第234話 四輪車
時間もあるので、試しに四輪車を一台作ってみることになった。材料は『シャーリン』を造った時の余りの木材と、後は、鉄などのインゴットだ。
二人で作るといっても、俺はアスカに言われるまま材料を収納から取り出すだけだ。ペラも暇にしていたので、何かの役に立つかもしれないと、造船用の
「まずは、車輪です。車輪本体は軽量化のため木材で作りますが、石の路面を走るわけですから、車輪の輪の外側に鉄板を張りましょう。マスター、鉄のインゴット四個と、アダマンタイトのインゴット一個、それに以前作ったアダマンタイトの
アスカの前の
「ペラでは硬い金属の直接加工が難しいので、今回はまず、アダマンタイトでハンマーを作ります」
そういって、アスカはアダマンタイトのインゴットを金床の上に置いて自分の手でカンカン叩いて形を整えながら、
「一応ハンマーができましたので、まずは車輪の輪の外側に張る鉄の帯を作りましょう
ペラ、この鉄インゴットをハンマーでたたいて伸ばして、幅10センチ、厚さ3ミリで鉄の帯を作るように」
「了解です。任せてください。ペラはその鉄をハンマーでたたいてペラペラにします」
ペラは今日も絶好調だった。
「マスター、おそらくインゴット一つで車輪二つ分と少しの鉄の帯ができると思います。ペラが鉄の帯を作っている間に、私は車輪を作っておきますので、造船用の木材をお願いします」
ペラがハンマーで鉄をたたいている音を響かせている中、アスカの前に造船用木材をだしてやったところ、あっという間に木材は加工されて、十二個の三分の一円の部材が出来ていた、その部材の片側の端には刻み目が入っていて、その逆の端は、その刻み目にはまるような出っ張りが作られていた。
「
といっている端から、丸い棒が見る間に作られていった。数えてみると三十二個あったので車輪一個当たり、八本のスポークを使うのだろう。
「スポークの次は
「取りあえず、ここまでで、車輪を組み立ててしまいます」
最初、
これを四回繰り返して、四個の車輪の形ができ上った。
ちょうど、ペラの方も作業が終わったようだ。
「
「次は、四輪車の土台となるシャーシ部分です。フレームは木材で作りますから、簡単ですがここには大きな力がかかるため、部材同士は、鉄で作った補強材で繋げます」
すぐに木で枠組みが作られ、その上に板が張られていった。角の部分はペラの作った鉄の帯の残りを短く切って直角に曲げたもので補強されていった。
「次は、このシャーシに、
俺から手渡された
「これを長さ7センチほどに切って、両端は5ミリずつすこし細くします。これが
鋼を加工して一度リング状の部品を作った後、その外側の面に対して半円柱状の窪みが八カ所きれいに作られたいった。
「次は軸受けの
鋼で先ほどよりも一回り大きなリングを一度作ったものを二つに分割して、ローラーを取り付けた先ほどのリングにかぶせた。
「これだけですと、外側のリングが外れてしまいますので、もう一つ外側に薄手のリングをはめてやり固定します」
今度のリングは厚さが3ミリほどのもので、先ほどの軸受けの外側からはめ込まれ軸受けが固定された。
「これで、内輪と外輪が自由に動く
説明のない作業は、髪の毛も使った同時並行作業で高速化されるため、これもあっという間にでき上がった。
「次は軸受けを取り付ける
二つの鉄のインゴットが各々半分に切られ、アスカの手でこねたり伸ばしたりして、軸受け用の土台が四つでき上がった。その土台に先ほど作ったローラーベアリングを組み込んでいく。
でき上がった四個の軸受け付き
「次は
渡した鋼のインゴットを少し切り欠いて、5ミリほどの細い丸棒を何本か作ったあと、残りを半分にして、それぞれをを伸ばしていき長さ30センチほどの丸棒が四本でき上った。ところどころに5ミリほどの孔があいている。
「それでは車輪に軸をはめ、シャーシの軸受けに取り付けていきます。ペラはシャーシを持ち上げるのを手伝ってください」
アスカなら一人で全部できるのだろうが暇にしているペラを使うようだ。同じように暇にしている俺には
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