第40話 戦利品
黒龍のねぐらはあっちの方か。林の方に向かって進んで行くと、
新しく何カ所か大きく地面がえぐれた場所がある。俺の高速弾が落ちた場所なのだろう。だいぶ大きな石を選んだせいか威力が
もう少し進むと、地面の色が他と違う場所が見えて来た。その先に小山がある。小山はどうやらガラクタの山だ。これがドラゴンの宝物なのか?
近寄ってその小山を見ると、剣やら鎧やら、色々なものが
なるほど、光り物が好きだったんだな。俺も好きだけど。ドラゴンもカラスと同じようなもんなんだと思うと、ここで殺された人たちが逆に哀れに思える。
あのドラゴン、よくこんなところにいたなと思う。せめて、
ドラゴンの集めた光り物の山からめぼしいものを収納しながら、人の物と思われる骨と、ガラクタを別々に横に
お宝ゲットでも気持ちは沈む。お宝の中に一つ、緑色の石をあつらえた金色の
「アスカ、ちょっとこれを見てくれ。どっかでこれと似たような髪飾りを見たことないか?」
「それは、フレデリカさんが、エルフの姿に戻った時にしていた髪飾りではないでしょうか。左右は反対のようですが」
サスアス。そうだ、あの髪飾りにそっくりだ。おそらく、フレデリカ姉さんゆかりの人の物だったんだろう。これを渡せば、フレデリカ姉さんは喜ぶのか、悲しむのかはわからないけど、きっとそれは、いいことだと思う。最高の戦利品だ。
「ご苦労さま。土を埋め戻すから、少し下がっててくれ」
収納した土を元の場所に排出し、周りが盛り上がって崩れたところを、足で踏んづけて形を気持ちだけでも整える。最後に収納庫の中で一番大きい岩を真ん中においておしまいにした。
手を合わせ、「
俺が唯一知ってるお経を唱えた。 いやこれは
「そろそろ帰るか」
「はい。マスター」
このまま北に
「アスカ、今何時?」
「午後一時少し前です」
「少し休憩しよう。のども乾いた」
森の中を駆け抜けること二時間。少し開けたところに、いい
「今日この先で一泊して、明日の夕方ごろには、キルンに戻れそうだな」
「何ごともなければ、そうですね」
アスカさん、フラグ立てちゃダメ、絶対。まあ、この程度のフラグならへし折ってくれるだろ、アスカだもん。
休憩を終え、日の暮れる前まで進めるとことまで進み、俺は昨日開いたまま収納していたテントを出して
アスカに見張りを頼み、早々にテントに引っ込んで目を閉じた。
目を閉じると、あの集落跡で見たドクロが
翌日も二人で駆けて、昼をだいぶ過ぎたあたりで、テンペラ宮からキルンに続くと思われる街道に出ることができた。もちろん、途中で出くわしたモンスターは片っ端から、魔石奪取からの収納コンボで片付けていった。
ここから先は街道を走るのでスピードもでる。途中で、ユリア河に架かる橋を渡った。最初、実戦訓練でキルンに来たとき渡ったはずだが、その時は集中して高速弾を作っていたからか、橋があったことは全く覚えていなかった。
とにかく急いで帰って、シャーリーたちを安心させよう。
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