第235話 四輪車2
アスカとペラの二人がかりで車輪がシャーシに取り付けられた。車軸は、先にアスカが作っていた直径4ミリほどのピンで車輪や
「一応車体の本体部分はこれで完成です。あとは、荷台の周りを囲み、引手を取り付ければ完成です」
そういいながら、バタバタと板を張り合わせ荷台の外枠ができ上り、シャーシから鋼板を曲げてパイプ状にした構造材を使って引手が取り付けられた。
「こんなものですが、いかがでしょうか?」
「見た目は、四輪のリヤカーだな。どれ、俺が持って引いてみる」
四輪車の引手を持ち上げてみたところ、俺には何ともないが、一般人が持ちあげるには少し重たく感じるかも知れない。その代り、引いてみたところそこまで重たくないので問題はなさそうだ。重量物を乗せても二人で引いて、後ろから二人で押せば何とかなりそうだ。ただ、まだ軸受けに油を
「油を忘れていました。マスター、
何かないかな、と収納庫の中を探したところ、むかし買った革製品の手入れ用
もう一度四輪車の引手を持ち上げて引いたみたら、音も出なくなりさきほどよりよほど軽い。
「アスカ、これなら十分使えるんじゃないか」
「ありがとうございます。一台目は一度収納しておいて下さい。あとは私とペラでもう四台ほど作ってしまいますので、材料をお願いします」
四輪車製造では、軸受け部分も含めた車輪の製造に時間がかかるようで二人がかりでもそれなりの時間がかかったのだが、無事、残りの四台の四輪車が完成した。今回、アダマンタイトやミスリルといった特殊な金属を使わなかったのは、おそらくアスカ的には
軸受け部分さえできてしまえば、あとの製造はそこまで難しくないと思えるので、将来的には、それなりの鍛冶職人が王国にもいるだろうから外製化できるかもしれない。
「
「それでしたら、四人用に盾と、以前四人に渡した短剣ですと切れ味が良すぎて、今後の冒険者学校の生徒達への教育の参考になりませんからメイスを作っておきましょう。鎧は間に合いませんが、あの四人なら鎧がなくとも大丈夫でしょうし、マスターのポーションもあれば、われわれもついていますから問題ないはずです」
鎧がないのは少し心配だが、アスカがついている以上彼女たちへのゴーレムの攻撃がヒットすることはないだろうから問題はないだろう。
まずは武器としてメイスを作るということで、本体材料の
「今回は、武器ですので、鋼をハンマーで叩いて
いつもなら、両手で捏ねまわして形を作るのだろうが今回はちゃんとアダマンタイトの金床の上に鋼のインゴットを乗せてアダマンタイトのハンマーでたたきながら形を作っていくようだ。
普通の鍛冶屋なら、熱したうえでトンテンカンテン叩いて形を作っていくのだろうが、ここでは、
カカカカカカ……カン、
機関銃の音を聴いたことがあるわけではないが、そんなすごい勢いでハンマーが振るわれどんどんメイスの形が作られて行く。
そして、
「どうでしょう?」
でき上がったメイスは、先端から15センチが太く、そこから柄が40センチ、小さなつばが付いて持ち手の長さが25センチほど。持ち手には砂虫テープが巻かれ滑り止めになっている。見た目は円柱を連ねただけののっぺりした感じのメイスなのだが鋼を鍛造して作られただけあり、鍛造品独特の迫力はすごい。
「四人組が使うにしては少し大きいような気もするけど、つばの近くを持つならこんなものだろうし、これなら両手でも扱いやすそうだ」
「この大きさですと一般人では少し重いでしょうが、あの四人については、かなり鍛えていますので、この程度の重量の武器でも負担なく扱えると思います、あと三本作りますから、これは収納お願いします」
「了解」
アスカの作ったメイスを収納して、一応鑑定してみた。
「
鋼鉄製のメイス、正確に鍛造されているため内部にひずみがない。中心線上に重心があるため扱いやすく、どの方向から打撃しても打撃力が
攻撃の正確さが補正される。
予想通り、かなりのメイスだった。今回はただの
いろいろ考えているうちに、アスカはすでに二本のメイスを完成しており、あと一本ももうじき完成しそうだ。
「マスター、四本完成しましたので、収納お願いします。次は盾ですが、これは、鋼ですと割れてしまう可能性が有りますので、鉄で作りましょう。
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