第153話 皇女救出作戦1
マスカレードイエローたち四人もアスカの特訓で結構さまになってきた。
アスカたちは表で訓練をしているが、以前ほど訓練内容はハードではないようで、四人娘も訓練後でもしっかり歩けるようだ。ちょっと前まではアスカの訓練後は
居間で一人でソファーに座りくつろいでいたら、ハート姉妹の妹のソフィアがやって来た。
「ショウタさま、お茶でもお
「そうだな、一杯頼む」
しばらくしてティーセットを載せたワゴンを押してソフィアが戻ってきた。
おそらく、うちで使っている
すぐにお茶の用意が出来たようで、受け取ったカップを口で冷ましながら、口をつけると落ち着いた気分になる。そういったところが味では表せないお茶のいいところなのかもしれない。
そんな知ったふうなことを考えながら、居間でまったりしていると、玄関先に誰か来たようだ。うちでは、アスカが屋敷にいるときはいつも門は開けっ放しにしている。アスカによるとその方が楽しいのだそうだ。何を待っているのか知らないが、まあ、本人が良ければ俺はそれでいい。
「ショウタさま、冒険者ギルドのスミスさまがお見えになっております」
ハウゼンさんが来客を告げてくれた。
「ハウゼンさん、スミスさんを小応接室に通しておいてくれますか。
ソフィア、アスカを呼んで小応接室まで来るように伝えてくれ」
そういって、俺も小応接室に向かう。部屋に入ると、スミスさんがソファーから立ち上がって、
「ショウタさん、おはようございます」
「おはようございます。スミスさん」
あいさつをしていると、アスカが部屋に入って来た。
「アスカさん、おはようございます」
「おはようございます」
「それで、今日はどのようなご用件でしょうか?」
「さっそくですが、ショタアスのお二人と
「どんな内容でしょう?」
「はい。実は、2カ月ほど前、西のパルゴール帝国で政変があったようで、皇帝以下かなり数の皇族が処刑されたようなのです」
「それはまた。不勉強で申し訳ありませんが、パルゴール帝国というのはどういった国なのでしょうか?」
「中央大砂漠を間に挟んで王都から西に二千五百キロほど離れた地にあるわが国に匹敵する国力を持った国です。
「そうですか」
「それで、話を戻しますと、処刑を免れた皇族の方がアデレートへの亡命を求めておりまして、現在秘密裏にその人物をパルゴール帝国の帝都ハムネアにあります冒険者ギルドで
「亡命ということでしたら、どうして国でなく冒険者ギルドでそういった仕事をされるんですか?」
「新たなパルゴール帝国の政権に対し、アデレート王国があからさまにパルゴールの旧帝室の方の亡命を認めてしまいますと何かと問題がありますので、あくまでわれわれ民間が金銭のためにおこなったという
「そうですか。アスカ、どう思う?」
「マスターがその人物を助けたいとお考えなら、早いに越したことはありません」
「わかった。その人物がどんな人物かは分からないが、助けよう」
「ショウタさん、アスカさん、ありがとうございます。亡命される方のお名前はアリシア・パルゴール、パルゴール帝国第3王女殿下です。他に殿下にお付きの侍女が1名ということでした」
「分かりました。先方が二名だけなら準備も簡単です。二千五百キロだと『スカイ・レイ』で向かえば単純計算で片道十時間。準備ができ次第出発します。それですと夜中に先方に到着できますからちょうどいいでしょう」
「よろしくお願いします。
受け取った地図をアスカに渡し覚えてもらう。アスカが
「報酬はいつでも構いません。とにかく任せておいてください」
要件を済ませてスミスさんが帰ったので、すぐに俺とアスカは早めの昼食を
昼食を早めにとっていると、今日は学校が休みのシャーリーがやって来たので、ハウゼンさんも呼び、今から出かけることと、
「ショウタさん、アスカさん。行ってらっしゃい」
用意が整った俺たちは、屋敷の南の馬車馬のシルバーたちが遊んでいる草地の脇に行き、整備が完了して収納していた『スカイ・レイ』を排出し、シャーリーたちの見送りのなかさっそく乗り込んだ。
「『スカイ・レイ』 発進!」
「『スカイ・レイ』 発進します」
ゆっくり西向きに旋回しながら『スカイ・レイ』が上昇していく。
「高度1000、水平飛行に移ります」
『スカイ・レイ』が速度を上げていく。
「対地速度、270。マスター、追い風のため、巡航速度250を超えています。『スカイ・レイ』西街道沿いに進みます」
「少し早く着きそうだが、このままでいこう」
「了解」
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