第255話 機関車2、機構部
アスカは、夜の間にトンテンカンと近所迷惑になったかもしれないが機関車用の部品をかなりの数作り上げていた。
今日はこれからバルブボックスとブレーキ機構を作っていくそうだ。
バルブボックスというのは、圧気をピストンの動きに合わせ左右のシリンダーに振り分ける仕組みだそうで、それなりに
バルブボックスは少し形状が複雑になるため
内部に弁の機構を組み込んで、別で作ったカバーをボルト締めして固定していた。ボルトもワッシャーも自前なら、部材のメスネジ部分も自分でその場でくり抜いてネジを切ってしまうので一点物の機械製作ならば作業効率が非常に高い。まさに機械を作り上げる
アスカ式
ブレーキは動輪に対して直接制動を加えるため、
良くは分からないが、ブレーキ用シリンダーに圧気を送るとブレーキが外れ走行可能になり、圧気を抜くとスプリングでブレーキシューが
ここまでアスカが製作したところで、昼食時になったので、屋敷に戻り手を洗って食堂に入った。
「アスカさんたち、また何か新しいものを作っているんですか?」
ラッティーが興味ありそうに聞いてきたので、
「鉄道というものをこんど試しに作ったんだけれど、その上に走る馬なしで走る馬車みたいなものを作ってるんだ。危なくはないからラッティーも興味があるなら昼から見にくればいい」
「馬なしの馬車はただの荷車ですよね。それが勝手に動くなんて楽しみ」
ラッティーは毎日
「実際に動くのは最後の部品が届く来週だが、形だけは
だそうです。
要するに、魔導加速器さえあれば、アスカにかかると三日で機関車ができてしまうのか。この調子でいけば、十日もあれば人工衛星も打ち上げられるんじゃないか?
「ロケットの先端部分を秒速8キロまで加速するだけですので、推進剤の
だそうです。
確かに、空っぽの箱でもこの星の周りを回れば人工衛星になるのだろうが、それは別名デブリともいう。
食事を終えてしばらく休憩したあと、ラッティーを伴って造船建屋にやって来た。
「これが、馬なし馬車。下には鉄の棒が二本そろって並んでその上を走るんですね」
「鉄の棒をレールというんだけど、本当はこれがどこまでも続いているんだ。
「へー、どのくらい速く走れるんですか?」
「アスカさん、どの程度でこれは走れるの?」
「この機関車のモデルと37キロレールの組み合わせですと、平地で
「だ、そうだ」
「下のレールさえ延ばせばどこでも行けるんですよね。そしたら、アトレヤまでレールを延ばせば王都からアトレアまで簡単に行けるようになりますね?」
「レールを敷いていくのはそれなりに大変だけど、ラッティーがセントラル大学を卒業するあたりにはレール伸ばしてしまいたいな」
「マスター、あまり
「アトレアまでは厳しいかもしれないが、そのうちキルンまでは伸ばしたいと思うんだけどな。鉄なら何とかなりそうだろ?」
「今のところは不可能ではないとだけ」
「実際のところ、俺たちだけなら『スカイ・レイ』に乗って行けば速いし簡単だけどな。そうだラッティー、お父さんに会いたくなったら早目に言えよ、連れて行ってやるからな。俺とアスカは買い物できるからラッティーのためだけじゃないので
「ショウタさん。ありがとう」
たまの息抜きは誰でも必要だ。
「アスカがラッティーのことを見てるから心配はしてないけれど、あんまり頑張りすぎは良くないというからほどほどにな」
「はい。ショウタさんをいつも見てますからそれだけは大丈夫です」
さいですか。
[あとがき]
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