第269話 鉄道ヤシマ線3
レールを延長するにあたって、
かなり上流まで
「ここなら良さそうだな、ミニマップにも人はいないようだからちょうどいい」
「マスター、
「わかった」
アスカのいう左上がどの辺りなのかはよくわからなかったのだが、ミニマップを見ると、薄赤く点滅している地形があった。便利だ。できれば、このミニマップに連動させて収納できたらさらに便利になると思うが、どうだろう。
試しに、実際の崖の方を見ることなく、ミニマップだけを見ながら意識して収納するよう念じたら、普通に収納できた。
「アスカ、コツがわかったから、ドンドン崖を切り取っていってくれ」
「はい」
見る見るうちに、ミニマップの中に薄赤い領域が広がって行った。それを俺がどんどん収納していく。
崖の上の表土と、その上の立ち木なども一緒に収納することができた。根っこが地面から出た木なら切らなくてもまるごと収納できるようだ。
崖の状態を見てみると、上の方からきれいに段ができており、これなら、
そうやって、5分ほど岩の塊を収納していったところ、
「おそらく、ここまでで、今回必要とする砕石の3倍程度の砕石を作れる岩の量になったと思います。ここで砕石を作ってしまいたいので、先ほどの岩の塊を一個出していただけますか」
一辺10メートルほどの立方体を斜めに潰したような形の岩の塊を一つ出してやった。
一瞬、ふわっとアスカの銀髪が広がったと思ったら、先ほどの岩の塊がザーと音を立てて崩れて小山になった。
「
『
まあそんなことはどうでもいいか。
小山は、砕石の山という認識で一度に収納できた。そのあとすぐに岩の塊を一つ出してやる。そういった作業を数十回繰り返して、岩の塊が無くなった。
「やっと、終わったな。今何時になる?」
「12時10分前です」
「
「はい」
川原の丸石の上に二人座って、台になるような石の上に適当な料理と飲み物を並べて昼にすることにした。
食事しながら、
環境に相当優しいことをしたわけだが、同じことを元居た日本でやってしまうとそれこそ悪い意味で大ニュースだ。
食後、飲み物を飲みながらそこでしばらく休憩して、
「そろそろ行くか」
「はい」
「これは、いったい何なんですか?」
「これは、レールといって、この上にピッタリした鉄の車輪の付いた荷車を乗せると
俺の説明で理解できたかどうかは分からないが、その人はしきりにうなずいていたので、ある程度は理解してくれたのだろう。
一番先端の作業個所までやって来て、少しずつ砕石を撒くように排出してゆく。
「アスカ、こんなものでいいか?」
「十分でしょう。あとは、砂虫の輪切りを転がして
砂虫の輪切りの幅は10メートルなので、一度出したものをアスカに半分にしてもらい、一つ残して、収納した。
残った5メートル幅の砂虫の輪切りを器用にアスカが転がしていく。少し盛り上がった砕石の上を輪切りが転がることでいい
「このまま先に砕石を敷いていく方がいいんじゃないか?」
「そのようですね。向こうまでいったら折り返しでレールを敷いていきましょう」
杭が目に届くかぎり一度の作業で表土の剥ぎ取りはできてしまうので、作業は驚くほどのスピードで進んで行った。距離にして45キロ弱の砕石を撒く作業は結局4時間ほどで終わってしまった。
終点はヤシマダンジョンの手前500メートルほどの空き地で、このあたりなら
だいぶ日も傾いてきたのだがまだ明るい。この調子でいけば、明日の朝までにはレールの敷設は一応終わりそうだ。駅舎の設計を見てから最終的な調整は必要になるのだろうが、それはまだまだ先の話だ。
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