第298話 旋盤2、ボルツ工房
[まえがき]
2019年10月18日、『巻き込まれ召喚。 収納士って最強じゃね!?』を初めてwebに投稿始め、本日2020年10月18日丸一年が経ちました。今後ともよろしくお願いします。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
その日の夕食後、ゴーメイさんに、ドラゴンジャーキーができないかと尋ねたところ、問題なくできるということだった。ただ、厨房の外にでも
そして翌日。
魔導モーターの実際の利用法を見てもらおうと、ベルガーさんの工房にお
「ベルガーさん、おはようございます」「おはようございます」
「おはようございます、ショウタさんにアスカさん。
「回転魔道具、勝手に魔導モーターとわれわれは呼んでるんですが、魔導モーターを使った機械を作ったものですから、ベルガーさんに見てもらおうと思ってやってきました」
ベルガーさんの工房の隅の空いた場所に旋盤をとりだして、スイッチをいれて、主軸を
「これは、魔導モーターを使って、この大きな軸を回しています。今、回っている軸に削りたいものをはめ込んで、そこに硬い刃物を当てることで、丸棒や、パイプを高い精度で削り出す機械です」
「ほー、こんなものができるんですね。私は、ただ回ればいいとしか頭になかったんですが、こういった実用的なものができ上るとなると、
「実は、この機械に組み込んだ魔導モーターなんですが、回転軸を勝手に高精度のものに換えてしまいました。次からできればこの回転軸を使ってください」
ちょっと失礼だと思ったが、10本ほどアスカが用意した丸棒を作業台の上に置いておいた。
ベルガーさんは気を悪くしたふうでもなく、
「きれいな丸棒ですねー、魔道具工房でも回転軸の丸棒づくりが一番大変だったと言ってましたので助かります」
「この旋盤はボルツさんの工房に置いて使い勝手をみてもらおうと思っていますので、いったん持っていきますね」
「わざわざお越しいただきありがとうございます。そういえば、二台目の『魔導モーターは今日中にはでき上りますから、明日にはお宅に届くと思います。軸は今までのものなので、適当に取り換えてください」
「ありがとうございます。それでは、そろそろ失礼します」
ベルガーさんの工房を
「ボルツさん、おはようございます」「おはようございます」
「おはよう、ショウタさんにアスカさん」
「ベルガーさんのところで回転魔道具を作ってもらったんですが、それを使ってアスカがなかなかいい道具を作ったので、ボルツさんに使い勝手をみてもらおうと持ってきました」
「ほう。アスカさんが作った道具かいな。それは、興味があんな。どれどれ?」
アスカの作った旋盤をボルツさんの工房の脇の方の空いている場所に置いてやった。
「で、これは
アスカに鉄のインゴットを一つ渡して、
「この機械は、
アスカ、これで実演してくれるか?」
「はい。それでは、このインゴットをとりあえず丸めて、延ばして簡単な丸棒を作ります。……できました。この丸棒を、ここにはめて、このネジでしっかり締め付け固定します。そして、ここにある赤いボタンが起動ボタンになっていますので、押します。となりの緑のボタンは停止ボタンです」
ちなみに、ボタンの赤、緑は、以前大アリの女王からお礼にもらったルビーとエメラルドを薄くスライスしたものを、鉄で作ったボタンにはめたものだ。
起動ボタンを押された旋盤は、わずかに低い音をたて、丸棒を固定した主軸が回転を始めた。回転することによって、丸棒がある程度いびつであることが分かる。たぶんアスカがわざといびつに作ったのだろう。
「一応、直径30.00ミリの丸棒を作りました」
表面がピカピカの丸棒ができ上った。
横で見ていたボルツさんが目を丸くしている。
「今回は、単純に丸棒を削りましたが、切削金具の形状や位置を変えることで
いったん旋盤のスイッチを切って、主軸の向かい側に
「なんや、この旋盤って機械。すご過ぎや! これがあれば、
ボルツさんが興奮しちゃったよ。整備士の二人や、訓練生たちが驚いてこっちを見てるよ。
「なかなか、役立ちそうでしょ? 使い方はアスカが教えてくれますから、適当に使って見てください」
「ショウタさん、おおきにな。それじゃあ、アスカさん、旋盤の使い方教えてな?」
「アスカ、頼んだ。練習用のインゴットをここに出しておくから」
「了解です。
それでは、ボルツさん、最初からやってみましょう。まず……」
アスカが作ったものだからそんなには改良点は出てこないかもしれないが、出てきたとしてもすぐに対応できるだろう。
これで、ある程度の作業効率が上がればありがたい。
しばらく、アスカがボルツさんに操作法を教えていたがすぐに操作法をボルツさんはマスターしたようだ。アスカが練習用に何本か丸棒を作って置いているので、ボルツさんならすぐに旋盤操作は上達するだろう。
夢中になって、旋盤を操作しているボルツさんに、
「そういえば、ボルツさん。今回の機械は削られるものの方が回転している関係で、丸い物しか加工できませんが、今度は、削る方が回転しながら動いて、複雑な形に金属を加工していく機械を考えていますから楽しみにして下さい。新しい動力用魔道具も明日にはうちの方に届くそうだから、そのうち機械ができ上ったら持ってきますよ」
最初は俺の言葉に
「おー、そっちも楽しみやねー。ハンナもなかなかやねー」
「たしかにすごい方ですね。よろしくお願いします。
そうそう、以前、『スカイ・レイ』のキャノピーにしようとドラゴンを
「そないなこともあったかなー」
「たまたま
「きれいなキャノピーやったけど、あれほんとにドラゴンの
「アハハ。でどうします?」
「ほなら、少しだけもらっとこうかな」
「それじゃあ、ヒレ肉とバラ肉、5キロくらいずつ置いてきますね」
「えっ? それはいくら何でも多すぎやわ」
「ここのみんなで食べればすぐですよ。ちょっと包丁では切りにくいので、台所をお借りしてアスカに頼んで適当にスライスしときますから、早めに食べてください。あと、ドラゴンの肉を食べると、一日だけだけど、暑さ寒さに耐性ができるようですよ」
あきれ顔のボルツさんを仕事場に残し、俺とアスカは勝手知ったるボルツさんの工房の台所で、ドラゴンの肉を取り出し、そこらに合った大皿二枚それぞれに、ドラゴンのヒレ肉とバラ肉のスライスを盛ってやった。もちろんスライスしたのは、アスカの髪の毛
[あとがき]
デビュー?一周年記念作品、
悲恋物『幼馴染(おさななじみ)』
https://kakuyomu.jp/works/1177354054921948888 よろしくお願いします。
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