第266話 鉄道ヤシマ線
キルンの迷宮から無事大量のレールとレール
50キロもある路線を適当に引くわけにはいかないので当然と言えば当然である。測量を進めながら、レールの敷設予定線上に
飛空艇の訓練開始については、だいぶ遅れるがレール工事完了後からということで、今度操縦士候補として雇う四人に商業ギルドから連絡してもらい、騎士団の方にはこちらから連絡しておいた。
そういうことで、当面はレール関連の仕事ができないため、アスカは、運搬能力だけは高めておこうということで、結局新しく魔導加速器四基を使った大型機関車を作ることにしたようだ。
丸三日かかって、魔導加速器部分を除き2号機関車が完成した。今回も魔導加速器は一週間後の納入になるという。
2号機関車の外観は1号機関車を全体的に
アスカの説明によると、
2号機関車の構造自体は冒険者学校用に作った1号機関車と同じなのだが、魔導加速器を二基を直列にしたものを二列並列にし、動力用ピストンの容量を二倍弱にして、
それに合わせて、動輪とレールの間の
その後アスカは自室にこもって2号機関車の部品図や組み立て図を描いている。
次にアスカが取り掛かったのは、貨物車用の台車(
この運航方法に必要な貨車の数は、積み込み中10両、運航中10両、荷降ろし中10両の30両と予備が数両要るので、全部で30数両となる。その貨車の製作にアスカがすぐにとりかかった。
貨車については、数が数だけに時間がかかったが、
ベアリング製造については、一般工房で車両を作るときには苦労するだろうし、時間もかかるだろうが、いずれ製作に慣れてくれば、製造時間も短縮されるだろうから何とかなるだろう。
そういった感じで、一週間もかからず、列車関連はアスカの手によって完成し、その後、ポイントや
測量の方も順調だったようで、こちらの準備完了と前後して測量技師の人が測量図面を持って屋敷にやって来てくれた。
俺とアスカが、技師さんから図面を見ながら説明を受けたのだが、俺にはさっぱりわからなかった。
ただ、でき上がりの路線はそれなりにまっすぐで、高低差もあまりないということだけは分かった。これなら、事前の予想通りかなりのスピードでレールを敷けそうだし、運航が始まってもトラブルは起きにくいような気がする。
説明の終わった技師さんが帰って行ったところで、
「どうだ?」
「これなら大丈夫だと思います。地盤が柔らかい場所では大目に砕石が必要になりますが、別途どこかの山でも削ってしまえばすぐに
「それじゃあ、さっそく南門の先のレール
「はい、マスター」
一度、商業ギルドに寄って、集められた枕木用の木材を収納して、今回も大回りではあるが、西門を通って南門を目指した。
測量で打ってくれた杭は、図面の通り、王都の南側をヤシマ方向(東)に向かって走る幹線道路に平行な形で、南門の前から200メートルほど南を起点に、東に向かって50メートル間隔で並んで予定路線を示していた。その予定路線上にはまばらに
「一度柔らかい表土を
すぐに予定路線上の最初の杭から次の杭の間の灌木がアスカによって根っこ近くで切り払われ、バタバタと倒れてきた。俺もその木を倒れ終わるまでに収納してしまう。
最初から伐採前の灌木が収納できた方が簡単なので試してみたが、やはりそれはできなかった。そのかわり、切り株は収納できた。そこらへんは微妙な判定が働いているようだ。
「マスターは、杭を中心に幅5メートルほど、表土を50センチほど収納してください」
アスカに言われたように、杭を真ん中に幅5メートルで次の杭まで表土を50センチはぎとった。表土を剥ぎ取った時に残ってしまった雑草や灌木の切り株も簡単にまとめて収納できたので、作業効率そのものにはそんなに影響はない。
「了解。砕石はどうする?」
「それでは、トンネルの時抜き取った
言われたまま、岩盤、5メーター幅で高さが5メーター、長さが10メータほどのものを1つ、表土を剥ぎ取った路線の上に排出してやった。
アスカは、それを水平に10等分にスライスして、路線の上に並べて行った。
「岩盤があるうちは、こちらの方がしっかりしているようですからこれでいきましょう」
100個ほどこの大きさの岩盤があるので、それだけで、10キロ分になる。従って、砕石を用意する必要がある区間は40キロほどになる。砕石はある程度の強度のある石でなければならないと思うが、どうだろうか。この先
「もうレールも敷いていくか?」
「そうですね、先に路線だけ作って後でまとめて敷いていきましょうか。向こうまで路線を先に作って、そこからレールを敷きながら帰ってくれば楽ですから」
うん? 今の言い方だと、アスカは敷設作業が完成するまで屋敷に帰らないつもりなのか?
仕方ないな。
俺は次の杭、次の杭と表土を
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