第154話 皇女救出作戦2
アデレード王国に亡命を求めるパルゴール帝国の
「『スカイ・レイ』 発進!」
「『スカイ・レイ』 発進します」
ゆっくり西向きに旋回しながら『スカイ・レイ』が上昇していく。
「高度1000、水平飛行に移ります」
『スカイ・レイ』が速度を上げていく。
「対地速度、270。マスター、追い風のため、
「少し早く着きそうだが、このままでいこう」
「了解。現在時刻は11時30分ですので、到着予想時刻は、21時頃になります」
270キロでも250キロでもそんなに飛行時間はかわらないようだ。途中何が起こるかわからないから少し早めの方がありがたい。操縦席の前のキャノピーから下を走る街道や街道に連なる街並みを眺めながら飛んで行くと、日が徐々に
飛び立って4時間ぐらいしたと思う。青い空の先に何かゴマ粒のようなのものが見えた。
「アスカ、空に何かいるぞ。何か分かるか?」
「どうやら、ワイバーンのようです。街道の近くまで群れで飛んできているのは何かあったのかもしれませんが、『スカイ・レイ』を狙われると
「どうする? 少し
「そうですね。下から奇襲を受けないようになるべく低空から接近して、適当なところで着陸しましょう。地上に降りてしまえば、ワイバーンなどただの羽根のついたトカゲですからマスターと私で簡単に
結局、いつもの通り経済活動と食欲優先の発言だった。アスカの場合は食欲というより新しいものの味覚に飢えてるんだろうな。
「マスター、速度を落としながら降下始めます」
「了解」
徐々に高度を下げながら『スカイ・レイ』がワイバーンの群れに接近していく。ミニマップで見ると全部で十二匹のワイバーンがいるようだ。何をしているのか知らないが街道の上で飛び回るとは迷惑な連中だ。一匹が『スカイ・レイ』に気付いたようでこっちに向かってきた。俺の視界にすっぽり入ってしまうとこうなるんだぞ。
近づいたワイバーンはこげ茶色の翼を広げた首長竜のような見た目だったが、そのまま魔石奪取アンド収納で片付けてやった。
「速度0、高度50、着陸脚展開。そのまま着陸します」
残ったワイバーンも『スカイ・レイ』に気付いたようで
『スカイ・レイ』はまだ着陸していないが、俺は急いで後ろのタラップの安全ロックを外し『スカイ・レイ』が着陸し次第跳び下りる準備をした。
「高度40、30、20、10、着陸します」
ドッカーン!
着陸したと同時に『スカイ・レイ』に
「マスター、ワイバーンの放った火球がスカイレイに着弾しました。外板が若干焦げたようですが問題ありません」
砂虫の外皮は
すぐに『スカイ・レイ』から飛び出した俺は、胴体上面によじ登りワイバーンを目視で確認する。まさにその時一匹のワイバーンが
ヤバい。間に合え!
「魔石奪取からの収納!」
ワイバーンは何とか
火球が頭上から迫ってくる。
ドッカーン! 目の前で火炎弾が爆発した。
両腕で顔を覆って『収……』まで言った収納が間に合わなかったのだが、どうやら俺は無事らしい。アスカがタラップに一歩踏み出しこっちを見ている。
「マスター、申し訳ありません」
「いや、今のはアスカが火炎弾を何とかしてくれたんだろ?」
「はい、髪の毛の
「いやいや、アスカありがとう。気にしないでくれよ」
「マスター、ありがとうございます」
収納が間に合っていたらあの火炎弾を収納できたんだろうか? もう試す気はないがちょっと気になる。
今のワイバーンには少々あせらされたが、後は消化試合で、簡単に残りの10匹を仕留めてしまった。結局は魔石を体内に持ってそれがないと生きていけない魔物では俺に対して圧倒的に不利だ。アスカが『スカイ・レイ』から俺の応援に出てくる必要もなく戦闘が終了してしまった。
「マスター、先ほどの火炎弾攻撃で外板が少し焦げましたがそれ以外目立った被害はありません。いつでも出発可能です」
アスカがそう報告して来たので、
「それじゃあ、すぐに出発しよう」
よじ登っていたところから飛び降りて『スカイ・レイ』に再度乗り込み助手席に座った。
「『スカイ・レイ』 発進!」
これまで、右手に山並みが遠くに見えていたが今では見えなくなり草原が続いているように見える。さらに進んでいくと、下に荒れ地が目立つようになり、街道も途切れ途切れになって来た。しばらくすると街道は見えなくなり、北の砂漠に行った時のように、砂の広がる砂漠地帯になった。眼下に街道は見えないのだが、ところどころに道を示すために建っているのだろう柱が並んでいたのでそれを目印に『スカイ・レイ』は進んでいった。
日が西に傾き西日が
「アスカ、今何時だ?」
「16時10分です」
「少し早いが、軽く何か食べておこう。向こうに着いてからでは時間がないかもしれないからな。アスカ、サンドイッチでいいか?」
「はい、マスター」
アスカにサンドイッチを渡しながら、自分でもつまむ。やはりゴーメイさんの作ったサンドイッチはおいしい。アスカの手元を見ながら、サンドイッチを渡したり、飲み物を渡したりして夕食代わりにした。
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