第245話 レール
『鉄のダンジョン』への黒い渦の中に三人
「コア」
『はい、マスター』
「頼みがあるんだが」
『何でしょうか?』
「レールってわかるか?」
『マスターの知識を一部共有していますから、わかります』
「それは良かった。そのレールを作ってもらいたいんだが?」
『どの程度のものを作りましょうか?』
「1メートルあたり37キロの重さのある鋼鉄製のレールで長さは一本12.5メートル。それを200本ほどできるかな?」
『ダンジョンポイント1万2千を使ってレール200本を作成します』
ダンジョンポイントは1万2千は
見る間に、
「また、俺のMPを3000ほど持っていってくれ」
『了解しました。……、ダンジョンポイント3万増加しました。現在のダンジョンポイントが38250です』
何だかわからないが、実に効率がいい。俺のMPは宝の山を越えてるぞ。
一応ここでの仕事は終わった。次は、冒険者ギルドだな。
『鉄の迷宮』を出た俺たちは、例のごとく駆け足で王都の冒険者ギルドに向かった。
冒険者ギルドに入ると、ちょうどスミスさんがホールの脇で突っ立って暇にしていたので、ギルマスのギリガンさんへ
ギリガンさんの執務室で俺はソファーに座って、向かいにはギリガンさんが座っている。アスカはいつものようにソファーの後ろで俺の左後ろ、ペラは右後ろに立っている。
「今日は、先日お話していた冒険者学校がもうすぐ完成しますので、そろそろ生徒の募集を始めていただきたいとこちらに
「ほう、もうできたのかい」
「あと、10日ほどで完成しますので、二週間後には開校できそうです。それに合わせて、こちらで一期生、総数12名の募集をお願いします。あと、訓練の過程で鉄鉱石がある程度出てくると思いますので、それの買取をお願いします」
「どちらも了解した。細かいところはスミスと打ち合わせてくれ。
スミス、いまのことは頼んだ」
「了解しました」
「そういえば、少し前に、王都の西の方で大きな爆発音が何度かしたそうで、このギルドに調査の依頼が来ているんだが、おまえさんたち何か知らないかい? ちょうどそのころお前さんたちが王都の西に向かって駆けているところを見たって言う者が何人もいてな」
「えーと、本当に知りたいですか?」
「それはそうだろう。ここで変なものを出さないなら話を聞こうか」
「何も出しはしませんよ。ただ、あの辺りで新しい魔法の実験をしてただけです」
「ショウタは魔法が使えるのか?」
「何となくですが」
「何となくでもエルフでもないショウタが魔法を使えるとはすごいじゃないか。その魔法は
「まあ、そんなところです」
「さすがに中身は話せないか。分かった。それで他には何かあるかな?」
「いえ、今日は生徒募集の件と今後の鉄鉱石の買取依頼、その二点です。ありがとうございました」
ギリガンさんの執務室を辞し、スミスさんと別室で打ち合わせをして、開校日を15日後に決め冒険者ギルドを後にした。
次は商業ギルド。
なんだか、最近はよく働く。トンネルを作って、すこし冒険者学校が落ち着いたらだらだらと過ごそう。もう春になってしまったということは俺は本来なら高二か。誕生日ももうすぐだ。
商業ギルドのホールに入り、受付の三人のところへ行って来意を告げるといつものように二階の応接室に案内された。
「トンネルを支えるための木材と、そのほかに丈夫な木材がご入用とうかがいましたが」
今日もポーラさんが応対してくれた。
「はい。ある程度のまとまった量が必要ですので、こちらに
「トンネルの
そういうことで、ポーラさんに案内されて、
「ここにある木材は強度などは問題ないようです。ある程度の太さがあれば、私の方で形を
そういうことだったので、倉庫いっぱいの坑木を買うことにした。ある程度の在庫はギルドに残した方がいいのではないかと思って聞いてみたところ、あの試験坑道用に用意した坑木だったようで、計画が中止になったためそのままこの倉庫に眠って不良在庫状態だったそうだ。かえって喜ばれてしまった。坑木のほかにも天盤を覆う
すぐに購入契約をして代金を口座から支払い、現物は俺がそのまま収納してしまった。それと、15日後の日曜日に学校を開設して生徒を受け入れるので、当日の朝早めに屋敷に来てもらうよう寮母をお願いするヒギンスさんたちに連絡してもらうようお願いした。冒険者学校にうちの箱馬車で一緒に向かうためである。
準備は整った。あと必要なのは、何だ?
「リーシュ宰相に、山からの出口の辺りの土地使用許可でしょうか」
「レールの終点で、荷物を馬車に乗せ換える広場的なものも必要か」
「それもありますが、単純に坑口当たりの地盤は
「何だか大仕事になりそうだが、俺が収納する以上そんなに大変じゃないのかもしれないな」
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