第187話 結構なことだ。
リバーシ大会が終わり、賞品を手にめいめい自室に帰って行こうとするみんなを一度呼び止めた。
「みんな、きょうは
みんなが立ち止まって、いままで座っていた席に座りなおした。
俺が、タオルを
「それじゃあ、私が取ってきます」と言ってくれた。
鍋の横に置いた皿の上につき立てのおもちの塊を取り出していたら、アスカが妙なことを言う。
「シャーリー、スープ皿とスプーンは必要ないから、おたま《レードル》を一つ持ってきてくれればいい。それと、マスターと私、それにシャーリーとラッティーの
アスカがそう言うのを聞いてシャーリーがうなずいて、持っていたアスカフィギュアをいったん近くの台の上に置いて厨房の方に急いでいった。
「アスカ、スープ皿と、スプーンが必要ないとは?」
「マスター、お
そう言って、アスカがどこからともなく、お
アスカが取り出したお
すぐに、シャーリーが
「シャーリーは、おモチを小さめに二、三個ずつちぎってその木の
「それでは、私がお汁粉をよそっていきます」
「アスカがそんなことをするとは珍しいな」
「大みそかですから」
アスカに
いや、いくら何でもそれは失礼だった。アスカなりに考えて、行動しているんだろう。とはいえ、エンダー子爵閣下が給仕するのはちょっとな。まあ、アスカをアゴで使っている俺が言うのもおかしいが。
「アスカさん、わたしがよそります」
ほらな、ヨシュアがすぐにそう言ってくれた。さすがは元プロ侍女。
アスカに代わったヨシュアが手早くお汁粉をおモチの入ったお椀によそり終えそれをみんなが自席まで運んでいった。
「みんな行き渡ったか?」
「はーい」
みんなそろっての返事が返ってきた。うちのみんなは元気が良くて結構なことだ。
「それでは、今日はみんなに配った二本の棒、
みんなに良く見えるようにお椀を左手に持って立ち上がり、説明を続ける。
「「はーい、先生!」」
左手にお椀を持ったみんなから、そろって返事が返って来た。うちのみんなはノリも良かった。結構なことだ。
「そしたら、今度は右手だ。こんな感じに二本のお箸を三本の指の間に挟んで、親指で軽く
手にした箸の先を開いたり閉じたりしてカチカチ音を立ててやった。
「「すごーい」」
みんな感心して俺の箸さばきに見入っている。結構なことだ。
アスカを見ると、一応はアスカから箸の使い方を習っているはずのラッティーに指の使い方をもう一度
俺とアスカの二人を除いてこの居間の中にいるのは八人。そのなかで孤児奴隷だったのは、シャーリー、イエロー四人娘、そしてマリアの六人。ラッティーはこの国にいたらおそらく孤児奴隷になっていたろう。ヨシュアについての過去は聞いていないが、自分で命を断とうとするような過去を持っている。そういった意味では、幸せとは言いがたい過去を持った八人だ。
俺は、自分のいた世界からこの世界に間違って召喚されたが、運よくアスカと出会い、ひどい目に合うことなど一度もなくここまでやってきた幸せ者だ。だからなのか、俺とアスカでほんの少しの
あしたの
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