第105話 河童✖(ばつ)
俺とアスカは
「ごめんくださーい。ショウタでーす。アルマさんいらっしゃいますかー?」
荷物をアスカと二人で担いだまま大声で玄関口でアルマさんを呼ぶ。アルマさんがいなくてもいつもならフレデリカ姉さんがドアを開けてくれるのだが?
改めてミニマップを見ると、どうやら二人とも不在のようだ。さて困った。
「屋敷の裏に回って、裏庭で
「そうだな。二人が帰ってきてから事情を話そう。
えっちらおっちら荷物を担いで裏庭へ。
適当な木の下の近くに
まだ気絶している女を起こそうと
「マスター、その女の周りにマスターが収納しているゴブリンの死骸を並べてみてはどうでしょうか。臭さで目が覚めるかも知れません」
いい考えだと思うが、
「マスターが、アルマさんにドラゴンの血をいくらか上げれば、許してくれると思いますよ。それにアルマさんはマスターや私と違い本物の錬金術師ですから異臭には慣れていると思います」
異臭に慣れているかはわからないが、
俺たちは風上に
「ブハ! ブファ! ゴホ! ゴホッ!……」
もぞもぞ動き始めた女が今度はむせ始めた。
ゴブリンをすぐに収納して女に近寄る。
細目の女が目を
少し
「状況は見ての通り。お仲間は重たい頭がどっかに行っちまって今頃肩こりが治ってるんじゃないか? お姉さんも肩こりなら直して上げられるよ。どうだい?」
「……」
「お姉さんの雇い主について教えてくれるかな? どうかな? あれ、お姉さん肩がこってるのかな?」
俺をにらみつけるだけで黙っている。
「マスター、
また怖いことを言う。お姉さん体をこわばらせたよ。
「殺すのはとりあえずなしだ」
そう言うと明らかにほっとしてるよ。このお姉さん、
「アスカ、今何時だ?」
「午前十時二十分です」
「俺は少し
「はい。いただきます」
アスカに串焼きを一本渡し、俺も一本取り出してかぶりつく。女は俺たちを見上げている。
適当に取り出した串焼きは、牛肉の間に野菜が挟まり
アスカはとうに食べ終わっている。
「アスカ、
「はい。マスターの表面知識を導入していますから」
「そしたら、このお姉さんの髪の毛、
「おかっぱでなく、河童ですか? どちらにせよ簡単です」
これからは、散髪屋じゃなくてアスカに俺の髪も刈ってもらお。
「河童の方だ。それで、河童に
「問題ありません」
「全体的に俺ぐらいに短くして、それから行ってみよう」
「了解しました」
日の光りで銀線がわずかに
すごいインパクトだ。細目の
「お姉さん、もう行っていいよ。自分で袋から出てどっかへ行きな」
「マスター、よろしいのですか?」
「良いんじゃないか。俺たちの
「確かに、マスターの仰る通りです」
そうこうしてるうちに女は袋から抜け出し、裏庭から走り出ていった。もちろんミニマップで行き先を確認中である。
女がそれなりに遠くまで行ったところで、
「アスカ、そろそろ追いかけるか?」
「はい、マスター」
それはそうと、最近アスカと息が合って来たな。マスカレード仮面効果かな?
ミニマップを確認しつつ女を追っていると、女の動きが止まった。どこかの屋敷の中に入ったようだ。アルマさんの屋敷からそれほど遠くなかった。ということは、女の逃げ込んだのは、
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