第302話 ルマーニ3、ワイバーン
[まえがき]
2020年10月22日、フォロワーさんの数が5000を超えました。ありがとうございます。
さらに、山口遊子のフォロワーさんも400名を超えました。こちらもありがとうございます。今後ともよろしくお願いします
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
トラブルフラグを盛大に立てたまま『スカイ・レイ』は街道上空を北上していく。
「アスカ、今何時だ?」
「午前11時45分です」
「そろそろ、みんなを起こして、昼にするか」
「そうですね。
どうしてもアスカは『何もなければ』フラグを立てたいらしい。
「ラッティー、そろそろ昼だぞ」
「フファー、気持ちよく寝ちゃった」
気持ちよく居眠りしていたラッティーを起こして、
「ほれ、濡れタオル。これで顔を
寝起き顔を男の俺に見られるのは嫌だろうから、ラッティーを使って二人を起こした。俺は、先日17歳になったばかりなのだが、この歳にしてそういったところに妙に気が回るようになってしまった。これも屋敷の中で常時鍛えられている成果なのだろう。このスキル、将来的になにかの役に立つのだろうか? 元居た世界に戻って、新宿の辺りで
「そろそろお昼です。濡れタオルです。すっきりしますのでどうぞ」
そういって、ラッティーはお客さま二人を起こしていった。小さな女の子に起こされた二人は少し気まずい思いをしたかも知れないが、俺に起こされるよりよほどダメージは少なかったと思う。
お客さま二人は目が
「そろそろ、昼食にしますが、二人とも、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。朝
「それはちょうどよかった」
今回は、航空食のつもりで
ということで、まずはエメルダさん、そして侍女のパトリシアさんにカレーをメインとしたトレーを手渡す。
「どうぞ」
「えーと、これはどうやっていただけばよろしいのでしょう?」
「すこし
「それでは、いただきます」
俺が近くで見ているのも問題なので、副操縦士席に座るラッティーのところにとって返し、同じトレイを渡してやった。
「はい、ラッティー」
「カレーのいい匂いがしてたから、期待してました。いただきます」
ラッティーがスプーンを使ってカレーライスをおいしそうに口に運ぶ。
それを見ていたわけではないだろうが、エメルダさんもカレーを口に入れたようだ、
「か、
「お嬢さま、なんだか不思議な
汗をふきふき、二人で無心にカレーを食べている姿が何だかほほえましい。
「アスカは、どうする?」
「それでは私も、……、?」
アスカにも航空食を渡して、俺も自分の席に戻ろうとしたところで、
『マスター、左手前方にゴマ粒のように見えるあれはおそらく飛行型のモンスターです』
さっそくのフラグ回収か。先日、
『アスカ、俺が何とかできるか試してみるが、失敗するかもしれないから、『スカイレイ』をあらかじめ着陸させておこう』
『了解しました』
そういえば、ミニマップも広域モードがあったんだった。
『アスカ、降下はちょっと待ってくれるか。今すぐ試せそうだから』
『了解』
ミニマップを、広域モードにして、表示範囲を広げていく、
赤い点が十個ほど。黄色い点が2個。それが位置を変えながらめまぐるしく動いている。これってどういうこと?
『マスター、黄色の二匹が赤い十匹と戦っているもしくは襲われているんじゃないでしょうか』
『とりあえず、赤いやつらは敵認定でいいよな。ここからでもゴマ粒が飛んでるのが見えるけど、ミニマップの方がはっきり分かる。それじゃあ、一気に赤いのをやっつけるぞ』
わかる。なんとなく魔石の感触が分かってしまう。
『魔石奪取からの収納!』
ミニマップの中の十個の赤い点が消えて無くなり、黄色の二点だけが残った。『スカイ・レイ』からも、ゴマ粒が二つむこうの空で舞っているのが見える。収納した十匹は収納庫の中を確認したところ、
『マスター、やりましたね』
『うまくいった。今飛んでる二匹はなんだろうな?』
俺とアスカがそんなことをしているとはつゆしらず、ラッティー、エメルダさん、パトリシアさんの三人は夢中になってカレーを食べている。
いいんじゃないの。ヒーローは誰にも悟られることなく活躍するものと相場は決まっているからな。
『マスター、残った二匹の
『スカイ・レイ』も現場にだいぶ近づいてきたので、残った二匹の様子をだいぶ詳しく目視できるようになった。動きがかなりぎこちない。無理をして飛んでいる感じだ。と思って見ていたら、いきなり一匹が、空の上から落っこちていった。残った一匹も後を追ったのか、最初の一匹の後を追って降下していく。
『どうも気になるな』
「お替わりどうです。美味しかったでしょう?」
「いただきます。不思議な辛さが癖になりそうなおいしさです。
パトリシアも遠慮しないでいただきなさいよ」
「それでは、私もいただきます」
すぐに二人のカレー皿を受け取り新しく収納から取り出したカレーライスのお皿を渡す。
「食べきれないようでしたら、残してもらって大丈夫ですからね」
「これくらいなら大丈夫です。ありがとうございます」
アスカと内輪の話をしながらもしっかりと、スチュワーデスの業務をこなしていくのだ。
「ラッティーは、お替わりはいいか?」
「これだけで、お腹いっぱいです」
「無理はしないほうがいいからな」
「はい」
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