第182話 餅つき大会2
だいぶ前に河を渡ろうとアスカが作った
乾燥していない
そのほかの準備として、先日仕入れたアズキで汁粉とあんを作ってもらっている。あんは汁粉の汁をとろ火でゆっくり潰しながら蒸発させたもので、作るのに結構な時間と手間がかかったようだ。もう一つ用意できたのが甘くしたきな粉だ。大豆をフライパンで炒った物を粉にひいて砂糖を少し加えて作った。これで
ショウユ?も手に入っているので
屋敷の表にテーブルと
「よーし、みんな。それじゃ、餅つき大会をはじめるぞ」
「わーい」パチパチパチ。
とりあえず、みんなも歓声を上げてくれた。これがシーンとしたままだと非常に気まずいものだが、うちのみんなが空気を読んでくれたおかげで何とかなった。
歓声と拍手が上がっているところに、ちょうど蒸し器で蒸しあげられたモチゴメがザルに入れられて、ミラの手によって厨房から運び込まれた。
「ミラ、そこの臼の上にあけてくれ」
臼と言ってわかったかどうかは不明だがちゃんと臼の中に
「俺とアスカで一通りモチをついていくからみんなよく見ておいてくれよ。俺たちのあとはみんなで順番についていくからな」
アスカは一度
「ほい」ペッタン。
「はっ!」
杵が持ち上がったところで、すかさず横にずれたモチを真ん中になるよう折り返して位置調整する。
「ほい」ペッタン。
「はっ!」いちど、手に手水をつけ、モチを折り返す
「ほい」ペッタン。「はっ!」
「ほい」ペッタン。「はっ!」
「ほい」ペッタン。「はっ!」
「ほい」ペッタン。「はっ!」
……
こんなものかな。庭に出したテーブルの上には大きなトレーが置いてあり、その上にモチゴメを粉に挽いたものを広げている。その粉の上に出来上がったモチの大きな
「みんな、温かいうちに食べないと硬くなるからな。こっちがアンコ、そっちの黄色いのがきな粉。好きな方をくっつけて食べてくれ。どっちも甘いしどっちでもおいしいぞ」
みんなができ上がったモチを皿に取ったアンコやきな粉につけておそるおそる口に運んだ。
「なにこれ、おいしーい。でものびるーー」
なにも
「つき方は、だいたい分かったろ? 次はだれか俺たちに代わってモチをついてくれ」
一度見ただけでは難しかったのか互いに顔を見合わせている者が多い。
「つき手はモチをつくとき返し手の手をついてしまうかもしれないと思うかもしれないが、恐れる必要はない。
今のアスカの言葉にみんな引いて静かになってしまった。それはそうだ。
「今のは冗談だ、ちゃんと杵を止めてやる」
アスカ、下手な冗談はやめた方が良いぞ。空気を読まないのはお前の特技かも知れないが、時と場合があるんだからな。おっと、時と場合を気にしないから、空気を読まないのか。
次の
「それじゃあラッティー、おまえがやってみるか。おまえ用に小さな杵もあるからな」
「わたしがやっていいのー? やってみるー」
「それじゃあ、アスカ、ラッティーの後ろから、杵を支えてやってくれ。俺だったら少々のことは何ともないから、もう一回返し手をしてやろう。いいか、ラッティー。さっきアスカがやってたように掛け声をかけながらつくんだぞ」
「はい」
「よし、いい返事だ。最初は俺とアスカである程度ついておくから、それからラッティーがついてくれ。それじゃあアスカ」
「はい」
最初、さっきのように周りから真ん中にモチゴメを押しつぶしていき、ころあいを見て、
「ほい」ペッタン。
「はっ!」
「ほい」ペッタン。
「はっ!」
「ほい」ペッタン。
「はっ!」
「それじゃあ、アスカ、ラッティーと代わってラッティーの後ろについて見ててくれ」
「いきまーす。ほい」ペッタ、
「ううー」
杵がモチについて持ち上がらなくなったようだ。アスカが後ろからラッティーの手をもって杵を持ち上げてやったら、モチがどこまでも伸びてくる。
「おおー」
周りで見ているみんなも先ほど食べてみてモチとはかなり伸びるものだと知ったが、ここまで伸びるものだと始めて知ったせいで一様に驚いている。
ラッティーは四、五回杵を振ったら
その回は結局アスカが続きをついてモチをつきあげた。でき上ったモチはすぐにテーブルの粉を敷いたトレーに運んで、みんなで丸いモチを作っていく。そして今回もすぐになくなってしまった。好評でなにより。
次からは、ハウゼンさんがつき手、リディアが返し手。サージェントさんがつき手、エカテリーナが返し手。といった具合で何のかんので、みんな餅つきを楽しむことが出来た。シャーリーは俺がつき手でシャーリーが返し手になった。信頼の
かなりのオモチがつきあがり、モチゴメも蒸かし終わったようで、最後の蒸かしたモチゴメをもって厨房組三人が出て来たので、最後の餅つきをハート姉妹で
みんな、お腹を膨らませて今日の餅つき大会は大成功で終わったのだが、モチの腹持ちの良さが初めてだったせいで、うーうーおなかをさすってうなっている者が何人も発生した。三時のおやつの時間は汁粉のつもりで、ゴーメイさんに準備を頼んでいたのだが、これだと明日以降だな。
余った大量のモチは、カビさせてはいけないので俺がちゃんと収納しておいた。それと、それなりのモチとアンコをサージェントさんに王宮に届けさせた。
あの勇者たちは今でも嫌いだが、それでも日本人だ。これから正月を迎えるにあたりモチくらい食べたいだろう。リリアナ殿下におすそ分けで食べ方を紙に書いて送ったのだが、勇者連中にも食べさせてやるよう
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