第39話 筏(いかだ)
「マスター、話し好きのドラゴンでしたね」
「そうだな。あれだけ
「かなりものぐさなドラゴンだったようで、目の前に来たものだけを襲っていた感じですね。ドラゴンは十年二十年平気で寝ることができますから、自分で言っていたように、さっきまで寝てたのかもしれません。起きていれば、近くに来たものをおもちゃと思って襲ったかもしれませんが」
「悪意もなく
「マスター、ドラゴンはねぐらに財宝を隠していると言われています。この河を渡ってドラゴンのねぐらを調べてみませんか?」
「そうなのか。それは
今の俺のステータスなら泳いでも渡れるのだろうが、どうも水は苦手なんだ。小さいとき
「そこらの木で
「それで行くか。
収納庫の中にあったかな? たしか、井戸に使ったロープの残りがそれなりに、……これか。
取り出したロープはだいたい二十メートル。これならなんとか足りるか。人一人が乗る
「アスカ。適当に、太目の木を二本ほど切って、ついでに枝を払ってくれるか」
髪の毛だか指先だかで切断したのだろう。目の前の木の上の方から、その木の上半分と払われた枝が葉を散らせながら落ちて来た。アスカが軽くその木を押すと、河岸近くに倒れた。下半分も切断済みだったようで、すぐに枝が払われ五メートルほどに切り揃えられた2本の丸太が出来上がった。
「マスター、ロープをお願いします」
ロープを手渡すと、器用に丸太を三カ所で
「マスター、服を脱ぎますから預かっていただけますか」
アスカがいきなり着ているものを脱ぎ始め、マッパになった。元マネキンと思うとなんてことはない。ハズだ。
アスカの身に着けていた物を預かり、
「マスター、いきます」
ぐっと加速され、
後方でアスカがバタ足をしているらしく
まさに、
河の中を
などと思っているうちに、『筏(いかだ)号』が対岸に乗り上げて船旅は終了した。俺は貧乏性なので、何かの時に使えるかも知れないと思い『筏(いかだ)号』は収納しておいた。
アスカに礼を言って預かっていた衣類などを渡すと、アスカは一緒に渡したタオルで軽く体を
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
[三つの大陸の、それぞれの場所で]
『いま、我ら四龍のうちの一つの命が消えた。これは、黒龍か。黒龍が自ら命を断つとは思えん。
『黒龍ソーンダイクが死んだ。
『ソーンダイクを殺した者がいる。「無慈悲な死」が復活したのか? まさかな。「無慈悲な死」がどこかに消えて千年は過ぎたろう。なんであれ一度、白龍と赤龍に会わねばならんな』
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