第400話 ワイバーン2、出発
[まえがき]
おかげさまで、とうとう400話。物語中では8月月初あたりになっています。『魔界ゲート』が開くのが予想される日まで、まであと10カ月弱。途中適当に端折るかもしれませんが、まだまだ続きそうなのでよろしくお願いします。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「準備はいいだろうからそろそろ出るか?」
「マーサはどうします」
「そうだな。危険はないと思うけれど、最悪山の中を徒歩で移動することになるだろ? 大丈夫かな?」
「あの宇宙服を着ていれば、マスターより身体能力が高かったようですので大丈夫だとは思います」
「マーサもここでみんなと遊んでるだけでも語学学習の役に立つだろうが、女子たちの好む妙な本で洗脳されたらまずい気がする。やっぱり連れていくか。急な話になるが本人が望むなら連れていこう」
「それでは私がマーサに話してきましょう。マスターは先に行って『スカイ・レイ』をお願いします」
「了解」
南の草原に出て『スカイ・レイ』を収納庫から出して、タラップを降ろし先に副操縦士席に座っていたら、すぐにアスカがマーサを連れて『スカイ・レイ』に搭乗してきた。マーサはあの白い宇宙服を着ていた。もちろんヘルメットは着けていない。
「ショウタさん、よろしくお願いします」
「俺たちもいったことのないところなのだけれど、いろいろ見物した方がいいだろうからな」
「はい。期待しています」
「それじゃあ出発するか。
『スカイ・レイ』発進!」
「『スカイ・レイ』発進します」
「まずは、西の街道沿いに西進してみよう。依頼では、北の街道に近い営巣地を先にして欲しいとあったけれど、どうせ全部破壊するつもりだから、どこから潰していってもおなじだ。2時間ほど西進してから北上すればちょうどいいだろう」
「了解」
「ショウタさん、この飛空艇『スカイ・レイ』は吸い込んだ空気を吹き出して進んでいるんですね」
「そうみたいだな。宇宙船でバンバン宇宙に進出していた世界から来たマーサから見ればずいぶん原始的な乗物に見えるだろうけれど、これでもこの国、おそらくこの世界では最先端技術なんだ」
「はい。いいえ、立派な飛行機械と思います。みなさんのお話からこの世界には魔術というものがありスキルというものがあると聞きました。そういった世界では、こういった科学的な機械技術の発達は
何だか、おだてられてしまった。俺が『スカイ・レイ』作ったわけではないのだが何だか鼻が高いぞ。
「マーサの世界には、当たり前だけれど魔術やスキルはないし、ダンジョンなんかもないのだろうけれど、よくそういったものが理解できたよな」
「私の世界にも、子供向けの奇想天外な物語がたくさんありました。理屈は説明できませんが不思議な力で敵をたおすとか、そういったものが子供たちに好まれていて、私も子供のころはそういったお話が好きでした。ソルネ4のアーカイブ内のライブラリーの中にも多数保存されていると思います」
「そうなんだ。どこの世界も似たようなものなんだな。
マーサには話していなかったけど、実は俺はこの世界の人間じゃないんだ。事情があってこの世界にやって来て、こうしていろんなことに首を突っ込んでバタバタしているけれど、俺の元居た世界にも魔術やらスキルやらの出てくるお話がたくさんあったんで、簡単に理解できたし溶け込めることができたんだよ。まあ何と言っても、アスカがいてくれたからこそだけどな」
「お二人は、いつもご一緒で仲がよろしいですね。今の服装もお揃いですし」
「まあな。アスカは何と言っても俺の恩人みたいなもの、いや、恩人そのものだしな。しかも俺の保護者でもあるわけだ」
「保護者ですか?」
「そう、保護者」
「屋敷の女性たちはみんな将来ショウタさんとアスカさんは結婚するといってましたが」
「保護者と結婚はないだろ。おっとっと」
急に『スカイ・レイ』が揺れてビックリしてしまった。
「どうした、アスカ?」
「急な乱気流のようです」
「そうか、今までそんなことはあまりなかったけれど、気をつけてな」
「はい」
「それでしたら、私がショウタさんの結婚相手になることも可能性としてあるわけですね?」
「可能性は否定しないけれど、俺とマーサは種として違うんだろうからそもそも結婚はできないんじゃないか?」
「大丈夫です。その辺りは確認済みです。この星の男性とでも結婚可能です」
いやいや、俺の知らないところでどうやって確認したんだよ? 宇宙技術は恐るべしだな。
「だったら、マーサみたいな美人ならいくらでも相手が見つかると思うよ。それに、俺はアスカと結婚はできないけれど死ぬまで一緒にいるつもりだから。そういうことで、俺は結婚は無理かもな」
「結婚はしないけれど、死ぬまで一緒ですか?」
「そういうこと」
「ショウタさんは将来自分の子どもは欲しくないんですか?」
「うーん。もうみんなから話は聞いていると思うけれど、うちにいる女子たちはほとんど孤児で身寄りがない子たちなんだ。今はあの子たちが立派に独り立ちしてくれるまでめんどうみようと思っている最中だから、自分の子どもがどうとか何も考えられないな」
アスカが真面目に前を向いて操縦する
「マスター、そろそろ『スカイ・レイ』の針路を北に向けるため、右手に旋回します」
「了解」
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