第176話 片付け
ラッティーを迎えた当日の夕食は、ゴーメイさんが腕によりをかけただけあって、普段の夕食もおいしかったがその数段
主役のラッティーに食べさせようと、いろいろな料理を小皿に盛って、みんながラッティーに勧めるものだから、無理にでも口に入れようと頑張った末にお腹をはちきれんばかり膨らませたラッティーは、早々にダウンしてしまった。
「ラッティー。無理に食べなくていいんだからな」
「みなさんに良くしてもらっているのが嬉しくて、つい食べすぎました」
孤児として自力でここまで大きくなったとは思えないほど、スレていなくていい子じゃないか。アスカや俺の先入観がいい意味で裏切られたようだ。
「それじゃあ腹の具合が落ち着くまで休憩して、それからお風呂に入るんだな」
「はい」
「シャーリー。1時間くらいしてラッティーが落ちついたらお風呂に入れてやってくれ」
「シャーリーちゃんとラッティーちゃんが一緒にお風呂に入るんだったら、わたしたちも」
「それじゃー、わたしたちも」
結局、アスカ以外の女性陣全員がラッティーとお風呂に入ることになったようだ。順番に
食事の後、ゴーメイさんが焼いた焼き菓子がデザートとして出されたが、ラッティーはさすがにもうお腹に入れることができなかったので、別に取っておいてもらうことにした。
食事の終わった俺は、その足で、一足先に風呂に入っていたら、予想通り女風呂の方が相当にぎやかになってきた。若い女子がお風呂の中ではしゃぎまわっている声を湯舟の中でぼーと聞いている俺って、どうなの? そっち方面
風呂から出た俺は、もう一度普段着を着て
「それじゃあ、荷物をかたづけていきましょう。いったん作業台の上に並べますから、どこに何を置くのか指示してください」
「分かりました。最初は大きいところから、おコメを穀物用の収納庫にしまいましょう。ここです」
ゴーメイさんの指示に従って、食堂の一角にある小部屋のように仕切った穀物用の収納場所におコメの
「あと、モチゴメもあるんですが、これ以上ここには置けなさそうなので、俺の収納に入れておきます」
「そうですね。モチゴメもあったんですね。モチもけっこういいものですよね」
「やっぱりゴーメイさんは何でも知ってるんですね」
「いえ、知っていることだけです」
あれ? どこかで聞いたことがあるようなセリフが返って来た。
そんな感じで、ブレゾで購入した食材などを
「マスター。ちょうどいい機会ですから、女性陣にブレゾで買って来たお土産を渡したらどうでしょう?」
「すっかり忘れていたよ。アスカはほんとによく気が付くな」
予想通り無表情のドヤ顔をアスカさんからいただいた後、シャーリーにはきれいな貝をあしらった髪飾りを、他の連中には、それぞれ可愛らしい小物を配ってやったらすごく喜ばれた。
考えたら、全部アスカがお金まで払っていたものだ。俺はただ渡されたものを運んでここでみんなに配っただけなのにすごく感謝されてしまった。うーん。社会の仕組み、社会の縮図。そんなものを
まずい、ラッティーには何も買っていなかったぞ。本人は気にしていないような顔をしているが、やっぱり気になるはずだ。これは非常にマズい。何か収納のなかに女の子が喜びそうなものがないかと物色していたら、シャーリーが、いま自分が受け取った髪飾りを、ラッティーのサラサラの髪につけてやっていた。そして俺の方に顔を向けたのでうなずいた。シャーリーありがとう。
結局、女性陣がみんな集まって来たので、お茶でも飲もうということになり、みんなで居間に移動して、ゴーメイさんが焼いた焼き菓子の残りを食べながらお茶を飲んだ。
男性陣はこの時間、みんな揃って風呂に入っているようで、居間にいる男性は俺一人だ。だからどうなるわけでもなく、女性陣はラッティーと話したり、
「マスター、ラッティーを見てください。もう夜もだいぶ更けてきましたが、すごく目を輝かせてみんなと話をして、みんなの話を聞いています。良かったですね」
「ああ、良かった。これもアスカのおかげなんだな。ありがとう、アスカ」
「わたしは、マスターのマキナドールですから当然です」
「だったな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます