第127話 久々の冒険者ギルド
「ショウタさん、
「気にしなくていいですよ。私のお金なんて、あぶく銭みたいなものですから。なあ、アスカ?」
あぶく銭の元に同意を求めての
「はい。少し真面目にポーションを作ればすぐに大金貨十枚二十枚は簡単に稼げますから。問題ありません。
そういえば、マスター。収納に入っているサンドリザードは、
「とりあえず、俺たちの仕事は今のところここにはないようだし、きょうは久しぶりに冒険者ギルドに行って見るか」
「はい。マスター」
「それじゃあ、私たちは失礼します。そうだ、あさっての日曜日、シャーリーも連れてきますから、みんなで改修作業の確認を兼ねて、『スカイ・レイ』で飛んでみませんか?」
「そりゃええなー。他の二人にも言うとくわ」
「それじゃあ、そういうことで」
久しぶりに訪れた王都冒険者ギルド。例によって八角棒を収納から取り出したが、振り回すとアスカに怒られるので、おとなしくギルドの中に入っていく。
歩くたびに八角棒の先が木の床に当てて、ドシン、ドシンと音を立てるのは前回同様だ。よく見ると床が少し
俺たちに気付いた連中は道を開けてくれるというか、俺たちをよけてゆく。これじゃ、俺たちがまるで危険人物じゃないか。アスカはそうかもしれないが俺は
こら、アスカ。俺を無表情で見るな。無表情はいつもか。
空いている窓口を探したがなかったので、列の一番短いところにアスカと並んだ。前に並んでいるのは、男女二人ずつの四人組のパーティー。装備の手入れはちゃんとしているようだが、変色してしまったところや、ところどころ大きな傷などが残っている。いわゆるベテラン冒険者のようだ。彼らが持っている武器は、
あれ? この組み合わせ、どこかで見たような連中だな?
こいつら、ヤシマダンジョンの13層で、
「アスカ、前のやつら、この前のヤシマダンジョンにいたやつらだよな」
「そうですね。間違いありません」
普通の冒険者なら文句では済まされないようなことをした連中だが、こちらとしては、どうでもよいことなので無視しよ。
「……だから、俺たちが依頼のヒュージスパーダーを仕留められなかったのは、今言った二人組のやつらに獲物を横取りされたからなんだよ。それなのに依頼失敗のペナルティーはないだろ」
「冒険者同士のトラブルに当ギルドは関知しませんが、皆さんの仰る見た目の若い男女の二人組で、防具も着けずにダンジョンにいたという冒険者は、もしかして、皆さんの後ろに立っている、
四人組が俺たちの方を振り向き、さっき息まいていた男と目が合った途端に、四人とも走りだして逃げ出した。俺の横をすり抜けようとした先頭の男の
「こんにちは、ショウタさんとアスカさん、久しぶりに冒険者ギルドにお越しですね。今日はどういったご用でしょうか?」
「サンドリザードを大量に
「サンドリザードですか? 私も扱ったことが有りませんので、あちらの買取窓口で確認していただけますか。申し訳ありません」
「分かりました、あっちで聞いてみます。ちなみに、ドラゴンなんかの買取は?」
「???」
何言ってんだって顔して見られた。どうやらドラゴンは扱ってないらしい。
「すみません。サンドリザード買いとってもらいたいんですけど」
列に並んでたら順番になったので、買取口のおじさんに尋ねた。
「サンドリザード? おまえさんの言ってるのは北の砂漠のサンドリザードのことか?」
「たぶんそうです」
「なんであんなところのモンスターがいるんだ? あれ? おまえさんたち、うわさのショタアスの二人じゃねーか。なるほど」
何がなるほどかわからないが、
「ここに出していいですか?
「活き? 本物なら、高く買い取るぜ」
「そうですか、ありがとうございます」
そう言って、砦からの攻撃を受けていないきれいなサンドリザードを一匹、買い取り台の上に排出してやった。しっぽが台からはみ出して揺れているのが
「おい、これ生きていないよな? 今動いたように見えたぞ」
「
「全部引き取りたいが、この大きさのものを解体して、売りさばくとなると、今日は十匹が限度かな。ところで、一体何匹サンドリザードを持ってんだ?」
「二百匹くらいですね。この前、北の砦に行ったときちょうど見つけたんで、ちょっと
「わかったから、十匹だけな。そこから中に入って、あっちの奥に置いてくれ」
西部劇に出てくるようなスイングドアを押し
「おい、このサンドリザード、まだ暖かいじゃねえか? ほんとわけわかんない連中だな」
「一匹サービスで置いときますから、5キロほど肉を分けてくれませんか」
「わかった、ありがとよ。大急ぎで解体してやるが、
「よろしくお願いします」「します」
もらった紙を持って受け取り窓口に行き代金をもらった。北のギルドでの値段に比べ魔石もないのに五割増しの値段だったそうだ。まだ、二百匹近く残ってるので、買い取り窓口が暇そうなとき売りに来よう。いつ頃暇になるのかわからないけどね。
ギルド付属の食堂で、飲み物を頼んで時間をつぶし、五キロのサンドリザード肉を受け取って冒険者ギルドを後にした。いまさらだが、俺は血抜きなら収納庫の中で出来るんだった。ま、いいか。
さてドラゴンだけど誰か買ってくれないかなあ。どうしよう。
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