第162話 ヨシュア、ポーション作り
四人娘たちの訓練もほぼ完了した。後は、実機での訓練を繰り返すだけだ。
飛空艇の2号艇も完成が間近に迫っている。外板の貼り付けも終了し、後はダンジョンガラス製のキャノピーの取り付けと、内装。最終調整を終えれば試験運転でそれらも合わせて、あと10日くらいで
商業路線は王都セントラルとキルンを結ぶということだけ決めてはいるが後は商業ギルドのリストさんに丸投げである。
2号機が完成するまで四人娘たちに手がかからなくなったところで、これまで屋敷の家事をしていたヨシュアにそろそろ錬金術を教えていこうということになった。四人娘たちには、数日休暇を与えることにし、
彼女たちはすでに観劇する芝居の
次の日にも芝居を観るそうで、演目は『アナグマと
ヨシュアに錬金術を教えるといっても、ヨシュア自身は錬金術については全くの素人なので、まずは座学、アスカの講義から始めることになった。
アスカが言うには、薬草名や効能を覚えるのはもちろんだが、ポーションづくりでもっとも大切なことは、時間感覚だそうだ。1分を正確に感覚でつかめるよう何度もヨシュアに1分を言い当てる練習をさせていた。時間感覚がしっかりすることにより
なじみのない錬金術の講義にはヨシュアもかなり苦労したようだが、何とかついていけているようで、そのかいあってか今日は初めてヨシュアにポーション作りの入り口であるスタミナポーションを作らせるということだった。
スタミナポーションの材料の純水と
屋敷の錬金作業場で、俺とアスカが見守る中、ヨシュアが慣れない手つきで、
「ヨシュア、攪拌速度が一定になるように注意するように」
見ていると、最初緑色をしていたビーカーの混合液の色が徐々にうすれて、薄黄色の液ができた。そのでき上がったビーカーの中身をポーション瓶に入れ替え、
「ヨシュア、完成だ。それがスタミナポーションだ。今の感覚を忘れないうちにもう一度」
「はい」
どれどれ、出来たポーションを鑑定してみるか。
「スタミナポーション、ランク1相当 1本、 スタミナ11回復」
売ってるのはランク1で回復量が10だった。初めてのポーションづくりで成功するとは大したものだ。当然アスカには
……
「なかなかいいぞ、次」
……
「良くなってきてるぞ、次」
……
その後、ヨシュアは、スパルタ教育好きのアスカさんの指示で、数十回スタミナポーションの作成を繰り返し、「スタミナポーション、ランク3相当」がコンスタントにできるようになったところで、本日の錬金術実習は終了した。
かなり疲れたような顔をしたヨシュアに向かって、
「ヨシュア、今日はここまで。かなり良くなった。スタミナポーションはこれで卒業だ。最後に作ったスタミナポーションを自分で飲んで自分で効き目を確かめておけ」
「ありがとうございます」
アスカが気をきかせて、ヨシュアにスタミナポーションを飲ませて疲れを取ってやるようだ。アスカが気づかいのできるようになったことは実に喜ばしいことだ。きっとアスカは俺に対しても気づかいを示してくれるだろう。
「マスターは、薬草を手渡してただけですから疲れなどありませんよね」
「はい。全然疲れていません」
次の日は、PAポーションの作成だ。これが安定的にできるようになれば、錬金術師として食べていけるらしい。今日も今日とて俺の仕事の薬草の手渡し係は変わらない。PAポーションの材料、黄躁草、
これでも、王都では
ヨシュアは3日ほど、PAポーションの作成練習を繰り返したあと、最後にアスカがOKを出した。ここまで来るのに講義と実技で1週間ほどしかたっていないが、少なくともヨシュアはこれで、立派な錬金術師で独り立ちできる技能を身に着けたわけだ。アスカ教官の指導の
[あとがき]
応援、フォロー、☆、感想等まことにありがとうございます。
『赤き彗星』は、アズナブルさんとは何の関連も有りません。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます