その黒い板なのだが、表面の黒さをどこかで見た感じがする。


「これって、『魔界ゲート』の表面に似てないか?」


「似てます。材質は『魔界ゲート』と同じものだと思います」


「扉はどこにもないみたいだから、妙なゲートではなさそうだけど、何なんだろうな?」


 俺は水滴で濡れた表面をよく見ようとしゃがんでみた。


 やはりあのゲートと同じ材質に見える。ただ、『魔界ゲート』の表面には独特の模様があったし、ときおり表面に赤い稲妻いなづまが走っていたが、この黒い板はツルツルだし、稲妻が走るわけでもないようだ。


「ほんとに、これは何なんだろうな?」


 なんとなく手を伸ばして触ってみた。その瞬間、


 フッ、と一瞬意識が遠のいた?


 後頭部あたりに何だか変な感覚があったのだが、アスカもマーサも何事もないようでそばに立っている。


 今のは何だったんだろうな? アレ? 俺の魔力が空になっていないか?


 自分自身を確認したところ、魔力がほとんどなくなっていた。今現在少しずつ魔力が回復してきている最中だ。満タンだった俺の魔力がこの黒い板に一瞬で吸われたのか? とはいえ、足元の黒い板の見た目にいまのところ変化はない。


 立ち上がって、


「アスカ、この黒い板を触ったら、俺の魔力がごっそり持っていかれたんだけど」


「そうすると、この黒い盤面は何かの魔道具の可能性が高そうです。しかも結果的にマスターが魔力を注入してしまったとなると、見た目には変化していないようですが、これから何か起こるかもしれません。危険かもしれませんから、ここから離れて少し様子をみましょう」


「その前に、せっかくだから久しぶりに鑑定してみよう」


 もう一度、正確に鑑定するため黒い板に手を当てたが今度はなにも起きなかった。


『鑑定!』



『アンカー』

この世界に魂をつなげるアンカー

材質:鑑定不能の金属。

不壊


「この世界に魂をつなげるアンカーなんだそうだ。材質は『魔界ゲート』と同じで鑑定不能で不壊のようだ」



 いちおう鑑定はしたものの何が何だかわからないという意味では状況は変わらない。


 そこまで危険なものではなさそうだが、いちおう三人でその黒い板のある穴の真ん中から離れて、今も黒い板の上に乗っかている『スカイ・レイ』も収納しておいた。


 しばらく何か起こらないかと様子を見ていたのだが、何も起こらないようだ。


「何だったのかな。何も起こらないとなると、それはそれで気味が悪いな」


「ショウタさん、さきほど私もアナライザーで材質を分析しましたが、分析不能でした」


 そういえば、さっきマーサが宇宙服の白い手袋をかざしていたがあれで分析してたわけか。


「そうだろうな。こいつはもはやどうしようもないので放っておいて、他に何かないか調べよう」


「そうですね」「はい」





 他を調べようとは言ったものの、周囲を見回しても、滝がつくる水煙で煙って頭上は明るくはあるが空もはっきりとは見えないし、辺りもはっきりとは見えない。


 ほんの数分そこらを見回しているだけですぐに着ている服がびっしょりと濡れてきた。マーサの着ている宇宙服は狙って防水仕様という訳ではないのだろうが、当然のごとく水で濡れることもなく撥水はっすいしていた。羨ましい。



「周りを調べようと言ったけど、これじゃあ何も見えないな」


「ミニマップで何かわかりませんか?」


「うーん。……、あれ? 黒い板以外にも、周囲にはなにかあるみたいだ。ミニマップでははっきり分からないから行ってみよう」


 水に囲まれた小島の周辺には、ミニマップではそれが何だかわからないが、それなりの大きさの丸いものが何個もあるようだ。

 

 ここから一番近いと思われるミニマップ上の丸に向かって歩いていくと、水煙の先に、地面が膨らんだような小山が黒く見えてきた。



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