第171話 ラッティー4
ラッティーはおかわりでもするのかと思っていたが、意外と
「ラッティー、無理して食べなくてもいいんだぞ」
「でも、もったいないから残せないよ」
「そうだな。でも、いま一度に食べると、
「うん」
俺の収納庫から予備の皿を1つ取り出し、皿の中にラッティーの残した料理を移して収納した。一連の収納を使った作業にラッティーは目を
「それと、きょうはおまえをこの宿屋に泊めようと思ってるけど、いいだろ?」
「ショウタ、いや、ショウタさんは、どうしてそんなに俺に親切にしてくれるんだ?」
「おまえのきょうの
「ふーん、ショウタさんは甘い人間なんだ」
「そうだな。甘い人間なんだろうな。甘い人間は嫌いか?」
「別に」
「そうか、それは良かった」
「アスカ、ラッティー、部屋に戻るか」
「はい、マスター」「うん」
三人で部屋に戻ったところ、ラッティーにとっては今日はめまぐるしい一日だったはずで、かなりまぶたが重そうだ。アスカに目配せし、俺はいったん部屋を出て、入り口で待機することにした。
ものの5分でアスカに呼ばれ、部屋に入ってみると、
「マスターは空いている方のベッドで休んでください。わたしは、ラッティーのベッドに腰を掛けているだけで問題ありませんから」
「すまないな。それじゃあ俺も着替えて寝るから。アスカ、悪いけどよろしくな」
「はい、マスター」
翌日。俺とラッティーは夜明け前から目が覚めた。アスカは寝ないでラッティーの寝ていたベッドの隅に腰を掛けたまま目を閉じていたようだ。まあ、アスカの場合寝ている状態というものそのものがあるのか? というと俺にもそれは分からない。
「マスター、おはようございます。ラッティーもおはよう。顔を洗う場所は、宿屋の裏庭のようです」
「アスカ、おはよう」「アスカさん、おはよう」
ちゃんと、朝のあいさつのできるいい子じゃないか。
俺一人、先に着替えて部屋をでて屋敷の外の洗い場兼洗面所に向かった。ようやく空が白み始めて来た野外の洗面所で用を済ませ、顔を洗い歯を磨いていると、普段着に着替えたアスカとラッティーがやって来た。
「このまま食堂に行くだろ? 俺が先に行って注文しとくから」
「マスター、お願いします」
朝食も、昨日の夕食同様、四人掛けの席に俺が先について、三人分の朝食セットを注文しておいた。朝食セットはすぐに運ばれてきたので、二人が来るまで待っていたら、すぐにやって来たので食べ始めた。
「「いただきます」」
「ラッティー。食事の前には『いただきます』って言うと食事が美味しくなるんだ」
昨日の夕食の時には、勝手に食べ始めたラッティーだったが、今日はみんなが食べ始めるまで待っていてくれた。そして、おずおずと、
「いただきます」と小さな声を出して食事を始めた。
「な、少しおいしくなったろ?」
「うーん、そうなのかなー? よくわかんない」
昨日と比べて微妙にラッティーの
「食事が終わったら、一休みして、きのう出会った穀物問屋さんのところに行ってみよう」
そう言いながら、昨日おじさんに貰ったチラシを取り出した。
各種穀物取り扱い
穀物問屋、パンプキン商会、○○通り△番。
「○○通りってアスカ分かるか?」
アスカがそれには答えず、ラッティーの方を見るので、
「ラッティー、パンプキン商会って分かるか?」
「うん、わかる。そこに連れてけばいいのか?」
「分かるんならラッティー、俺たちを連れて行ってくれ、頼む」
「任せとけ。だけど、あのおっさんのとこだろ? 俺は二人を連れてくだけだからな」
「ラッティー。昨日の
確かにえらい変わりようだったものな。今ラッテイーが着ている普段着だって、髪の毛をきれいに切りそろえたラッティーに良く似合っているし、昨日の悪ガキとは全くの別人だ。ラッティーは子どものわりにやや首が長くて顎が細いので、どことなくお嬢さま顔なのだ。
「ここで、お茶でも飲んでいくか? 俺は紅茶かな」
「マスターが紅茶なら私も紅茶で。ラッティーは何かジュースを飲んだらどうだ? 私はついでに甘いものを頼むから、おまえも好きなものを頼めばいいぞ」
「それじゃあ、俺、わたし、リンゴジュースとアップルパイ」
やっぱりラッティーは自分を作っていたようだ。でも、少しずつ地が出てきているのはいいことだな。
アスカとラッティーがデザートを食べているのを見ながら、ゆっくり紅茶を飲んでまったりすることができた。
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https://kakuyomu.jp/works/1177354054896322020 よろしくお願いします。
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