第78話 王国騎士団総長
ポーラ・ギリガン Lv78
アデレード王国子爵
自他ともに認める王国最強の剣士
第1から第3騎士団を束ねる騎士団総長兼第1騎士団団長
騎士団序列第1位。
王都冒険者ギルドのギルマス、キャサリン・ギリガンの従妹
従ってキルンの冒険者ギルドのギルマス、サイモン・ギリガンの従妹でもある。
現在30歳
スキル:大剣使いLv4/5。
太くはないが非常に長い両手剣を扱う。
秘技:
第1騎士団
王国最強の戦士集団
騎士団長以下五十名の騎士(内二名は第2、第3騎士団長を務めるため、実質四十八名)
王国の
現在、東方から王国に進入を図る
二年毎に序列戦がある。団長を決定する一位決定戦は四年毎。
序列三十九位と序列四十位がそれぞれ第2騎士団団長と第3騎士団団長に任命される。
「ギリガン総長、お願いがあるのですが」
「なんだ? トリスタン」
「実は勇者さまのことですが」
「勇者さま? 勇者はお前のところの第2騎士団が
「表向きはそうなんですが、実は、……」
「何だー! その話は。この前のパレードは
「申し訳ありません、総長。マリア殿下から口外無用と言い渡されておりましたし、第1騎士団が遠征続きで、お疲れと思い
「確かに、ここのところ東へばかり行って王都にいない方が多かったからな。それでわたしに何をさせたいんだ?」
「一度勇者さまを
「その程度なら問題ない。今日の
「明日から、勇者さま一行はダンジョンへ遠征訓練ですから、できれば明日に差しさわりの無いようお願いします」
「わかった。問題ない。ここで待ってるぞ。
「よろしくお願いします」
トリスタン第2騎士団長が勇者ヒカルをなだめすかして、第1騎士団の訓練場へ連れてくると、
「貴殿が勇者さまか?
「んなわきゃねーだろ! 俺の必殺技が試せるいい機会だと思って来てみれば、なんだー、ババアが一人でオッ立ってるだけじゃねーか?」
「
「なにをー!」
「勇者さま
「ババー、
「当たらなければ
ヒカルは
「ほう、剣だけは立派じゃないか。いきなり切りかかってくると思っていたが、様子見くらいはできるようだな。ならば、これはどうだ?」
中段に構えたギリガンの木剣がすっと下に引かれる。それを目にした勇者は好機ととらえ、一気に大剣を振り下ろす。
このババア死んだな。
だが、勇者が振り下ろしたはずの大剣はギリガンの持つ木剣によって横に流された。もちろんギリガンは無傷のまま立っており、勇者の大剣を受け流した木剣を
ゴフッ!
勇者の脇腹に木剣がめり込んだ。
「ほう、今のを無傷で耐えるとはさすがは勇者さま。
PAを一気に削り切られたヒカルは
「速度もあるし力もあるようだが、素人そのものだな。なまじ力があるせいで何でも力任せになっている。そもそも刃の向きと力の向きがそこまでずれていると、この木剣でさえ切り飛ばせんぞ。
人のことは言えんか。私もまだ未熟なようだ。刃を当てて木剣が持って行かれるのを嫌って軽く受け流したのだが、必要なかったな。それなら、次はこっちから行くぞ!」
そう言って、今回は
ゴボッ! ゴホン、ゴホン! ゴホン!
「ステータスが全てではないぞ!」
無造作に木剣を振るうギリガン、そのことごとくがヒカルを捉える。ギリガンの体の動き、筋肉の力の入れ具合、そういったもろもろに体が
ズドッ! バゴッ! ボコッ!
とうとう立っていられなくなり地面に丸くなりうずくまる勇者ヒカル。
「
そういって、地面にうずくまる勇者のみぞおち辺りを
今の一蹴りで
『ボコボコにされても大剣を手放さないとは少しは見直したぞ。少しやりすぎたかもしれんが、まあいいか。トリスタンが悪いことにして全部任せよう。
しかし、こんなのが勇者さまだとまずいだろう? これでは聖剣があっても『魔界ゲート』にたどり着けんぞ。あと一年半余りではこいつを鍛えても無理じゃないか?』
「おーい! トリスタン。勇者さまを連れて行って打ち身の治療でもしてやってくれ。ここに伸びていられたら、昼からの訓練の
トリスタン騎士団長は急いでぐったりしたヒカルの体を抱きかかえ、医務室に急ぐのだった。
それから五日後。リリアナ王女殿下を病から救ったという二人の錬金術師が国王陛下より
男の方は、それなりにできるようだ。重心の動きが
女の方は、逆に全く魔力を感じさせない。どこを見ているのかもわからない。そしてなにより一切の隙が無い。何もわからないが、自分ではどうあがいても勝てないということだけは理解できる。そもそも勝負以前に同じ舞台の上に上がることさえ想像できない。女が自分を殺そうと思えば自分は既に死んでいるのだ。そんな確信めいたものがある。
その時、急にその女が式場の隅に立つ自分の方に目を向けた。ポーラ・ギリガンは生まれて初めて死の恐怖を味わった。
「
『あいつらはいったい何なんだ!』
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