第340話 入浴
今回は何事もなく戻ってこれた。いや、落雷直撃から石油を見つけてしまった。
そういう意味では何事もなかったわけではないが、自分的には
一度、
試しに乾燥ワサビをすりおろしてもらって粉状にしたものを小皿に入れ、その上に水を数滴たらしペースト状にして、味が引き立つようにお皿をひっくり返して数分寝かせて
今日も食事の前に風呂に入ろうと着ていた上着だけクローゼットに
そんなどうでもよいことで
着替えやタオルなどの洗濯された物は、最初のうちは俺の部屋のタンスの中に綺麗にたたんで
脱衣場で裸になって浴室に。掛け湯をして湯舟に入り、体を伸ばす。大きなお風呂は確かに
俺が湯舟の中で
少々緊張しながら
普段、俺が入浴中にアスカ以外の女子が隣の女風呂に入ってくることはめったにないのだが、それでもたまにはある。そういった時でも別に何も気にならないのだが、
逆に向こうも俺が隣の風呂にいるとなると緊張するんじゃないだろうか? ここは、あまり音を出さないようにして、隣に俺がいることを意識させないようにしよう。
そろそろと湯舟から上がり、あまり音を立てないように体をゆっくり洗う。
頭も顔も一緒に洗えるところがいつもながら簡単でありがたい。髪の毛も、拭くだけですぐに乾くところがさらに良い。世の女性に勧める気はもちろんないが、男性諸氏はぜひ坊主頭を試していただきたい。
体を洗っていると、男風呂と女風呂を分けている仕切りがちらっと眼に入った。
確かにこの状況において、フォレスタルさんの最初の設計通り仕切りにスリットが入っていたらえらいことになっていたと思う。少々残念な気持ちがないわけではないが、やはりアスカがスリットを
『マスター、申し訳ありませんでした』
隣りの風呂場からアスカの声。
そして、アスカの声に続いて、
『えっ! ショウタさんがいるの?』
エメルダさんの声が聞こえた。
俺とアスカは一心同体だが、こういうことをいうのではないと思う。
俺が気配を殺してエメルダさんに隣の風呂に男性が入っていることを意識させないように配慮していたのに気が利かない奴だ。
しかし、これまでこういったことが何度もあってアスカのことを気が利かないと思っていたが、アスカに状況判断ができないはずはない。これまでも、ワザとだったに違いない。チクショウ。
とはいえ、アスカの声を無視するわけにもいかないので、
「アスカのおかげだから気にしないでくれ」
アスカの
『エメルダさん、ショウタさんならダイジョーブ』
『ショウタさんなんだから
『ショウタさんなら、そうでしたね!』
そうなの? 俺って
地味に傷つく言葉のような。これ以上何か言われたらガラスの心にヒビが入ってしまうので、一度、湯舟に肩までつかって二十数えたら出よう。
一、二、三、……
『エメルダさんて今おいくつでしたっけ?』
『私は14歳になったばかりです』
『14歳でその大きさ!』
十、十一、二、三、四、……
『最近急に大きくなり出したの』
『
『シャーリーさんならいですよ。優しくしてくださいね』
十八、十九、十、十一、十二、……
『
『シャーリーさんのは、……、いえ、何でもないです』
『ねえねえ、わたしにも触らせて! ……、おー!』
こら! ラッティー、遊び半分でそんなことを言っちゃダメです。『うらやまけしからん』とはこのことだったのか。
『わたしもエメルダさんみたいになれるかな?』
『ラッティーさん
三、四、五、……
いかんいかん、女子の会話に聞き入って、数えていた数字が頭の中でループしていた。これ以上女子の会話を聞いていたらエライことになる。早いところ風呂から上がろう。
風呂から出て、自室の机の後ろの立派な椅子に座ってしばらく涼んでいたら、机の上の三体の人形が目に入った。
あれ?
明らかに
アスカ人形の三分の一くらいだった
近くに謎金属のミスリル製の像があるからなにがしかの影響を
ミニマップで確認したところ、一応こいつは生きていないようだ。そこだけは安心だ。もちろん本体のフーはいいのか悪いのかちゃんと緑の点のままだ。
オカルトの実体験で少々おののいてしまったが、しばらくして、夕食の準備が整ったと知らされた。
一階の食堂で自分の席に座り、みんなが揃うのを待っている。食事が終わったらブレトで買ったお
「マスター、ミスリルのインゴットを一つお願いします。それで、二人に何か気の利いたものを作りましょう」
アスカは渡したミスリルのインゴットの端の方を切り取って、アッというまに銀色の薔薇の花のブローチを二つ作ってしまった。
「これを二人に」
アスカ、実に気が利くじゃないか。
「先ほどの評価と180度違ってますね」
まさに以心伝心だった。
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